ベントレー初の電気自動車「トルカル(Torcal)」登場 フライングスパー並みの快適性とコンチネンタルGTスピード並みのダイナミズムを兼ね備えたスーパーBEV
2026年9月27日
単なる優れた電気自動車にとどまらず・・・。ベントレー トルカル(Bentley Torcal)はベントレー史上最も入念に設計されたベントレーとなるはずだ。「フライングスパー」並みの快適性と「コンチネンタルGTスピード」並みのダイナミズムを兼ね備え、新型「トルカル」は史上最高のベントレーの一つとなる見込みだ。全情報&初レビュー!
「トルカル(Torcal)」は、単なる優れた電気自動車にとどまらず、「優れたベントレー」であるべきだ。CEOのフランク=シュテファン ヴァリザー(Frank-Steffen Walliser)氏によれば、「トルカル」は史上最高のベントレーの一つになるはずだ。クルー(Crewe)発のこの新しい「エントリーモデル」を初チェック!
「エントリーモデル」という言葉を聞いて、888馬力のパワーと豪華な装備を満載した車を思い浮かべる人はほとんどいないだろうが、ベントレーには独自の基準があるのだ。クルー発のこの伝統あるブランドが電動化に向かうことは、かねてから知られていた。
ベントレーは電動化へ
「Beyond 100」戦略の一環として、この高級ブランドは2026年以降、プラグインハイブリッド車と電気自動車のみを製造し、2030年からはクルーのいわゆる「ドリーム ファクトリー」から電気自動車のみを生産する予定だった。しかし、「Beyond 100+」戦略計画により、その方針はその後調整された。

つまり、「コンチネンタルGTスーパースポーツ」のような内燃機関車も(当面は)ラインナップに残るということだ。とはいえ、電動化の潮流は避けられないため、ベントレーは2027年以降、顧客に、「内燃機関車、ハイブリッド車、電気自動車」の選択肢を提供する予定だ。「トルカル」の開発における最優先事項は、このニューモデルを単なる優れた電気自動車にするのではなく、真のベントレーとして仕上げることにあった。
ポルシェ カイエン エレクトリックとの共通点
外観上は確かにそう見える。なぜなら、豪華なフロントデザインを誇るこのボディの下に、「ポルシェ カイエン エレクトリック」にも採用されている「PPE-41 C」プラットフォームが搭載されているとは、一見して想像もつかないからだ。全長5メートルの「トルカル」は「カイエン」と同等のサイズだが、ポルシェよりもはるかに高い威厳を放っている。「フライング」ダイヤモンドをあしらった角張ったグリルは、決して偶然ではないだろうが、ロールス・ロイスを彷彿とさせる。ヘッドライトは2段構成で、上部に細長いLEDスリットが配置され、その下にメインヘッドライトが配置されている。

サイドビューでは、大きく張り出したリヤホイールアーチが目を引く – これはベントレーの典型的な特徴だ。英国のメーカーはこの特徴的な外観を「静かなる野獣」と表現している。リアはすっきりとした印象で、2分割された非常にスリムなテールランプは、上品な3D効果で際立っている。全体として、「トルカル」はモダンでありながら、どこか控えめな印象を与えるが、それでもいくつかのクラシックなデザイン要素は欠かしていない。
惜しい点がある、上質なインテリア
これはインテリアにも当てはまる。我々は、スペインの自然保護区(「エル トルカル デ アンテケラ」)にちなんで名付けられた「トルカル」に、先行して試乗する機会を得た。ダッシュボードのレイアウトは、翼のある「B」を彷彿とさせるもので、まさにベントレーらしい。また、非常に高品質な素材の選定と仕上げの品質も、同ブランドの特徴である。
英国の本社では、展示された2台の「トルカル」がまだ試作車である点を繰り返し強調しているものの、その品質には何の不満もない。レザーはベントレーらしく極めて上質で、ボタンやスイッチの仕上げは、「フライングスパー」と同様に細部までこだわり抜かれており、コントラストステッチは10分の1ミリ単位で完璧に施されている。まさに手作業の賜物だ。さらに、老舗の英国企業「フォックス ブラザーズ&カンパニー」とのコラボレーションにより、極めて高品質な「ウール製インテリア」が新たに登場した。

つまり、正真正銘のベントレーなのか?ほぼその通りだが、湾曲したタッチスクリーンと、ステアリングホイールの後ろにある操作感を一層洗練させたコントロールユニットは、グループ各社の名残である。なぜ「トルカル」には、「コンチネンタルGT」や「フライングスパー」で人気の、「ローテーション ディスプレイ」が採用されなかったのかという質問に対し、関係者は明確な回答を避け、湾曲したタッチスクリーンの優れた人間工学を理由に挙げている。残念なことだ。「ローテーション ディスプレイ」があれば、インテリアはさらに独自性が高く、高級感あふれるものになっていただろうから。
トルカルか、それともトルカルSか?
「独自性」といえば、ボディの下にはお馴染みの技術が採用されている。ベントレーは「トルカル」を2つのバージョン – 「トルカル コア」と「トルカルS」 – として展開する予定で、いずれも各車軸に1基ずつ電動モーターを搭載する。出力の差はそれほど大きくない。ベースモデルですら821馬力、1194Nmを誇り、0-100km/h加速は3.4秒を記録する。
最大888馬力、1350Nm
「トルカルS」は888馬力の出力と1350Nmのトルクを4輪すべてに伝達し、これまでにない最高トルクを誇るベントレーとなっている。「トルカルS」は0-100km/hを2.9秒で達成し、最高速度は260km/hに達する。これらは、いわゆるエントリーモデルとしてはなおさら印象的な数値だ。しかし、実のところ、「ポルシェ カイエン ターボ エレクトリック」の方が(!)さらに速いというのも事実である。
航続距離の点では、この2台の電動高級SUVは実質的に互角だ。車重2,795kgの「トルカル」に搭載された113kWhのバッテリー(10年保証付き)は、最大600キロメートルの航続距離を実現する。800ボルトのプラットフォームは、最大400kWの充電出力に対応している。

しかし、数字だけがすべてというわけではない。「トルカル」と「カイエン」は技術的に密接な関係にあるとはいえ、この英国のメーカーにとって、このデビュー作にベントレーならではの「タッチ」を吹き込むことが特に重要だったのだ。具体的な例を挙げると、フルアクティブサスペンションのハードウェア自体は同一だが、そのセッティングはベントレー独自に行われており、ステアリングについても同様だ。数週間前、AUTO BILDはカモフラージュされたプロトタイプに先行試乗する機会を得た。最初の数キロメートルは静寂に包まれていた。「トルカル」は遮音性が抜群だからだ。二重ガラスのおかげで、外界の音がほぼ遮断されている。
ドラムから響くV8サウンド
少なくとも、「トルカル」のプロダクトマネージャーであるマーティン・ペイジ(Martin Page)氏がスポーツモードに切り替えるまでは、その静寂が続いた。「トルカル」にもサウンドジェネレーターが搭載されているが、英国のメーカーは他の多くのメーカーとは異なるアプローチを採用している。内燃機関モデルの音を「単に」再生するのではなく、6.75リットルV8エンジン特有の音を、ドラムを用いて再現しており、同社はこれを「プロパルションサウンド(Propulsion Sound)」と呼んでいる。一見すると奇妙に思えるが、車内では実際にかなりリアルに聞こえる。とはいえ、私は本物のエンジン音 – あるいは静寂 – の方が好きだ。

この短い試乗で、「トルカル」が特に印象に残ったのはその快適性だ。最高速度が約105km/hに制限されていたため、今回の試乗では「トルカル」の走行性能のほんの一端しか味わうことができなかった。スポーティな要求がどれほど高かろうとも、「トルカル」に「フェイクシフト」は存在しない。それは、何と言ってもベントレーらしくないからだ。
プレゼンテーションでは、快適性とスポーティさの間の並外れたバランスが繰り返し強調されていた。「トルカル」は、「フライングスパー」よりも快適でありながら、「コンチネンタルGTスピード」よりもスポーティであると言われている。一見すると、野心的な宣言に聞こえる。その真偽を検証してみよう。
「トルカル」によってラインナップが拡充
電気自動車としてのベントレーというアイデアにまだあまり馴染めない方へ、朗報がある。「ベンテイガ」、「コンチネンタルGT」、「フライングスパー」は当然ながら引き続きラインナップに残る。ベントレーはこれを「Luxury of Choice(選択の贅沢)」と呼んでいる。我々に言わせれば「どれを選ぶか悩む」という贅沢である。
結論:
トルカルは真のベントレーと言えるのか?第一印象では、答えはイエスだ。しかし、肝心なのは「顧客は(また新たな)電動ラグジュアリーカーを求めているのか?」ということだ。20万ユーロ(約3,700万円)を超える価格帯では、販売が伸び悩む電気自動車も多い。
ただし、ベントレーには強みがある。今後のラインアップには、さまざまなパワートレインがそろう予定なのだ。電気自動車には興味がない?それなら問題ない。ベンテイガを選べばいい。
Text: Jan Götze
Photo: Bentley Motors

