雨粒に「小さな稲妻」? クルマの塗装面を傷める可能性 研究者が解明、ただの雨がクルマに与える意外な影響
2026年9月25日
雨はクルマの塗装に悪いのか?どうやら、これまで考えられていた以上に注意すべき現象があるようだ。マックス プランク研究所の研究者たちは、水滴が電気を帯びることを発見した。
クルマにとって、雨は通常、問題になるものではない。だが、一見無害な数滴の水が、思いのほか大きな影響を及ぼす可能性がある。
ドイツ・マインツのマックス プランク高分子研究所(Max Planck Institute for Polymer Research)の研究者たちは、意外な現象を発見した。水滴が帯電し、塗膜に衝突した際に、ごく小さな放電を起こすというのだ。
極端な場合、この作用によって塗膜の一部が貫通されることもある。研究者たちは、その過程を小さな落雷になぞらえている。
雨粒の中に数千ボルト
研究では、科学者たちは35マイクロリットルの水滴を、植物の葉やプラスチック、ガラスなど、さまざまな表面の上で転がした。すると驚くべきことが起きた。水滴が、静電気のような作用によって帯電したのである。

電荷は表面の種類によって0.2~2ナノクーロンに達した。この一見小さな数値の背後には、数千ボルトに相当する電位が潜んでいる。
続いて行われたのが耐久試験だ。研究者たちは、極薄のテフロン膜で覆った銅板に、それぞれ3000滴の水滴を落とした。
3000滴で保護膜を貫通
走査型電子顕微鏡で観察すると、肉眼では見えない損傷が明らかになった。あらかじめ帯電させた水滴は、膜に微小なクレーターを作っていたのである。場所によっては、損傷が保護膜を貫いて金属に達していた。ここが問題だ。金属が露出すれば、腐食が始まる可能性がある。
決め手となったのは比較実験である。事前に帯電させず、水滴をそのまま膜に落とした場合は、3000滴が衝突しても膜は無傷だった。
実際のクルマの塗装にも影響はあるのか?
では、これからはクルマを屋根の下に保管しなければならないのか?その必要はない。次の雨で愛車の塗装に目に見える穴が開くと証明されたわけではない。今回調べられたのは、実験室で用意された特殊な塗膜だ。
それでも、この発見は将来の自動車塗装にとって重要になるかもしれない。帯電した水滴は、雲や滝の周辺、あるいは水をはじく表面を水が滑るときなど、自然界でも生じ得るからだ。
これまで塗膜には、水や塩分、酸、その他の環境要因に耐えることが求められてきた。そこに新たな敵が加わるかもしれない。雨粒が生み出す、目には見えない小さな「稲妻」である。
Text:Bianca Garloff
Photo:dpa

