初テスト 新型BMW 4シリーズ カブリオレ その実力と性能は?
2021年4月12日
BMW 4シリーズ カブリオレが本格的にデリバリー開始され、我々はそのトップモデル、新型BMW 4シリーズのカブリオレバージョン、374馬力の「M440i xDrive」に初めて乗ることができた。運転するのが本当に楽しい1台だ。初テストレポート。
すべてのトレンドは、いつかは終わりを迎える。
スチール製フォールディングルーフの流行もその例外ではない。
20年ほど前に登場した「メルセデスベンツSLK」のカブリオレから、ハードな素材の屋根を持つオープンモデルのリアエンドはひどく不格好になってしまった。
BMWは、最後の「3シリーズ」と最初の「4シリーズ」のカブリオレを比較的スタイリッシュなものにしたが、それでもドライビングダイナミクスを重視する人たちは、重くてかさばる構造をあまり好まなかった。
しかし、今度は後ろ向き(前向き?)に改善されることになった。
今や、ソフトトップの開発は大きく前進し、断熱性、遮音性は高いレベルに達している。
現在のクラシックなソフトトップの邪魔をするものは何もない。
特に、新しいルーフ構造は、閉じたときの音響値が、同じクーペよりも優れていると言われている。
さらに、いわゆるサーフェイスマウントルーフは非常に安定している。
開発者は、「その上に立つこともできます」と主張しているほどだ。
むろん、我々はそれをテストするつもりはなく、開発者の言葉を信用している。
ルーフの構造が約40%軽量化され、ルーフを閉じた状態での重心は、同じエンジンを搭載した「3シリーズ」セダンよりも23mmも低い。
「420i」の乾燥重量である1,690kgはなかなかなものだと思う。
直列6気筒エンジンは運転する喜びだ
今回試乗した「M440i xDriveカブリオレ」は、「420i」より200kgの重量増となっている。
全輪駆動システム、追加装備、6気筒エンジンなどがBMI(体脂肪率)を高めているといえる。
それでも374馬力のエンジンは、必要なパワーを提供し、0から4.9秒で100km/hまでに到達する。
参考までに、後輪駆動で510馬力を発揮する「M4」の方が、1秒ほど速い。
さらに、タービンジオメトリック可変ツインスクロールスーパーチャージャーを搭載した3リッターエンジンの自発的なレスポンスはスリリングの一言だ。
これを補うのが、完璧にチューニングされた8速オートマチックで、特にスポーツモードでは、警告的な変速シークエンスが気持ちよく味わえる。
シャシー面では、「M440i xDrive」の全輪駆動は、ESPがスポーツモードでのみ作動し、完全にはオフになっていない場合でも、コントロールされたパワーオーバーステアを十分に発揮することができるのが嬉しい。
ここでさらに、「M440i」に標準装備されているスポーツディファレンシャルの効果が明らかになる。
ドライビングダイナミクスの面でクーペに比べて著しく低下しないように、BMWは特にサイドシルやリアの領域でシャシーを強化した。
しかし、この「4シリーズ」カブリオレの革新的な点は、ルーフ構造にこそある。
ルーフは18秒でトランクリッドの下に折りたたまれ、完全に自動化されたエレガントな動きをみせる。
さらにこれは時速50kmまでの走行中にも機能するようになっている。
価格: BMWはトップモデルのために全力を尽くす
長い週末に愛する人と一緒にオープンで出かける人は、大きな利点の1つに満足することだろう。
ラゲッジコンパートメントの容量385リットルのうち、85リットルしか失わないからだ。
リジッドフォールディングルーフを装備した先代モデルでは、150リットルのスペースしか確保できなかった(クローズド時370リットル、オープン時220リットル)。
初夏に発表される「M4カブリオレ」が登場するまでの間、「M440i xDrive」がドライビングダイナミクスの先鋒となる。
「M440i xDrive」の下には、4気筒の「420i(184馬力)」と「430i(258馬力)」がラインナップされている。
年末には、ツインターボ直6ディーゼルを搭載した340馬力の「M440d xDrive」も登場する。
クーペに比べて、カブリオレを愛する人は、約7500ユーロ(約100万円)余分に財布に負担がかかる。
オープンモデルの「420i」は54,800ユーロ(約723万円)から、「430i」は59,800ユーロ(約789万円)から、そしてトップモデルの「M440i xDrive」は75,900ユーロ(約1,000万円)からと、より高額だ。
カブリオレはクーペに比べて7,500ユーロ(約100万円)高い。オープントップのM440i xDriveの場合は75,900ユーロ(約1,000万円)からとなる。
テクニカルデータ: BMW M440i xDriveカブリオレ
● エンジン: 6気筒、ターボ、フロント縦置き ● 排気量: 2998cc ● 最高出力: 374PS+11PS@5500~6500rpm ● 最大トルク: 500Nm@1900~5000pm ● 駆動方式: 全輪駆動、8速AT ● 全長×全幅×全高: 4770×1852×1394mm • 乾燥重量: 1890kg ● トランク容量: 300~385リットル ● 最高速度: 250km/h ● 0-100km/h加速: 4.9秒 ● 燃費: 12.8km/ℓ ● CO2排出量: 177g/ℓ ● 価格: 75,900ユーロ(約1,000万円)より
結論:
ソフトトップは、快適性と断熱性の面でのハイライトだ。
しかし、BMWはそのために十分な対価を購入者に払わせる。
純粋に気持ちの良いドライビングを楽しめるクルマ、それが4シリーズのカブリオレだ。
AUTO BILDテストスコア: 2
オープンモデルはやっぱり幌に限る、というのが僕の持論である。
もちろん折り畳み式ハードトップの優位性は理解している。盗難に対しては、幌はやはり今一つ不安だろうし、野ざらし駐車場使用者にはハードルが高いことも事実である。自動洗車機には不向きだし、ソフトトップのウイークポイントはやはり多い。
それでも、私は、オープンモデルはやはり幌だと思うし、優雅さや軽やかさなどはハードトップモデルには望めない世界であろう。そもそもオープンモデルそのものが特別な自動車であるわけだし、実用性とか対候性とか、そういうことを神経質に悩む人はそもそもオープンモデルに乗らなくていいのではないか、というのは暴言だろうか。
幌とボディカラーのコーディネートを楽しむ、幌をたたく雨の音を喜んで聴く、そういう人にこそオープンモデルに乗ってほしいし、伊達で粋な自動車、それが幌のオープンモデルなのである。
だから今回の4シリーズカブリオレも、軽く1,000万円に達することとか、クーペボディに比べて走りがどうだという無粋な人にはそもそも向かない一台なのである。
Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: BMW AG