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ブラバスはチューニング界の王へのオマージュとして初の自社製1,000馬力マシンを開発「ブラバス ボード(Brabus Bodo)」はおそらく最後の偉大なV12スーパーカーと言えるだろう

2026年9月8日

実現までには時間を要した。しかし、ボード ブッシュマン(Bodo Buschmann)の死から8年を経て、ブラバス(Brabus)はチューニング界の王に捧げる壮大なオマージュを完成させた。最高出力1000馬力を誇る、同社初の独自スポーツカー「ブラバス ボード(Brabus Bodo)」である。しかも、現代的な仕掛けや複雑な機構は一切ない。

彼らは20年以上にわたって、このクルマを夢見てきた。しかし、ボード ブッシュマンが存命だった頃、このルール地方の象徴的人物は、ブラバスを世界で最も有名なチューナーへと成長させることに忙しすぎた。そして、その思いはあまりにも強くメルセデスに結びついていた。先代のブッシュマンは2018年4月、62歳でこの世を去った。

それ以来、息子のコンスタンティンは新たな視点から事業を再構築してきた。メルセデスのチューニングが現在も日常業務の大部分を占めており、それが近いうちに変わることはないだろう。しかしブラバスはすでに、高性能車だけにとどまらず、クラシックカー、ボート、モーターサイクル、キャンピングカー、さらには不動産へと事業を拡大している。

もちろん、コンスタンティンが父の理念を裏切ったわけではない。むしろその逆だ。彼は父の死後、その夢を実現する機会を会社にもたらし、ついに独自のスポーツカーを完成させた。その名は、ほかにあり得ないだろう、「ブラバス ボード(Brabus Bodo)」である。この春に初公開されて以来、世界中のガソリン車愛好家や自動車通を熱狂させている。

しかもこのクルマは、エレクトロモビリティとはまったく無縁だ。ブラバスの本拠地ボトロップ(Bottrop)と、ボードがフェラーリ、ランボルギーニ、ブガッティとごく自然に並ぶドバイのブルジュ・アル・アラブほど遠く離れている。ちなみに、ビバリーヒルズ、バクー、北京でも同じ光景が見られる。

ブラバス ボード:古き良き時代のスーパーカー

「ボード」が人気を集めるのも不思議ではない。ボトロップ生まれのこの“バットモービル”は、ベース車である「アストンマーティン ヴァンキッシュ(Aston Martin Vanquish)」から、シャシーとワイヤーハーネス以外をほとんど引き継いでいない。挑発的なほど長いボンネットと、カーボンとクロームを組み合わせた妖艶なリアエンドによって大胆な姿を見せるだけでなく、中身も正真正銘のクラシックなスーパーカーである。

それはまさに、先代社長が望んでいた通りのものだ。大音量で、力強く、速い。彼の地元の言葉を借りるなら、「とにかく最高」だ。かつてスポーツカーがそうであったように造られている。そして何より、四輪駆動や後輪操舵といった現代的な余計な仕掛けを完全に排除した。したがって、電気モーターが使われているのは、パワーウインドウやシートレールくらいのものである。

ブラバス ボードは、ボトロップのブラバスが初めて独自に開発したスポーツカーであり、創業者ボード ブッシュマンの名を冠している。

その代わり、ボンネットの下には、現在も欧州で搭載されている最後のV12エンジンのひとつが収まる。5.2リッターの排気量から強烈な1000馬力を発生。アクセルに触れるたび、1200Nmのトルクが乗員をシートへ激しく押しつけ、時間と空間がいかに相対的なものかを、ほとんど痛みを伴うほど実感させる。0-100km/h加速はわずか3.0秒、最高速度は360km/hに達する。

凶暴なパワーと驚くほど洗練された走り

理論上でも十分に印象的だが、実際に走らせればさらに魅惑的である。カーボンとレザーで仕立てられた宝石箱のような室内へ身を沈め、どうせ誰も座ることのない後席の2つのバケットシートに思わず笑みを浮かべ、スタートボタンを押す。その瞬間、メルセデス、ポルシェ、ベントレー、アストンマーティンが現在グランツーリスモとして売り込もうとしているものなど、すべて忘れてしまう。「ボード」はまったく別の次元にいるからだ。

わずか2つ、3つのコーナーを抜けただけで、ブラバスのエンジニアが「ヴァンキッシュ」のシャシーを単にカーボンで着飾っただけではないことが分かる。「ボード」は明らかに車高が低く、路面上での落ち着きも増している。ステアリングは標準モデルより重く、ダイレクトであり、高速コーナーを驚くほど安定して駆け抜ける。

それを可能にしているのが、専用開発されたスプリング、ダンパー、ウィッシュボーンに加え、専用チューニングされたタイヤである。これらが強大なパワーを確実に路面へ伝える。そのパワーは有り余るほどだ。ブラバスはV12に大型ターボチャージャー、鍛造ピストン、チタン製コンロッドを与えている。

ブラバスは電動化ではなく、1000馬力と1200Nmを発生する5.2リッターV12エンジンを選んだ。

さらに、エキゾーストシステムのチタン製テールパイプを開放すれば、解き放たれた12気筒らしい猛烈な咆哮を響かせる。狭い山道で激しく攻めたときに限って、2基の大型ターボチャージャーによるターボラグが一瞬顔を出す。だが、それは1000馬力と1200Nmという傑作に手を加えず、そのまま受け入れるための代償である。

それでも「ボード」は、常にブラバスらしいクルマであり続ける。3つのドライブモードによって、ビロードのように滑らかなクルージングから荒々しいパワーまで切り替えられ、どの状態でも落ち着きを失わないグランツーリスモである。

もちろん、スポーツカーのエリートたちを咆哮とともに追い抜き、行く先々で注目を独占することもできる。しかし、必ずしもそうする必要はない。静かに味わいたい目利きにとっても、「ボード」は完璧な秘密兵器であり、ほとんど控えめに背景へ溶け込む。もっとも、ブラバスとして可能な範囲での“控えめ”ではあるが。

ブラックで統一されたラグジュアリー

インテリアでは、意図的にひとつの色が支配的に使われている。ブラックだ。とにかく、どこまでもブラックである。非常にダークだが、同時に極めてエレガントでもある。

レザーとカーボンが組み合わされ、カーボンの織り目にはブラバスがゴールドの粒子を織り込んでいる。操作系はアストンマーティンから受け継がれ、大型タッチスクリーンとApple CarPlay Ultraも備える。8速オートマチックトランスミッションのシフトパドルにはロングタイプのカーボン製パーツを採用し、巨大なパノラミックルーフが室内へ光をたっぷりと取り込む。

0-100km/h加速3.0秒、最高速度360km/h。ボードはハイパーGTの領域に属する。

ダッシュボードには、このクルマの名の由来となった人物、ボード ブッシュマン(Bodo Buschmann)のサインが刻まれている。すべての始まりとなった男へ捧げる、静かな記念碑である。

それにふさわしく、「ボード」の外観も妥協を知らない。フロントはほぼ正方形の造形で、深く切り込まれたエアインテークがアクセントを加える。リアは「ポルシェ911」風の格納式スポイラーを備えたボートテールで仕上げられている。さらに21インチのモノブロックホイールと、全面をエクスポーズドカーボンで構成したボディが組み合わされる。

ブラバスはもはや単なるチューナーではない

結局のところ、「ボード」は単なるボディワークの実験作ではない。ブラバスがもはやスポイラーやエキゾーストシステムを販売したり、もともと強力なエンジンへさらに高性能なチップを組み込んだりするだけの存在ではなく、完全に独立したスーパーカーを造れることを示す、これまでで最も明確な証拠である。

荒々しく、大音量で、そしてソフトウェアによる小細工から爽快なほど解放されている。必要な資金を用意できる者は、ほかに類を見ない自動車工芸品を手にすることができる。

ブラバスにとって、「ボード」はメルセデスからの独立を進めるための単なる次の一歩ではない。ボトロップに本拠を置く同社は、すでに数年前からロールス・ロイス、ベントレー、フェラーリにも手を加えている。

そして最初の独自スポーツカーには、「メルセデスAMG GT」ではなく、「アストンマーティン ヴァンキッシュ」をベースに選んだ。もっとも、その車体には当然ながらシュトゥットガルト周辺に由来するドイツ南西部の遺伝子も、いくらか受け継がれている。

わずか77台の限定生産。極めて特別な少量生産モデルの大半は、すでに売約済みとなっている。

何より「ボード」は、シュトゥットガルトのメルセデスに対する強烈な平手打ちである。10年前の初公開後、メルセデスに十分な勇気さえあれば、「マイバッハ ビジョン6」がどのようなクルマになり得たのかを示している。

シュトゥットガルトでは否定的な意見が勝った。一方、ボトロップでは実行する者たちが主導権を握り、ただバットモービルを造り上げた。

顧客が不足する心配はまったくない。「ボード」の価格は120万ユーロ(約2億2000万円)と高額で、ベースとなった標準仕様の「ヴァンキッシュ」の2.5倍を超える。それでもブラバスではいつものことながら、77台限定モデルの大半はすでに売約済みだ。

あとは可能な限り早く、実際の車両を完成させるだけである。何しろブラバスにはアイデアがあふれており、次のプロジェクトを明日ではなく、今日にでも始めたいと考えているのだから。

Text: Thomas Geiger
Photo: Brabus