SUPER GT 2026 第5戦 鈴鹿 ARTA No.16が逆転優勝! PRELUDE-GTが表彰台を独占
2026年9月4日
2026 AUTOBACS SUPER GT Round 5「SUZUKA GT 300km RACE」が8月22日、23日の両日、三重県の鈴鹿サーキットで開催された。
真夏の鈴鹿を舞台にGT500とGT300を合わせた43台が参戦。決勝は1周5.807kmのコースを52周する300kmレースとして争われた。

GT500ではNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTが4番手スタートから逆転優勝。No.17 Astemo HRC PRELUDE-GTとNo.8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTが続き、Honda HRC PRELUDE-GTがホームコースの鈴鹿で表彰台を独占した。
GT300ではNo.9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMWがポール トゥ ウインを達成し、ドライバーとチームにとって待望のSUPER GT初優勝を飾った。
予選はHonda HRC PRELUDE-GTがトップ4を独占
8月22日に行われたGT500クラスの公式予選では、Honda HRC PRELUDE-GT勢が圧倒的な速さを披露した。Q1ではNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GTのイゴール・オオムラ・フラガが1分45秒254を記録してトップ通過。No.17 Astemo HRC PRELUDE-GT、No.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTも上位につけ、Q2進出を決めた。一方、公式練習でエンジントラブルに見舞われた前戦優勝車のNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GTは、エンジン交換後も本来の速さを発揮できず、最後尾で予選を終えた。96kgのサクセスウエイトを背負うランキング首位のNo.36 au TOM’S GR Supraも11番手にとどまった。
GT500ルーキー野村勇斗が初ポールポジション
GT500のQ2では、No.38 KeePer CERUMO GR Supraの小林利徠斗が暫定トップに立ったが、No.64 Modulo HRC PRELUDE-GTの大草りきが1分45秒206で更新。その直後、No.17 Astemo HRC PRELUDE-GTの野村勇斗が1分45秒129を叩き出し、わずか0.077秒差でポールポジションを奪い取った。GT500参戦4戦目の野村にとっては初のポールポジションであり、PRELUDE-GTは2戦連続で予選最速を記録した。2番手No.64、3番手No.8、4番手No.16と続き、Honda HRC PRELUDE-GTが予選トップ4を独占。第4戦富士のトップ3独占をさらに上回る結果となった。

GT300はNo.9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMWが初PP
GT300クラスでは、No.9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMWの冨林勇佑が自身初のポールポジションを獲得した。2番手にはNo.777 D’station Vantage GT3、3番手にはNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTが続いた。No.9はサクセスウエイトを搭載しておらず、BMW M4 GT3とミシュランタイヤの性能を存分に発揮できる条件にあったとはいえ、経験豊富な強豪勢を退けてのポールは見事な結果である。アニメとのタイアップによる鮮やかなカラーリングで知られるPACIFIC RACING TEAMだが、今回は外観だけでなく、純粋な速さでも大きな注目を集めることになった。

気温34度、路面温度49度の灼熱レース
8月23日の決勝日は晴天に恵まれたものの、スタート前の気温は34度、路面温度は49度まで上昇した。決勝中も路面温度は45度前後で推移し、ドライバーの体力、タイヤマネジメント、マシンの冷却性能が問われる厳しいコンディションとなった。三重県警察のパトロールカーに先導されたパレードラップ、フォーメーションラップを経て、13時37分に52周の決勝がスタート。GT500ではHonda勢4台が先頭グループを形成し、序盤からPRELUDE-GT同士の激しいポジション争いが始まった。
ポールスタートの野村勇斗が首位を守る
GT500では、ポールポジションのNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GTを駆る野村勇斗が好スタートを決め、1コーナーをトップで通過した。3番手スタートのNo.8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTの大津弘樹は、1周目のNIPPOコーナーでNo.64 Modulo HRC PRELUDE-GTをかわして2番手へ浮上。さらに4番手スタートのNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTの野尻智紀もNo.64を攻略し、1周目を3番手で終えた。トップのNo.17は序盤から積極的にペースを上げ、3周終了時点で後続に3.5秒以上のリードを築いた。

野尻智紀がNo.8を抜き、トップのNo.17を追撃
3周目、野尻智紀のNo.16はシケインでNo.8のイン側に飛び込み、2番手へ浮上した。ここから野尻は猛烈な追い上げを開始。トップのNo.17との差を6周目には2.54秒、7周目には1.38秒まで縮め、8周目には完全にテールトゥノーズの状態へ持ち込んだ。15周目のシケインでは野尻が再びイン側を狙ったが、野村はGT500ルーキーとは思えない冷静な走りでポジションを守った。17周目にはGT300車両同士の接触によってフルコースイエローが宣言されたが、同じ周のうちに解除。このタイミングでNo.64がNo.8を抜き、3番手に浮上した。
ピット戦略でNo.16がNo.17の前へ
トップを走るNo.17は18周目に早めのピットストップを行い、野村勇斗から塚越広大へ交代した。No.8も同じ周に大津弘樹から太田格之進へ交代。No.64は19周目にピットへ向かったが、作業後の順位を落とし、No.8に加えてNo.24 リアライズコーポレーション Z、No.38 KeePer CERUMO GR Supra、No.14 ENEOS X PRIME GR Supraにも先行を許した。一方、No.16は22周目まで野尻が走り続けてから佐藤蓮へ交代。ピットアウトしたNo.16は、先に作業を終えていたNo.17の前でコースへ復帰し、ARTAの戦略が一度はトップ交代を実現させた。
塚越と佐藤蓮の一騎打ち
ピットアウト直後、タイヤに熱が十分入っていないNo.16に対し、No.17の塚越広大がヘアピン立ち上がりから接近した。2台は並走状態のままスプーンカーブへ進入し、塚越が再びトップを奪い返した。ここからNo.17とNo.16による一騎打ちが展開される。前半を担当した野村と野尻に続き、後半を任された塚越と佐藤も一歩も引かない。鈴鹿は高速コーナーが連続し、前走車へ接近すると空力的な影響を受けやすい。それでも佐藤は一定の間隔を保ち、GT300車両を周回遅れにするタイミングをうかがいながらプレッシャーをかけ続けた。

37周目、佐藤蓮が逆転に成功
勝負が動いたのは37周目だった。No.17が130R手前で周回遅れの車両を抜こうとした際、わずかにコースを外れて勢いを失う。直後に同じ車両へ接近したNo.16の佐藤蓮は、この一瞬の隙を逃さなかった。勢いを保ったままNo.17をかわし、トップへ浮上。予選Q2でミスを喫し、ポールポジションを逃していた佐藤にとって、その悔しさを取り戻す逆転劇となった。トップに立ったNo.16は徐々にNo.17との差を広げ、レース終盤に向けて主導権を確実なものとしていった。
No.16 ARTAが2024年以来の勝利
48周目、GT300のNo.52 Green Brave GR Supra GTが130Rでコースアウトし、バリアに衝突するアクシデントが発生した。車両回収とバリア修復のためフルコースイエローが導入され、続いてセーフティカーが出動。レースは再開されないまま、52周目にセーフティカー先導でチェッカーフラッグが振られた。
No.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTが1時間47分00秒904で優勝。ARTAのNo.16にとっては2024年以来の勝利であり、野尻智紀はGT500最多勝記録を11勝へ更新。佐藤蓮にとってはGT300を含めてSUPER GT初優勝となった。

PRELUDE-GTが鈴鹿の表彰台を独占
2位は優勝したNo.16から2.220秒差のNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GT、3位は3.011秒差のNo.8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTとなり、Honda HRC PRELUDE-GTが表彰台を独占した。4位にはNo.23 MOTUL Niterra Z、5位にはNo.38 KeePer CERUMO GR Supraが入った。

前戦富士でNo.100とNo.8が1-2フィニッシュを達成したPRELUDE-GTは、今回の鈴鹿ではさらに上を行くトップ3独占を実現。デビューから短期間で、予選の一発の速さだけでなく、決勝でのタイヤ性能、レースペース、戦略面でも高い完成度を示したといえる。
GT500クラス決勝結果(5位まで)
| 順位 | No. | マシン | ドライバー | ラップ | ベストラップ | 差 | タイヤ | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 16 | #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT | 野尻 智紀佐藤 蓮 | 52 | 1’48.567 | 26 | ||
| 2 | 17 | Astemo HRC PRELUDE-GT | 塚越 広大野村 勇斗 | 52 | 1’48.648 | 2.220 | 18 | |
| 3 | 8 | #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT | 太田 格之進 大津 弘樹 | 52 | 1’48.707 | 3.011 | 32 | |
| 4 | 23 | MOTUL Niterra Z | 千代 勝正高星 明誠 | 52 | 1’48.963 | 3.500 | 28 | |
| 5 | 38 | KeePer CERUMO GR Supra | 大湯 都史樹 小林 利徠斗 | 52 | 1’48.622 | 3.850 | 42 |

GT300はNo.9 BMWが完璧なレース運び
GT300では、ポールスタートのNo.9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMWを駆る藤原優汰が好スタートを決め、レース序盤から首位を守った。
2番手No.777 D’station Vantage GT3、3番手No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT、No.60 Syntium LMcorsa LC500 GT、No.18 UPGARAGE AMG GT3が後方で激しく争う一方、No.9は安定したペースで周回を重ねた。
各車が16周目付近からピットへ向かうなか、No.9は24周目まで藤原を走らせ、冨林勇佑へ交代。ライバルより遅いタイミングでピットに入りながら、トップを維持したままコースへ復帰することに成功した。

PACIFIC RACING TEAMが悲願の初優勝
後半を担当した冨林もペースを崩さず、No.9は後続との差を広げていった。2番手を走っていたNo.60が42周目にトラブルで後退すると、No.7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVOが2番手、No.18 UPGARAGE AMG GT3が3番手へ浮上。
終盤のセーフティカーによってレースは48周で成立し、No.9 PACIFIC ウマ娘 NAC BMWが1時間47分16秒526でポール・トゥ・ウインを達成した。

冨林勇佑、20歳の藤原優汰、そして2009年からGT300へ参戦してきたPACIFIC RACING TEAMにとって、これがSUPER GT初優勝となった。
2位はNo.7 CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO、3位はNo.18 UPGARAGE AMG GT3。4位に入ったNo.777 D’station Vantage GT3は、GT300ドライバーズランキング首位へ浮上した。

GT500のランキングでは、9位でフィニッシュしたNo.36 au TOM’S GR Supraの坪井翔/山下健太組が50ポイントで首位を維持。優勝したNo.16の野尻智紀/佐藤蓮組が36ポイントで2位へ浮上した。PRELUDE-GTは富士での初優勝から、わずか3週間後の鈴鹿で表彰台独占を達成したことになる。サクセスウエイトがさらに増える次戦以降、この勢力図がどう変化するか。2026年シーズンのタイトル争いは、いよいよ予断を許さない局面へ入った。

GT300クラス決勝結果(5位まで)
| 順位 | No. | マシン | ドライバー | ラップ | ベストラップ | 差 | タイヤ | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 9 | PACIFIC ウマ娘 NAC BMW | 冨林 勇佑藤原 優汰 | 48 | 1’58.460 | |||
| 2 | 7 | CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO | ザック・オサリバン 梅垣 清 | 48 | 1’59.624 | 4.429 | 48 | |
| 3 | 18 | UPGARAGE AMG GT3 | 小林 崇志新原 光太郎 | 48 | 1’59.282 | 6.621 | 8 | |
| 4 | 777 | D’station Vantage GT3 | 藤井 誠暢チャーリー・ファグ | 48 | 1’59.968 | 7.563 | 70 | |
| 5 | 56 | リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R | ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ 木村 偉織 | 48 | 1’59.413 | 11.224 | 76 |

GT500クラス チームランキング(5位まで)
| 順位 | No. | マシン | Rd1 | Rd2 | Rd3 | Rd4 | Rd5 | Rd6 | Rd7 | Rd8 | 合計 | 差 | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 36 | au TOM’S GR Supra | 23 | 23 | - | 11 | 5 | 62 | 100 | ||||
| 2 | 16 | #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT | 8 | 9 | - | 5 | 23 | 45 | -17 | 66 | |||
| 3 | 14 | ENEOS X PRIME GR Supra | 11 | 18 | - | 7 | 6 | 42 | -20 | 62 | |||
| 4 | 100 | STANLEY HRC PRELUDE-GT | 7 | 6 | - | 23 | 3 | 39 | -23 | 54 | |||
| 5 | 8 | #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GT | 2 | 2 | - | 18 | 14 | 36 | -26 | 54 |
GT300クラス チームランキング(5位まで)
| 順位 | No. | マシン | Rd1 | Rd2 | Rd3 | Rd4 | Rd5 | Rd6 | Rd7 | Rd8 | 合計 | 差 | SW |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 56 | リアライズ日産メカニックチャレンジGT-R | 5 | 28 | - | 14 | 14 | 61 | 98 | ||||
| 2 | 777 | D’station Vantage GT3 | 28 | 12 | - | 3 | 16 | 59 | -2 | 96 | |||
| 3 | 7 | CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO | 6 | 7 | - | 19 | 23 | 55 | -6 | 88 | |||
| 4 | 2 | HYPER WATER INGING GR86 GT | 23 | 14 | - | 12 | 3 | 52 | -9 | 80 | |||
| 5 | 31 | apr LC500h GT | 19 | 19 | - | 5 | 8 | 51 | -10 | 78 |
第5戦を終了して、GT500クラスは開幕2連勝のNo.36 au TOM’S GR Supraが首位をキープ。2位にはNo.16 #16 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTが割って入ってきた。残り3戦全く予想がつかない状態だ。GT300クラスはNo56 リアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rが手堅い走りで首位をキープしているが5位までにおいては団子状態でこちらも全く予想がつかない。次戦は魔物が棲むスポーツランドSUGO。ホンダ勢はこの勢いに乗って駆け抜けたいところだ。
GTカーが激しいバトルを繰り広げるSUPER GT。是非ともサーキットに足を運んで、直にレースの迫力を感じてほしい。
Text:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Photo:Hisao Sakakibara

