初テスト このちょっといかしたルノーのSUVクーペ 果たして日本導入はアルカナ? フルレポート!

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ルノーは新型アルカナで、BMW X4のスタイルを持つハッチバックSUVを発表した。

BMW X4、メルセデスGLCクーペ、そしてそれに類するその他の競合モデルに対するルノーの答え、それがアルカナだ。我々は、140馬力のこのSUV車を早速試乗してみた。

SUVでルーフのクーペラインを得意技としているのは、ほとんどドイツのプレミアムメーカーだけだ。
しかし、ルノーは「アルカナ」を発表し、これにチャレンジした。
「アルカナ」は、「GLCクーペ」などに比べて格段に安いだけでなく、全長約4.80mのプレミアムの仲間たちよりも小さくコンパクトだ。
とはいえ、「アルカナ」はスペースを決してケチっているわけではない。
2列目に入る時には少し頭を下げなければならないが、少なくとも身長が1.85m以下であれば、頭の上には十分なスペースがある。

最初のドライブでは、ベーシックなガソリンエンジンが搭載されたモデルが用意された。
そのモデルに搭載された適度なパワーを持つターボエンジンが、骨太のSUVを勢いよく前進させ、意外といい仕事をする。
また、ルノーは前輪駆動を基本としているため、車重は1.4トンと軽い。
そして、260Nmのガソリンエンジンは、少なくとも無積載状態(最大526kgの積載容量)では、それに十分である。
これは、内燃機関だけが単独で働くのではなく、新しい12ボルトのマイルドハイブリッドシステム(助手席下のリチウムイオンバッテリー)が脇を固め、スタータージェネレーターが加速を助けていることにもよる。
高速道路では、トップスピードに至るまでには時間が必要だが、それでも足りないというほどでもない。
「アルカナ」のチューニングは、どちらかというと快適性を重視している。
さらに好感が持てるのは、試乗中にオンボードコンピューターが示す消費値が8リットル(リッターあたり約12キロ)前後であることだった。
エコモードでスロットルを上げれば、非常にシャープに表示された10インチのデジタルメータークラスターの中に、後方に突風が吹いている小さなグリーンの車が見える。これは、「アルカナ」が現在、エンジンを切って燃料を節約しながら航行していることを示す、素敵なデザインの表示だからだ。
R.S.ラインのダイナミックな外観は、「アルカナ」のサスペンションがしっかりしているが、かなり快適であるという事実を隠すことはできない。
18インチのホイールは、ツイストビームアクスルによるサスペンションの性能を期待できないにもかかわらず、適度な乗り心地を維持している。

スポーティな外観にかかわらず、乗り心地は、18インチのホイールとの相性が常に良く快適だ。

価格: フルハイブリッドモデルは32,500ユーロ(約425万円)から。
発進時にデュアルクラッチトランスミッションが時々ギクシャクすることがあるものの、これはおそらく微調整が必要なだけで、それ以外は目立つこともなく気持ちよくギアチェンジしてくれる。
なお、ディーゼルエンジンは予定されておらず、「クリオ(ルーテシア)」でおなじみのE-Tech 145のモデルの追加設定が予定されている。
価格は、内燃機関を搭載したベースモデルが27,850ユーロ(約364万円)からで、フルハイブリッドは、32,500ユーロ(約425万円)からとなっている。
その後、160馬力のマイルドハイブリッドバージョンも登場する予定だ。

140馬力の出力と軽い電動アシストで、アルカナは10秒以内に0から100km/hまでに到達する。

テクニカルデータ: ルノー アルカナ
● エンジン: 4気筒ターボ、フロント横置き ● 排気量: 1332cc ● システム最高出力: 103kW(140PS)@4500rpm ● 最大トルク: 260Nm@1750rpm ● 駆動方式: 前輪駆動、7速デュアルクラッチ ● 全長×全幅×全高: 4568×1802×1571mm • 乾燥重量: 1411kg • ラゲッジコンパートメント容量: 513~1296リットル ● 最高速度: 200km/h ● 0-100km/h加速: 9.8秒 ● 燃費: 18.8km/ℓ ● CO2排出量: 122g/ℓ ● 価格: 27,850ユーロ(約364万円)より

結論:
シックなアルカナからは、よくまとまった第一印象を受ける。
スポーティなラインはほとんど妥協を必要とせず、シャシーも厳しくチューニングされていない。
また、2列目のスペースも許容範囲内だ。
AUTO BILDテストスコア: 2

このルノーのSUVクーペであるアルカナだが、日本への導入は「アルカナ」、と聞かれると微妙なところなのかな、と思う。確かにスタイリッシュだし、おそらく本質的な部分では骨太で実用性もそれなりに高い一台なのだろう。だがルノーというメーカーの中の一台としてこの車を見た場合、ちょっと異質というか、ルノーらしくないことも事実である。
ルノーを、特にこの日本で愛するユーザーがルノーに求めるのは、カングーのような愛らしい実用性を持った自動車や、スポールのような快速で優れたハンドリングを持つモデルであったり、トゥインゴやメガーヌのような洒落た小型車あったりするのではないか、と勝手ながら推測してしまう。そういう観点からするとこのアルカナは、ちょっとどのジャンルにも当てはまらないし、このクルマだけという魅力にやや欠けるのではないだろうか。
もちろんスタイルも全体的なセンスも、決して悪くはないし、大きさも手ごろだ。だがこのジャンルには似たようなモデルが多数あるし、日本に導入しても苦戦するのではないか、というのが個人的な予想である。

Text: Stefan Novitski
加筆: 大林晃平
Photo: Holger Karkheck / AUTO BILD