このクルマなんぼ? 伝説のBMW M1 40年間で走行距離たったの2,700km その値段は?

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わずか2,700kmの40年前のBMW M1販売中! このBMW M1は事実上の新車だ。40年間でたったの2700kmしか走っていないM1がこのたび販売されることになった。その価格は驚愕? それともリーズナブル?

「M1」は、BMW史上最も価値のあるモデルのひとつだ。
ウェッジシェイプのスーパースポーツカーで、特徴的な跳ね上げ式ヘッドライトを持つこの車は、1978年から1981年の間に、わずか453台しか製造されず(うち54台はレーシングバージョン)、今日では市場にはめったに見かけない上に、その金額も定かではない。
6~7年前には、運が良ければ20万~25万ユーロ(約2,600~3,250万円)で購入できた「M1」だが、現在では50万ユーロ(約6,500万円)以下で購入できる例はほとんどないという。

メルセデスのスペシャリストであるメカトロニック(Mechatronik)は、サブブランドであるカーティーク(Cartique)で、コレクターズアイテムやスーパースポーツカーを扱っているが、現在、とてもスペシャルな「BMW M1」を出品している。

この白い「BMW M1」は1981年に製造されたもので、最後に製造されたものの一台と言われている。
写真で見る限り、このBMWは新車とほとんど見分けがつかない。
塗装は完璧、内装も無傷で、傷やへこみなどのダメージもなく、過去40年間の走行距離は驚くべきことに3,000kmに満たない。
これ以上のコレクターズアイテムの「M1」を探してもほぼ無駄だろう。
それでは、このスペシャル「M1」の背景を探ってみよう。

全長4.36メートル、しかし高さはわずか1.14メートル。ジョルジェット ジウジアーロがデザインしたBMWは、今も時代を超えて愛され続けている。

ハンドクラフトBMW M1

広告に添えられた説明文によれば、出品されている「BMW M1」は、1981年3月6日にイタリアのBMWディーラーに納車された個体だとのこと。
このディーラーは数ヶ月後に、この「M1」をあるコレクターに売却し、そのコレクターはこの車をドイツに持ち帰った。
1982年1月21日、フランクフルトのBMW支店で最初の点検整備が行われた。
その時の走行距離は1,614kmだった。
そしてこの数字は、その後の39年間で、なんとその2倍にもならなかった。
その後、ジョルジェット ジウジアーロがデザインした初代「M1」をメカトロニックが手に入れたとき、その走行距離は2,700kmにも満たなかったのだ。

全長4.36メートルの「BMW M1」が、その自動車としての人生において、これまでほとんど運転されていないのは残念だ。
排気量3.5リッター、277馬力、330Nmの直列6気筒エンジン(M88)は、1,400kgの「M1」を軽々と走らせる。
ロードスピードは5.6秒で0から100km/hにまで到達し、当時の最高速度は262km/hとミュンヘンのメーカーは発表している。
また、このスーパースポーツカーは、BMWモータースポーツ社が初めて設計し、手作業で製造された車両でもある。

インテリアは新車といっても通じるほどだ。ここには摩耗や擦り傷は一切ない。

価格: M1の価格は80万ユーロ(約1億円超)弱になる見込み

BMWによる整備と新しく車検を受けて、この伝説の「M1」は購入できるようになった。
現在メカトロニック社が表示している価格は798,900ユーロ(約1億500万円)だ。
これは、ドイツ市場で最も高価な「M1」であると同時に、最も走行距離が少なく、最も状態の良い「M1」でもある。
冒頭で述べたように、50万ユーロ(約6,500万円)以下のM1はなかなか見つからず、コレクターであれば、ほぼ新車の状態であれば、それなりのプレミアムがつくのは当然のことと受け止めるであろう。
80万ユーロ(約1億円超)弱のこの特別な「M1」は、間違いなく歴代のBMWの中で最も価値のあるもののひとつと言えよう。
歴代のBMWモデルの中で、これ以上に高価と思われるのは、初期の「328ロードスター(1930年代)」と、同じく伝説的な「507ロードスター(1950年代)」だけだ。

「BMW M1」が登場した時にインパクトは今でもはっきりと覚えている。そしてその数か月後、白い「M1」が空輸で目黒通り沿いの並行輸入業者、「オートロマン」に入庫されたと聞いて、原付バイクでトコトコと横浜から見に行った(もちろんお店の外からそっと覗いただけだが)。
その後、その「M1」は矢田部のテストコースに持ち込まれ、さらっと250キロという速度をたたき出し、その時のレポートは今でもはっきりと覚えているが、とにかく「M1」というのはそういう風に、ちょっとクールでありながら超高性能な一台だったのである。
当時の評価は完全無欠なスーパーカーということと、内装がイマイチ地味ということ、そして当時のプレスキットが立派な木箱に入っていたという噂だった。プレスキットはもちろん見たこともないが、現物の「M1」にはその後(登場してから25年以上が経過した時に)ちょっとだけ乗せてもらう機会があったが、おおよそスーパーカーとは思えないほど重厚で高級感のある乗り味だったことが印象的だった。
「M1」のビジネス自体は結局成功したとは言えないが、今となっては生まれるまでの経緯を含め、興味深くそしてクールな空気を持ったスーパーカーであることは間違いない。だから1億円といわれる今回の価格、他のメーカーのスーパーカーに比べても個人的には安いのではないか、と思っているほどだ。

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Mechatronik