1. ホーム
  2. スポーツカー
  3. フェラーリなどのスーパーカー勢への挑戦「アウディ ヌヴォラーリ」最高速度は350km/h超! アウディの新型スーパーカーに初試乗

フェラーリなどのスーパーカー勢への挑戦「アウディ ヌヴォラーリ」最高速度は350km/h超! アウディの新型スーパーカーに初試乗

2026年8月31日

アウディが長年販売してきたR8の生産終了を発表した際、後継モデルの姿がまったく見えなかったことから、フォーリングスのファンは大いに落胆した。ところが今、ランボルギーニ テメラリオの技術とプラットフォームを用いた新型モデルが、499台限定で登場する。カリフォルニアの海岸沿いで初試乗を行った!

今やインゴルシュタットのラインナップを眺めても、自動車への情熱を満たしてくれるモデルはほとんど見当たらない。クーペ、カブリオレ、TT、そしてR8―アウディはスポーツカーを次々とラインナップから外してきた。高性能なRSモデルがあれど、パワフルなステーションワゴンやスポーティなクロスオーバー以上のものを求める顧客には響かない。

そこでアウディは、「ランボルギーニ テメラリオ(Lamborghini Temerario)」のプラットフォームとパワートレインを用い、わずか1年半あまりで「R8」の後継モデルを開発した。

この2シーターは、限定生産というだけでなく、その存在自体を特別なものとするため、モノリシック(一体構造)のカーボンボディを与えられ、「ヌヴォラーリ(Nuvolari)」という特別な名前を授けられた。

「ヌヴォラーリ」という名称は、20年以上前にも2+2シーターのコンセプトカーに使用されている。このコンセプトカーは、後にアウディA5クーペへと発展した。

その名の由来は、タツィオ ヌヴォラーリ(Tazio Nuvolari)がル・マン24時間レースで優勝した1933年にまでさかのぼる。1892年にマントヴァで生まれたタツィオ ヌヴォラーリは、第二次世界大戦前を代表する最も成功したレーシングドライバーのひとりだった。かつてアウトウニオンのワークスドライバーも務めた小柄なイタリア人は、1953年に亡くなるまで、その豪快なドライビングスタイルと、レーシングカーに乗る際に必ず身に着けていた黄色いセーターで知られていた。

生産台数わずか499台のヌヴォラーリは、アウディ史上最も希少なモデルのひとつである。

「ヌヴォラーリ」が、誰もが振り返るほど強烈な存在感を放っていることに疑いの余地はない。フロントのエアインテークは、さらなるダウンフォースを生み出し、高速走行時の揚力を抑えるとともに、パワートレインの冷却性能を向上させる。

アクティブエアロダイナミクスシステムの重要な要素が、格納式リアウイングである。このウイングは「クローズ」「ローロード」「ハイロード」という3つのポジションによって、ダウンフォースと空気抵抗を制御する。

「フロントスプリッターのリップからリアディフューザーに至るまで、エクステリアのすべての要素には明確な空力上の役割があります。そして、内外装を問わず、カーボンファイバーやアルミニウムなど、見えているものはすべて本物の素材です」そう説明するのは、マリブにあるアウディ アドバンスド デザインセンターの責任者、ガエル ブジン(Gael Buzyn)である。

限定生産が正式に決定すると、アウディは開発責任者を交代させた。ジェフリー ブコー(Geoffrey Bouquot)が去り、その後任としてルーヴェン モール(Rouven Mohr)が就任した。ザールブリュッケン出身の47歳であるモールは、それまでランボルギーニのCTOとして開発を統括しており、プラットフォームを提供する「テメラリオ」を熟知していた。これにより、プロジェクトは大幅に加速した。

「ヌヴォラーリは、アウディ初のハイパフォーマンスハイブリッドスーパーカーです。そのエアロダイナミクスと、世界初の『クワトロ・プレディクティブ・ライド』によって、新たな基準を打ち立てます」と、ルーヴェン モールは語る。

4基のモーターが1000馬力超を発生

パワーの源となるのは、最高出力588kW(800馬力)、最大トルク730Nmを発生する4.0リッターV8ツインターボガソリンエンジンである。「テメラリオ」と同様、内燃エンジンに加えて、デュアルクラッチトランスミッションに組み込まれたアキシャルフラックス式電気モーターと、フロントアクスルに搭載された2基の110kW(150馬力)電気モーターが駆動を担い、4輪を駆動する。

ハイブリッドシステムには、ランボルギーニのほぼ2倍となる容量7.3kWhのリチウムイオンバッテリーが組み合わされる。このバッテリーは、通常のクワトロであればプロペラシャフトが通る位置に搭載されているが、「ヌヴォラーリ」にはそのプロペラシャフト自体が存在しない。

重視されたのはEV走行距離ではなく、迅速な電力供給とエネルギー回生である。より大容量のバッテリーを搭載すれば重量が増加し、「アウディ ヌヴォラーリ」の走行性能に悪影響を及ぼすためだ。

システム最高出力736kW(1001馬力)により、0-100km/h加速を2.6秒、0-200km/h加速を6.8秒でこなす。最高速度は350km/hを超える。

アルカンターラとモータースポーツの雰囲気に包まれ、ドライバーの注意をそらすものはほとんどない。ここでは運転そのものが主役である。

全長4.74mのヌヴォラーリにおける技術的なハイライトは、予測制御式シャシーシステムである。コンピューターがステアリング角、加速度、ヨーレート、利用可能なグリップなどのデータを処理し、その情報をもとにトルク、制動力、空力荷重の配分を決定する。

内燃エンジンと3基のアキシャルフラックスモーターからなるパワートレインは、前後方向と左右方向へ正確にトルクを配分する。さらに、ブレーキがホイールスリップを抑え、アクティブエアロダイナミクスが適切なダウンフォースを確保する。

最大限の制動性能を担うのは、フロントに10ピストン固定式キャリパーと直径420×40mmのディスク、リアに4ピストンキャリパーと410×32mmのディスクを備えた高性能ブレーキシステムである。

ブレーキディスク内部の通風構造も専用に調整されており、一般的なカーボンセラミックシステムと比べて空気の流れを改善し、放熱性能を高めている。ブレーキによる回生能力は2.8MWにも達する。これはF1レベルの数値である。

サーキットで本領を発揮する

最初の試乗ですぐに実感できたわけではないが、「ヌヴォラーリ」のV8エンジンとハイブリッドシステムは、1001馬力という途方もないパワーを一気に解き放つ。その加速は、要求の厳しいスポーツカードライバーさえ満足させるはずだ。

公道でも圧倒的だが、サーキットではまさにスペクタクルである。低速域であっても、8気筒エンジンは自信に満ちたサウンドを響かせながら、決して耳障りにはならない。細身でアルカンターラに包まれたステアリングホイールは手によくなじみ、この種のスーパーカーとしては驚くほど扱いやすい。

アクティブリアウイング、ディフューザー、カーボンボディ―すべてのディテールが機能に従って設計されている。

「ダイナミック」「ダイナミック+」「トラック」といった走行性能重視のモードでは、リアウイングが完全自動で作動する。一方、ストレートでは最高速度と安定性を最適化するため、システムが「LDポジション」へ切り替わる。

F1でおなじみのドラッグ リダクション システム(DRS)は、Eハイブリッドモードを除き、ステアリングホイール上のボタンで手動操作できる。最高速度351km/hに到達できるのは、DRSを作動させた場合だけである。

高速コーナーでは、正確なハンドリングを実現するためにリアウイングが自動的に展開される。つまり、アクティブエアロダイナミクスは単に最高速度を高めるだけでなく、ドライビングダイナミクスの向上にも貢献しているのである。

テクニカルデータ: アウディ ヌヴォラーリ
• エンジン: V8ツインターボ+3基の電動モーター
• 排気量: 3,982cc
• システム出力: 736kW/1,001馬力(800馬力ガソリンエンジン、3 × 150馬力電動モーター)
• 最大トルク: 730Nm(4000~7000rpm)
• バッテリー: 7.3kWh
• 電動走行距離: 10km
• 充電速度: 7.4kW
• 駆動方式: 4WD
• 最高速度: 351km/h
• 0~100km/h加速: 2.6秒
• 公称燃費: 未公表
• トランスミッション: デュアルクラッチトランスミッション、8速
• 車両重量: 1,740kg
• 価格: 590,000ユーロ(約1億1,200万円)

Text: Stefan Grundhoff
Photo: Audi

編集部より
「R8」の生産終了によって途絶えたかに見えたアウディのスーパーカー。その空白を埋める「ヌヴォラーリ」は、単なる「ランボルギーニ テメラリオ」のアウディ版ではない。独自のカーボンボディ、予測制御式シャシー、強力な回生システム、そして351km/hという最高速度によって、フェラーリやランボルギーニと正面から競うモデルに仕上げられている。499台限定、価格59万ユーロ(約1億1,200万円)という設定からも、「ヌヴォラーリ」が「R8」の直接的な後継車というより、アウディの技術力を象徴する特別なスーパーカーであることがうかがえる。アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)