ランボルギーニ レヴエルトSV誕生!1065CVの最速V12
2026年9月2日
ランボルギーニは、V12プラグインハイブリッド・スーパースポーツ「レヴエルト」をベースに、性能、空力、軽量化、シャーシ、制御技術のすべてを研ぎ澄ました「ランボルギーニ レヴエルトSV(Lamborghini Revuelto SV)」を発表した。
最高出力は1065CV、システム最大トルクは1425Nm。0-100km/h加速2.4秒、最高速度345km/hという圧倒的な性能を備え、サンタアガタ・ボロネーゼで生産されてきたランボルギーニのなかで、最もパワフルかつ最速のモデルとなる。
生産台数は、ランボルギーニの創業年である1963年にちなむ世界限定1963台。「SV」の称号は、1971年のミウラSVから始まり、ディアブロSV、ムルシエラゴLP 670-4 SV、アヴェンタドールSVへと受け継がれてきた。イタリア語の「Super Veloce=超高速」を意味するこの2文字は、単なる高出力仕様ではなく、既存モデルの本質をより純粋なドライビングマシンへと昇華させた特別なランボルギーニにだけ与えられてきた。
「速さの増加」ではなく、ドライビング体験そのものを変える
ランボルギーニは、レヴエルトSVが目指す世界を「The Quantum of Driving」と表現する。これは数値を直線的に積み上げた通常の性能向上ではない。一定の境界を越えた瞬間に状態そのものが変化する「量子的飛躍」のように、ドライビング体験を別次元へ移行させるという意味が込められている。

ベースとなったレヴエルトも、すでに1015CVを誇るV12ハイブリッド・スーパースポーツである。しかしSVでは、単に50CVを追加しただけではない。エアロダイナミクス、サスペンション、ブレーキ、車両制御、インテリア、ドライバーとの接点に至るまでを再構築し、速さをより濃密かつ正確に味わえるマシンへと仕立て直した。
9500rpmまで回る自然吸気V12と3基のモーター
パワートレインの中心にあるのは、6.5リッターV型12気筒自然吸気エンジンだ。単体で825CV/9250rpm、最大トルク725Nm/6750rpmを発生し、最高回転数は9500rpmに達する。
これにフロント左右のアキシャルフラックスモーターと、V12後方に横置きされた8速デュアルクラッチトランスミッション上部の電気モーターを組み合わせる。フロント左右輪の駆動力を個別に制御する完全電動式トルクベクタリングにより、ターンインでは俊敏に向きを変え、コーナー出口では強大なトルクを効率よく路面へ伝える。

7.3kWhのリチウムイオンバッテリーも高性能化され、厳しいサーキット走行時における性能安定性はレヴエルト比で最大4倍に向上した。これにより、1周だけの速さではなく、走行を重ねても1065CVの性能を安定して引き出せるという。乾燥重量は1772kg、パワーウェイトレシオは1.66kg/CV。0-200km/h加速はわずか6.7秒である。
レヴエルト比80%増という圧倒的ダウンフォース
レヴエルトSVでは、外観を飾るためではなく、速さに直結する機能としてボディのほぼ全域が見直された。再設計されたフロントスプリッターとアンダーボディ、角度を持たせたフィン、固定式リアウイング、ガーニーフラップ、専用ブレーキ冷却チャンネルが、高速域で車体を路面へ押しつける。

フロントバンパーのフィンはホイールハウス周辺の空気を制御すると同時に、サイドクーラーへ効率よく空気を導く。ブレーキ冷却性能も12%向上した。リアではモータースポーツに着想を得たダブルウイング形状と、中央部の浅い迎角を組み合わせ、ダウンフォースと最高速に必要な空力効率を両立している。
その結果、総合ダウンフォースは標準レヴエルト比で80%、アヴェンタドールSVJ比でも10%増加。ダウンフォースと空気抵抗の比率を示す空力効率は、レヴエルトより60%向上した。高速コーナーの安定性を高めながら、直線で345km/hまで到達できる理由がここにある。
GT3由来の4ウェイ調整式パッシブダンパー
シャーシには、ランボルギーニのGT3レーシングカーから得た技術を応用した4ウェイ手動調整式パッシブダンパーを採用した。電子制御ですべてを車任せにするのではなく、伸び側と縮み側の減衰力を走行環境やドライバーの好みに応じて細かく調整できる、本格的なレーシングカーの考え方である。
ランボルギーニの研究開発部門が用意する推奨値を使えば、平坦なサーキット、起伏の大きな路面、ウェットコンディションといった状況に合わせたセットアップも可能だ。最適化されたサスペンションキネマティクスとの組み合わせにより、標準レヴエルトに対して敏捷性は17%、横方向グリップは10%向上している。
F1と耐久レースの知見を取り入れた新ブレーキ
制動を担うのは、新世代の「CCM-R Plus」カーボンセラミックブレーキだ。フロントに420×40mm、リアに410×32mmのディスクを装備。長尺カーボンファイバーによる3D構造、専用摩擦層、レーシングカー由来のベンチレーション機構を組み合わせ、200km/hから停止するまでの距離を110mに抑えた。
レヴエルト比でピーク減速度は11%、放熱性能は23%向上し、ディスク温度は12%低減。ウォームアップを待たずに強力な制動力を発揮し、周回を重ねても安定したペダルフィールと制動性能を維持する。
さらに車体中央付近に配置した6Dセンサーが、前後、左右、上下方向の加速度と、ピッチ、ロール、ヨーの角速度を測定。カルマンフィルターを用いる統合車両推定システムが、車速、スリップアングル、路面との瞬間的な摩擦係数を推定し、ブレーキ制御へ反映する。これにより制動距離を最大10%短縮するだけでなく、旋回しながらのブレーキングや縁石通過時でも安定性を確保する。
ドライバーに制御を委ねる「Pilota」モード
レヴエルトSVで初採用されたのが、専用の「Pilota」ドライビングモードである。ステアリングホイール右側の赤いロータリーノブで操作し、GT3の経験をもとに開発されたトラクションコントロールを5段階から選択できる。

穏やかな特性の「Strada」、反応を鋭くする「Sport」、サーキットで最大性能を引き出す「Corsa」に加え、Pilotaでは路面状況、タイヤの摩耗、ドライバーの技量に応じて介入量を調整できる。すべてを電子制御で覆い隠すのではなく、必要な安全性を残しながら、ドライバーが自らマシンを操る領域を拡大するシステムだ。
タイヤには、車両専用に開発されたブリヂストン「Potenza Race R」を採用。サイズはフロント265/35 ZR20、リア345/30 ZR21で、センターロック式の軽量ホイールと組み合わされる。
見た目にも明確な「SV」だけの存在感
エクステリアは、縦方向を強調したフロントのオメガデザイン、固定式リアウイング、ブラックアクセント、専用カラーリング、新デザインのSVロゴによって、標準レヴエルトとの差を明確にした。最大25点のエクステリア部品にビジブルカーボン仕様を用意し、専用リバリーは4種類から選択できる。

インテリアも「Feel Like a Pilot」の思想に沿って軽量化された。マット仕上げのカーボンファイバー製ドアパネルを標準装備し、カーボンシェル構造のスポーツシートを採用。さらに横方向のサポートと軽量化を徹底したモノコック・カーボンファイバー製レーシングシートも選べる。必要な情報と操作系をドライバーの周囲へ集約し、マシンとの物理的、感覚的な距離を縮めている。
ホッケンハイムリンクで量産車最速を記録
その実力は、ドイツのホッケンハイムリンクで証明された。ファクトリードライバーのマルコ・マペッリが1分41秒6を記録し、同サーキットにおける量産車最速記録を樹立した。
高速区間、ハードブレーキング、テクニカルコーナーが混在するホッケンハイムリンクでの記録は、1065CVという出力だけで達成できるものではない。空力、冷却、サスペンション、ブレーキ、電動トルクベクタリング、統合車両制御がひとつのシステムとして機能した結果である。

レヴエルトSVは、V12の存在感を電動化によって薄めたモデルではない。電気モーターと高度な制御を、自然吸気V12のレスポンス、サウンド、回転フィールをさらに引き立てるために利用したマシンである。1971年のミウラSVから55年。新たな「Super Veloce」は、ハイブリッド時代におけるランボルギーニの回答であり、ドライバーが主役であり続けるV12スーパースポーツの到達点だ。
テクニカルデータ:ランボルギーニ レヴエルト SV
内燃エンジン:6.5リッターV12自然吸気エンジン
排気量:6500cm³
内燃エンジン最高出力:825 CV/9,250 rpm
システム最高出力:1,065 CV
内燃エンジン最大トルク:725 Nm/6,750 rpm
トランスミッション:機械式LSD を備えた8速DCT
バッテリー:2.5 Ah 円筒型セル 7.3 kWh リチウムイオンバッテリー
電動システム最高出力:220 kW
システム最大トルク:1,425 Nm
最高速度:345 km/h
0–100 km/h 加速:2.4 s
0–200 km/h 加速:6.7 s
ブレーキ:CCM-R Plus カーボンセラミックブレーキシステム
タイヤ 前/後:265/35 ZR20 / 345/30 ZR21
タイヤ銘柄:ブリヂストン Potenza Race R
ホイールベース:2,779 mm
全長/全幅/全高:4,944/2,038/1,161 mm
乾燥重量:1,772 kg
パワーウェイトレシオ:1.66 kg/CV
前後重量配分:43:57
Text:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Photo:アウトモビリ・ランボルギーニ

