【ユニークな比較テスト】新型VWゴルフスポーツモデル GTI対GTIクラブスポーツ対R比較テスト その勝者は?
2021年4月6日
兄弟モデル同士の骨肉の争い。VWゴルフGTI対ゴルフGTIクラブスポーツ対ゴルフR。VW製3台のコンパクトスポーツカーを試乗。最もスポーティなVWゴルフはどれだ? ゴルフファミリー内部での戦い。GTI、GTIクラブスポーツ、Rの3台のスポーティゴルフがトップを争って戦う。果たして、ゴルフをリードするハイパフォーマンスモデルはどれだろうか??
血は水よりも濃いかもしれないが、沸騰するのも早い。
分かりやすく言えば、群れの中でのリーダーシップの主張は、常に一貫しているということだ。
だからフォルクスワーゲンのゴルフファミリーには、3人のスポーティな兄弟がいて、リーダー的役割を果たし、購入者の支持を得ようと互いに競い合っている。
標準の「GTI(最高出力245馬力)」に加え、「GTIクラブスポーツ」は最高出力300馬力、「ゴルフR」は最高出力320馬力で4輪を駆動する。
ゴルフの主役が誰なのか、レーストラックで確かめてみた。
テストの詳細は、以下、フォトギャラリーとともにどうぞ。
第3位 400満点中284点: VWゴルフGTI
日常的な使用に十分に適したコンパクトカーで、とても楽しい。だが残念ながらその内容には一貫したスポーツ性が欠けている。
第2位 400満点中295点: VWゴルフR
印象的な全輪駆動のドライブは、運転する喜びを感じさせてくれる。しかし、提供するものに対してその価格は正直高すぎる。
サーキットでは、新開発の全輪駆動が、いくつかの感嘆符を提供する。新開発のリアアクスル式トランスミッションを介して、車軸間だけでなく、後輪間にもパワーが配分されるようになっている。もちろん、ここでもネットワーク化されているシャシーシステム(ディファレンシャルロック、DCC)との組み合わせにより、圧倒的なトラクションと非常にニュートラルなドライビング特性を実現している。非常に速く感じられ、実際に非常に速いのだが、コンチドロームで「GTIクラブスポーツ」を追い越すことはできず、最終的にはたったのコンマ2秒だったが、差が付いてしまった(1分35秒7)。しかし、「ゴルフR」は、カミソリのように鋭い感じのする300馬力の「GTI」のような感じがしないのも事実だ。
第1位 400満点中297点: VWゴルフGTIクラブスポーツ
抜群の運転のしやすさと扱いやすさ、欲張りなエンジン、そしてその内容を考えればリーズナブルな価格だ。
「GTI」と「GTIクラブスポーツ」と「R」。
フォルクスワーゲン ゴルフには、今や純粋なガソリンのハイパフォーマンスモデルだけで3つもあるのだった。これにプラグインハイブリッドモデルである「GTE」と、ディーゼルエンジンの「GTD」を交えると、5種類のハイパフォーマンスバージョンがあって、これじゃあいったいどれにしようか悩むのは当たり前である。
自分で買うとしたらいったいどれにしようと思うし、「GTI」がいいのか「R」がいいのか、といった話題は自動車好きの間の酒のつまみとしていつも適当な話題である。今回面白かったのは、「GTI」と「GTIクラブスポーツ」が最下位と一位だったことで、「クラブスポーツ」というものがそれほど良いのか、と驚いたと同時に、だったら全部「GTIクラブスポーツ」にしちゃダメなのだろうか、という疑問である。まあ「GTIクラブスポーツ」は辛口バージョンだから、普段の使用には「GTI」のほうが適しているのかもしれないし、その名の通り、国境を越えるようなグランドツーリングには普通の「GTI」のほうが適しているのだろう。
その一方、全輪駆動からハイパワーエンジンまで、総てんこ盛りの「R」は、オールマイティーの自動車のようにも思えるが、やはり750万円を超える価格を考慮すると、その購入に踏ん切りがつかなくなる気持ちもよくわかる。また純粋なクルマを操る場面では、全輪駆動という部分がネックになるのかもしれない。
それにしても、どのゴルフも本当にハイパフォーマンスカーになったものだ。普通のボクスターとかケイマンを上回るパフォーマンスを見ると、これ以上の性能は必要ないだろう、と感じると同時に、純粋な内燃機関のハイパフォーマンスVWゴルフが欲しい人にとっては、多くのバリエーションの中から自由に選択できるチャンスは、今が最後でもある。
Text: Gerald Czajka, Tim Dahlgaard
加筆: 大林晃平
Photo: Roman Raetzke / AUTO BILD