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【この190 5.0 V8シュルツなんぼ?】SECのフロントマスクにSLCのエンジンを組み合わせたメルセデス190(W201)が2700万円に値下げ!

2026年8月16日

ドイツの中古車情報:2026年5月の初回記事公開から約3カ月が経過したが、このメルセデス190は現在も販売されている。その間に価格は3万ユーロ(約555万円)引き下げられ、現在は14万9890ユーロ(約2772万円)となっている。

このベイビーベンツは、まさに「羊の皮をかぶった狼」だ。非力な4気筒エンジンの代わりに、この190にはメルセデスSLC用の5.0リッターV8が搭載されている。ところが、その価格には驚かされる!

約180万台が生産されたメルセデス190。現在では「ベイビーベンツ」の愛称で親しまれるW201は、堅牢なメカニズムを持つことから、ファンの間で人気の高い日常使いできるクラシックカーとなっている。190は工場出荷時には4気筒、5気筒、6気筒エンジンのみが設定されていた。

SEC風のフロントマスクによって、「ベイビーベンツ」は唯一無二のルックスを手に入れている。

もちろん、小さなメルセデスに大排気量V8を搭載するなど、当時は想定されていなかった。しかし、エーリッヒ シュルツ(Erich Schulz)はそんなことを気にせず、実際に試してしまった。そしてチューニング界のベテランは、450 SLC 5.0に搭載されていた5.0リッターV8(M117)を190に移植。控えめな外観の190を、本物の「羊の皮をかぶった狼」へと変貌させたのである。

5.0リッターV8、最高出力240ps

理論上は簡単そうに聞こえるこの作業も、実際にはそう簡単ではなかった。大型V8をエンジンルームに収めるためには、大規模な改造が必要だったのだ。しかし、風変わりな「190 City」を手がけたことでも知られるシュルツは、当時すでに190のスペシャリストとして認められていた。そして、このエンジンスワップは見事に成功した。

240psを発生するこの「190」は、1990年に235psで登場した最上級モデル、メルセデス190 E 2.5-16 Evo IIの最高出力さえ上回っている。

トルクではさらに大きな差がつく。400Nmを超える「190 5.0 V8」は、高回転型エンジンを搭載するEvo IIの245Nmを完全に圧倒する。マニュアルトランスミッション仕様では、100km/hまでわずか6.4秒で到達するとされ、最高速度は約260km/hに達するといわれている。

「小さな車体にも大きなエンジンを」。W201のエンジンルームには、実際に大型V8が収まっている。しかし当時の報道によれば、シュルツはなんと補強用の支持部材を切断してしまったという。

シュルツ チューニング(Schulz Tuning)によって製作された190 5.0 V8の正確な生産台数は明らかになっていない。当時の価格は8万ドイツマルク(約800万〜1,000万円以上)を超えていた。26台という説がある一方、それよりはるかに少なかったとする情報も存在する。いずれにしても、「メルセデス190 5.0 V8」が極めて希少なモデルであることに変わりはない。

控えめなデザイン、高価なホイール

だからこそ、いまだに中古車市場にこの1台が残ってていることには驚かされる。デュッセルドルフ近郊のノイスにある販売店「AutoSL GmbH」が扱っているのは、オリジナルのシュルツ190だ。一見したところ、非常に良好なコンディションに見える。

190 5.0 V8を詳しく見てみよう。大規模なメカニカルチューニングだけでなく、シュルツは外観にも手を加えている。フロントには126シリーズを思わせる大型のスリーポインテッドスターを装着。さらに、現在の基準からすれば控えめなボディキットと小型スポイラーも備えている。

そのほかの特徴として、楕円形のテールパイプや、センター部分をペイントしたオリジナルのAMGペンタホイールが挙げられる。

もともとやや地味だったインテリアにも手が加えられた。大幅に向上した性能に対応するため、300km/hまで刻まれたスピードメーターを装備。3本スポークのスポーツステアリングホイールと、チェック柄のファブリックを使用したシート―おそらくR129型SLから流用されたもの―が、室内に特別な雰囲気を与えている。

目がくらむような価格

ここで価格の話に戻ろう。この「190」が初度登録されたのは1983年11月。現在の走行距離はわずか7万5657kmだ。車検(TÜV)も取得済みの希少なW201だが、その販売価格はなんと17万9890ユーロ。わずか502台しか生産されなかった「190 E 2.5-16 Evo II」に近い価格となっている。

インテリアは大幅にアップグレードされている。2022年のオークション写真を見ると、当時の190にはベージュのコックピットが装着されていた。

4年前には3万3350ユーロで落札

この価格設定の根拠となっているのは、何よりも希少性と、完全に記録された車歴だ。しかし少し調べてみると、同じ個体が2022年10月、ドロテウムのオークションでわずか3万3350ユーロ(約617万円)で落札されていたことが分かる。現在の販売価格とは比較にならないほど安い。当時の走行距離は7万5553kmだった。

オークションの説明によれば、この「190」は長期間保管されていたことによるダメージを抱えていたという。どうやら2016年から一時抹消状態だったようだ。また、かつてはベージュのインテリアだったことも確認できる。現在は、車両のキャラクターによりマッチしたブラックのインテリアへと交換されている。

その後、この「190」には現在の状態に仕上げるため、かなりの金額が投じられたと考えられる。それでも、当時のオークション価格を考慮すると、17万9890ユーロ(約3328万円)という販売価格は明らかに高すぎるように思える。シュルツ チューニング(Schulz Tuning)による「190」がどれほど希少であったとしても、だ。

結論:
V8を搭載したメルセデス190は、確かにカッコいい!当時のテストでは、品質の低さやブレーキ容量の不足など、このコンバージョンが必ずしも高く評価されなかったことは事実だ。しかし、それとは別の問題として、わずか4年前に3万3350ユーロで落札されたクルマが、現在ではその約5倍の価格で販売されている。この価格には、さすがに驚かされる。

Text: Jan Götze
Photo: AutoSL GmbH