クラッシックカーイベント参加記(後編)「コンコルソ デレガンツァ デラ ヴォルペ ビアンカ」「Concorso d’Eleganza della Volpe Bianca」
2026年8月19日
2026年7月25日土曜日、愛知県豊川市の豊川稲荷で開催されたクラッシックカーイベント「コンコルソ デレガンツァ デラ ヴォルペ ビアンカ」に、日頃からクラッシックカーのイベントで大変お世話になっているポルシェ愛好家の岐阜県在住のK氏と一緒に参加したので、その様子を報告する。今回は2回の連載のうちの後編である。
ランウエイショー
空が大分暗くなってきた19時20分、我々の356はヘッドライトを点け、赤絨毯が始まる参道東側の鳥居のスタート地点に。2人の女性が持つ大きなスタートフラッグの前で、フラッグが振られるのを待つ。

ランウエイショーのスタート地点にて。この時は大きなフラッグで赤絨毯の先が見えない。
そして、フラッグが振られると、目の前に赤絨毯の直線とその奥に本殿が目に入る。赤絨毯が敷かれた参道の両側には、切れ目ない人垣が本堂の方まで続いている光景にとにかく驚いた。

フラッグが振り上げられると、目の前には本堂に向かい赤絨毯が。そして両側の観客の多さに驚かされた瞬間。
そしてゆっくりスタート。よく見ると参拝に来た若いカップルや子連れの家族も多く、スマホやカメラがこちらに向けられているので、窓から手を振りながらランウエイをゆっくり進む。両側にはおそらく200人以上は居たであろう。私は昨年3月の薬師寺で開催された「コンコルソ デレガンツァ ジャパン 2025」のランウエイショーしか見たことがなかったが、今回は観客の方々が想像以上に多くとても驚いたと同時に、普段中々見かけないクラッシックカー達が動く姿を、多くの一般の人達に間近で見て頂ける素晴らしいイベントだと感じた。
その後、約100mの赤絨毯の上を走りきると、参道西側の鳥居の下で一旦停止。ここから先は、一台ずつ、何人もの誘導に従い、やや登りのスロープを本殿まで走り、本殿の前でUターン。そこでクルマに乗りながら火打ち石によるお祓いを受ける。この時、空はすっかり暗くなっており、僧侶さんの火打ち石の火がはっきりと見えた。その後は再び、来た参道をゆっくり戻る。この時も両側の観客の多さに驚きながら、赤絨毯の上に戻ってきた。そして、参道東側の鳥居を先頭に、参加車両は順番に赤絨毯の上で停まり、そのまましばらく展示されることに。停止位置もスタッフがしっかり誘導してくれ、停止後356のエンジンを切る。

手を振りながら赤絨毯の上を参道西側の鳥居までゆっくり走り、ここで一旦停止。ここでも両側に人の列が。

誘導に従い本堂の前までゆっくり進む。本堂前の左右に守護神の豐川吒枳尼眞天(とよかわだきにしんてん)のお使いとして1対(2体)の狐の像が向かい合って鎮座しているのが見える。

スタッフの誘導で本堂の前でUターン。

Uターン後、本堂の前で356に乗ったまま僧侶さんからの火打ち石によるお祓いを受ける。

お祓いを受けた後、ゆっくりと参道を戻る。この付近も両側には人の列の切れ間が無い。

誘導スタッフに従い、前のクルマに続き赤絨毯の上にクルマを停める。これでランウエイショーが終了。
オーナーの粋なはからい
我々が356の外に出ようとした時、前のクルマの1955年MG Aのオーナーが、近くで観ていた家族連れと話をしているのが見えた。その後、MG Aのオーナーは運転席側のドアを開け、その家族に、「どうぞ乗ってください」と言っている様だ。すると父親が小学生位の男の子を運転席に座らせ、写真を撮っている。側にいた母親も笑顔一杯で、もう1人の女の子も次に乗りたがっている様子。MG Aオーナーの粋なはからいである。後ろに停めた356の中から見ていて、正に文化だと感じる瞬間であった。

1955年MG Aのオーナーが男の子を運転席に座らせてあげているシーン。
「YORUMO-DE(ヨルモウデ)」の光景
そして356の外に出ると、後ろにはランウエイショーが終わった参加車両が次々に停められていく。その反対車線は、今から本堂に向かうクルマ達がゆっくり進んで行く。赤絨毯の上で中々見られない光景である。

356の後ろにランウエイショーが終わった参加車両が続々と停められていく。左は今から本堂に向かう1966年アルヴィス3.0Lグランバー・スーパー・クーペ。

手前は赤絨毯の上を本堂に向かって走り出す1938年BMW326カブリオレ。
全車両の本堂への参拝が終わり、全車両がランウエイショーの行われた参道に展示されると、参拝者がクルマを間近で眺めたり、オーナーと話をしたりしている光景が繰り広げられた。また、本堂近くに停められたクルマ達は、本堂も含めてライトアップされ、正にニュースタイルの夜間参拝イベント「YORUMO-DE(ヨルモウデ)」の光景であった。そして20時半頃、356を赤絨毯の上に停めたまま、K氏と表彰式に向かった。

全ての参加車両のランウエイショーが終わり、参道の赤絨毯の上にクルマが停められ、参拝者も近くで眺められる機会となった。

本堂前にも参加車両が並ぶ幻想的な世界。まだ参拝者が訪れている。
表彰式
表彰式は参道南側の美術館2階の会場で開催された。中に入ると皆さん、グラスを片手にお酒と会話を楽しんでいる。いつもなら私ももっと飲みたかったが(笑)、この日の暑さと体調を考え、この先は飲まないと決め、カウンターでお水をグラスに頂き飲んでいた。すると会場で、再び沼田亨さんにお会いした。沼田さんもかなり汗をかいているように見えたので、「私が今飲んでいるのは、お酒ではなくお水ですよ。向こうのカウンターでもらえますよ」と伝えると、早速、沼田さんはカメラを抱えながらカウンターに向かって行った。とにかくこの日は、こまめに水分補給を取る様に心掛けていた。実は今日私は、K氏に何人もお知り合いの方々を紹介して頂いていたので、最後の表彰式ではその方々とお話を楽しませて頂くことができた。

美術館2階の表彰式会場。一部の方は浴衣を着ている。
そして、表彰式が始まった。表彰式では、審査員5名(豊川稲荷の福山憲隆氏(審査委員長)、画家の大久保澄子氏、オペラ歌手の小川里美氏、モデルの平山琴美氏、墨絵師の西元祐貴氏、)がそれぞれ1台を選び、「The Best of Show」を含め5台が表彰された。
大久保 澄子氏:1947年フィアット1100 MM
小川 里美氏:1953年ポルシェ356プリA
平山 琴美氏:1955年MG A
西元 祐貴氏:1928年ランチア・ラムダTipo224
The Best of Show
福山 憲隆氏(審査委員長):1938年アルヴィス4.3Lランスフィールド・コンシールド・フード

審査員5名の方々。左から、小川里美氏、大久保澄子氏、西元祐貴氏、平山琴美氏、審査委員長の福山憲隆氏。
K氏の356は審査員の小川里美氏に選ばれ、アナウンスに従いK氏はステージに上がっていくが、私は最後までステージの前で受賞者の写真撮影を行っていた。すると、ステージ上に居るK氏から、一緒にステージ上がる様に声が掛かり、私も一緒にステージの上に。その瞬間私は、クルマのイベントで、ステージに上がったのは初めてだ、と思い出した(それも自分のクルマではないのに(笑))。ステージの上から会場を見ると、意外に多くのスマホやカメラがこちらに向けられているのが分かった。最後はカメラマンの沼田さんが、受賞者全員を記念撮影。カーグラフィック誌10月号に掲載される様で、楽しみが一つ増えた。そして、ステージを降りる直前、小川里美氏とK氏と私の3人で私が「自撮り」をしていると、側にいた沼田さんが「有賀さんのスマホで撮ってあげますよ」と言って、プロの沼田さんによる写真撮影のサービスも。その後も、表彰式は続き、全てが終了したのは21時過ぎであった。

受賞された5組の皆さんと5名の審査員。この後私は、K氏に誘われ左側の空いているスペースに立つことに。

(右から)ポルシェ356プリAを選んだ審査員の小川里美氏とオーナーのK氏と筆者。
岡田邦雄さん
表彰式が終わり、K氏と会場を出る直前、近くに実行委員の岡田邦雄さんを見つけ、K氏と今日のお礼とご挨拶をさせて頂いた。岡田さんにお会いするのは、4月のコッパディ小海以来だが、私がアウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)のWEBサイトに書いた「コッパディ小海2026」の記事の感想も聞かせて頂き、今後の励みになったと同時に、今日一番嬉しい瞬間であった。そして、岡田さんから、「今日のイベントも是非、記事に書いてください」と嬉しいお言葉も頂き、K氏と会場を後にした。
帰路へ
K氏と表彰式で頂いた商品を持ちながら、表彰式会場の美術館を出て、すぐ目の前の参道の赤絨毯の上に停めている356に戻って来ると、フロントシートの後ろに、頂いた商品を積み込んだ。周りのクルマも徐々にエンジンが掛かり始める。356もやはりスターターボタンを押すと一発でエンジンが掛かる。参道東側の鳥居をくぐり、大勢のスタッフの誘導に従い、豊川稲荷を後にしたが、おそらく10名近いスタッフに最後まで誘導していただき、改めて暑い中、遅くまで大勢の皆さんに支えられたイベントであったと感じた。
その後、豊川インターから東名に入る。昼よりも気温が下がったので、ここからは夜のドライブである。この時間、東名はとても空いており、西を目指す。356は夜でもライトがとても明るく、全く不安はない。また、時には流れをリードして走り、エンジンも快調そのものである。356の中で、今日の話や356のクルマ話をしながら、22時に豊田市の私の自宅に到着した。朝356が迎えに来てくれてから13時間、暑さも忘れるとても有意義な楽しい経験をさせて頂き、とにかく今日は356の想像を超えるポテンシャルの高さを体験できた貴重な日であった。
最後に、今日のイベント関係者やスタッフの皆様、そして誘って頂いたK氏と356に心から感謝したい。

夜の東名高速を西に走る356。ヘッドライトも明るくエンジンも快調であった。

自宅に着いたのは22時。この後K氏は更に1時間356をドライブして、無事に帰宅された。
フォトライブラリー

参道西側の鳥居から先は、1台ずつ走行し本堂前でお祓いを受ける。右は2003年TVRタスカン。

356が本堂から戻って来た様子。すれ違うのは1971年マセラティ・ギブリ・スパイダー。

ランウエイショー終了後356を停める。右のすれ違うクルマは1928年ランチア・ラムダTipo224。

本堂に向かう1959年アストンマーチンDB2/4 MKⅢ d.h.c(左)。

本堂前の参道に並べられた車両の前を通過する1938年アルヴィス4.3Lランスフィールド・コンシールド・フード。The Best of Showを受賞。

ランウエイショー終了後、本堂前の参道にも車両が並べられた。手前は1974年マセラティ・カムシン。

瑞祥殿2階からの風景。ランウエイショー終了後の本堂と参道。幻想的な世界が広がった。まだ多くの参拝者が訪れている。

表彰式の様子。一部の人が「白い狐のお面」を頭に被っている。
Text & photo: 有賀英雄

