このクルマなんぼ? 麻薬王の所有した超希少な911 現在販売中 その価格は?

140

麻薬王パブロ エスコバルのポルシェ911カレラ3.0 IROC RSRが現在販売中。この極めて希少なポルシェ911RSRはかつて、伝説のレーサー、エマーソン フィッティパルディが実際にハンドルを握りレースで戦ったマシンで、その後、麻薬王のパブロ エスコバーの手に渡ったものだ。そして今、その希少なポルシェが驚愕の値段で売られている。

お金持ちのコレクターの皆さん、ご注目!

世界に1台しかない車を手に入れるチャンスだ。
現在、フロリダで、わずか15台しか製造されなかった、1974年製の非常に希少な「ポルシェ911カレラ3.0 IROC RSR」が販売されている。
このポルシェは、レース界のレジェンドであるエマーソン フィッティパルディがハンドルを握ってデビューしたマシンそのものだ。
その後、このスポーツカーは、コロンビアの麻薬王として有名になった、パブロ エスコバルのものとなった。
その事実は、人道的な観点からは、間違いなく大きなマイナスポイントだ。
しかし、皮肉なことに、そのことがかえって信じられないほど高額な販売価格に貢献しているようだ。
アメリカのディーラーは、この超レアな「911カレラRSR」に、なんと220万ドル(約2億4千万円)という法外な値をつけて販売している。

330馬力、900kgの乾燥重量

怪しげな過去の所有者を抜きにしても、このポルシェは非常に特別なものだ。
「911 3.0 RSR」は、1974年に約109台が製造され、そのうち54台がレース用だった。
そしてそのうち15台は、現在は廃止されている「IROC(International Race of Champions)」レースシリーズのために製作されたものである。
1976年に始まった「IROC」とは、異なるクラスのレーシングドライバーが同一のマシンで競い合うアメリカでおこなわれていたレースだ。
「IROC RSR」は、ボディはロードゴーイングRSのものを使用し、リアスポイラーはレーシングバージョンのものを採用した。
センターロック付きのマグネシウム製ホイールの後ろには、「ポルシェ917」のブレーキが装備されている。
リアには最高出力330馬力、最大トルク314Nmの3リッターフラットシックス(水平対向6気筒)が搭載され、約900kgという軽量の車重に仕上がっている。
当時普及しつつあったカラーテレビでの識別性を高めるために、15台の「ROC-RSR」にはすべて異なる塗装が施された。
その中で今回はサンドカラーのモデルが販売中である。

IROC-RSRは、ストリートバージョンのボディワークを採用していた。リアスポイラーだけはレーシングRSRのものを流用した。

パブロ エスコバルは、のちに購入後、この「RSR」を「935」ルックに改造した。
サンドカラーの塗装が施されたこのモデルは、ブラジル人レーサーのエマーソン フィッティパルディが最初のレースでドライブしたマシンだ。
その後、プライベートレーシングチームに引き継がれ、数年間、これまたアメリカの「IMSA(International Motor Sports Association)」レースシリーズで使用された。
広告によると、そのサンドカラーの「RSR」は1978年には「デイトナ24時間レース」にも参加している。
最終的に、このポルシェはパブロ エスコバルの手に渡った。
彼は、「ポルシェ935」のようなフラットなボディをフロントに採用し、コロンビアのレースに参加できるようにしたのであった。
しかし今回、完全なレストアによって「911」は最終的にはオリジナルの状態に戻された。

走行距離はわずか360km

レストア後の走行距離はわずか360kmだそうだ。
1974年以降の書類や記録はすべて揃っており、エスコバルの手元に在った頃の記録も残っている。
しかし輝かしい過去を持つこのレーシングカーを購入したい人は、220万米ドル(約2億4千万円)弱に相当する金額を「Atlantis Motor Group」に振り込まなければならない。
それは極めて大金ではあるが、最も希少な「911」の1台を手に入れることができるチャンスでもある。

RSRは標準モデルの911からステアリングホイールとダッシュボードを採用しているが、カーペットやドア内張といった装備はない。

麻薬王が所有していたという経歴が、果たして今の価値にプラスに転じるのか、マイナスに影響するのかはちょっと判断の難しいところではあるが、彼がこういうレーシーな911を所有していたという事実は、彼もきっと自動車が大好きだったんだろうな、ということを意味しよう。
麻薬王と聞くと、防弾ガラスで分厚い鉄板の装甲車のようなものに乗る、と勝手に連想してしまうし、この911も彼が自分で運転席に座って走らせていたかどうかはわからない。それでもあえてこのレーシーな911を選んだのだから、サーキットでも厳重に警備して貸し切り状態で、ちょっとは運転したのかもしれない。
という妄想はともかく、今やこういう特別なスペックで歴史を持った911は2億円以上というのが相場らしい。そしてこれからも、特にこういった特別な911の価格は高値安定傾向のまま進行すると予想される。911はやはり、それが大好きな人にとっては一層特別な存在なのだ。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: duPont REGISTRY