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【F1の危機?】F1ベルギーGPで噴出した新レギュレーションへの不満 「オー・ルージュ手前でアクセルを戻さなければならない」F1は“勇気のコーナー”を失いつつある ドライバーたちが警鐘を鳴らす

2026年7月29日

ベルギーGPが開催されたスパ・フランコルシャンで、新しいF1レギュレーションに対するドライバーたちの不満が再び噴出した。近年はハイブリッドパワーユニットへの批判もやや落ち着きを見せていたが、高速レイアウトで知られるスパ・フランコルシャンが現行ハイブリッドシステムの弱点を改めて浮き彫りにした。

かつては全開、今はエネルギー節約

問題となっているのは長い全開区間だ。ストレートを走り続けるとバッテリーの電力が尽き、電動モーターによるアシストが失われる。その結果、伝説的な高速コーナーであるオー・ルージュ、ブランシモン、プーオンでは、これまでのようにアクセル全開で駆け抜けるのではなく、速度を落としてエネルギーを温存する走りが求められている。

かつてドライバーの度胸を試すコーナーだったスパの名物区間が、その性格を大きく変えつつある。

ブランシモンは「恐怖のコーナー」ではなくなった

その象徴が高速左コーナーのブランシモンだ。マクラーレンのランド ノリスは次のように語る。

「ブランシモンではバッテリーが空になってしまい、320km/hから270km/hまで速度が落ちた」

アクセルは全開のままだが、バスストップシケインまでの間、速度は落ち続けたという。

原因は新しいハイブリッドパワーユニットのエネルギーマネジメントにある。長時間アクセル全開の状態が続くと、次のブレーキングポイントに到達する前に電力が尽きてしまい、その後は約550馬力の内燃エンジンだけで走ることになる。

この状況をマックス フェルスタッペンは皮肉たっぷりに表現した。

「F1並みのダウンフォースを持ちながら、エンジンはF3みたいなものだ。正直、運転していてそれほど難しくはない」

現行レギュレーションの最大の批判者の一人でもある4度のワールドチャンピオンだが、もはや怒る気力すら薄れているようだ。

「家にいて運転しないという選択だってできる。だから自分の気持ちはもう切り替えたよ」

オー・ルージュですらアクセルを戻す時代に

その影響はF1を象徴する名コーナー、オー・ルージュ〜ラディオンにも及んでいる。

オー・ルージュからラディオンにかけての伝説的区間も、新世代F1マシンでは以前ほどの迫力を失いつつある。

現代のF1マシンは強大なダウンフォースを備えているため、この区間は長らくアクセル全開で通過するコーナーとなっていた。しかし現在は、その先に続くケメルストレートで十分な電力を使えるようにするため、ドライバーはオー・ルージュ進入前にアクセルをわずかに戻さなければならない。

戦略によってエネルギーの使い方は異なるものの、この状況を歓迎するドライバーは誰一人いない。

ルイス ハミルトンも不満を隠さない。

「ストレートではエンジンが息切れしてしまう。将来どう改善できるのかは分からないけれど、本当に改善されることを願っている」

プーオンも例外ではない

高速ダブルレフトのプーオンも同様だ。かつてスパ屈指のドライビングスポットだったこのコーナーでは、テレメトリー上、すべてのドライバーが進入時点で速度を落としていることが確認されている。エネルギー回収戦略にもよるが、この区間の立ち上がり速度は現在260〜270km/h程度。以前と比べると約30km/hも遅くなっている。

レーシングブルズのリアム ローソンは、その厳しい状況を説明する。

「エネルギー事情は本当に厳しい。オー・ルージュを抜ける頃には、ほとんど電力が残っていない。その後はいくつかのコーナーで回生し、ブランシモンへ向けて再び放出する必要がある」

そして、その評価は辛辣だった。

「今のスパはまったく別のサーキットだ。今シーズンで最悪のフィーリングだよ。ジュニアカテゴリー時代、このコースは常に攻めるための場所だった。それはもう終わってしまった」

ベアマン「レースでは信じられないほど退屈」

ハースのオリバー ベアマンは、スパが現行レギュレーションの問題点を最も色濃く映し出すサーキットだと考えている。

「コースが長く、エネルギー不足が最も深刻になるワーストケースがスパだ」

さらにレースでは、その問題はより顕著になるという。

「レースになると信じられないほど退屈になる。ただただ楽しくないんだ」

F1はすでに2027年および2028年に向けてレギュレーションの見直しを決定している。しかしベルギーGPで露呈した状況を見る限り、高速サーキットにおけるエネルギー不足という問題は、今後もしばらくF1を悩ませ続けることになりそうだ。

Text: Bianca Garloff
Photo: Red Bull Content Pool

編集部より
スパ・フランコルシャンのオー・ルージュ、ラディオン、ブランシモン、そしてプーオンは、F1ドライバーが「全開で飛び込めるか」という勇気と技量を競ってきた象徴的な高速コーナーである。しかし現在は、エネルギーマネジメントを優先するために意図的にアクセルを戻すという、本来とは真逆の走りが求められている。技術革新と環境性能の追求はF1に不可欠だが、「世界最高峰のレース」が持つ迫力や挑戦の象徴まで失われてしまえば本末転倒だ。2027年以降のレギュレーション改定では、効率だけでなく「ドライバーが攻められるF1」を取り戻せるかが、大きなテーマとなるだろう。アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)