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新着ニュース 新型メルセデスAMG C63 そのエンジンは? 電動化は? その全容をお届け

2021年3月25日

新型メルセデスAMG C63は、4気筒にハイブリッドを組み合わせ、558馬力を生み出す。しかし、「Eアシスト」のおかげで、ライバルの新型BMW M3をはっきりと打ち負かすことができるはずだ。最新情報をお届け。

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➤ エクステリア/インテリア(アップデート情報!)

新型C63の価格と市場投入時期について

つい先ごろ、フルモデルチェンジした「メルセデスCクラス」が登場した。
そしてその「Cクラス」の高性能AMGモデルの登場もそう遠くはない。
だが、「M177」の呼称を持つV8ツインターボは、次のモデルには採用されない。
そう「C63」にはもうV8は搭載されないということだ。
それどころか、今回の「C63」には6気筒モデルさえなく、兄弟車同様、4気筒のみに頼ることになったのである。
したがって、この新しい「C63」により多くのパワーを吹き込むためのキーワードは、Eターボチャージャーと電動化になる。
英国の自動車雑誌に掲載された記事によれば、「C63 S」は558馬力を発揮し、その数値は直接的なライバルである「BMW M3/M4」や「アウディRS 4」を明らかに凌駕している。
また、燃料消費量の良さもトップレベルになると予想されている。
AMGの派生モデルは、2021年末頃に発表される見込みで、おそらく2022年初頭には発売されることになるだろう。
価格面では、510馬力の現行「AMG C63 S」は現在、セダンで87,049ユーロ(約1,100万円)からとなっている。
したがって、後継モデルは9万ユーロ(約1,180万円)弱、Sの付いていないベースモデルはそれより約9,000ユーロ(約118万円)安い価格からのスタートとなりそうだ。
最近、クーペとコンバーチブルは優先順位がそれほど高くないため、メルセデスが「C63」にクーペとコンバーチブルバージョンを用意し続けるかどうかは不明だ。

A45の4気筒がC63にも?

次期「AMG C63(S)」には、「A45 S」に搭載されている、「M139」ターボ4気筒が採用される予定だ。
そのエンジンは426馬力を発揮し、「e-ターボチャージャー」により、優れた応答性を発揮する。
この小さな内燃機関を支えるのは、統合されたスタータージェネレーターと、リアに搭載された203馬力の電動モーターであり、これらには400ボルトの電動システムが供給され、その結果、合計で558馬力と800Nmのトルクのシステム出力値が得られる予定だ。
ちなみに、これは、現行のV8搭載の「C63 S」よりも48馬力と100Nm多い値だ。
「S」の付かない通常の「C63」は、従来の476馬力から500馬力程度にアップする見込みだ。
併せて、それ以外の数値も上がっている。
バッテリーと電動モーターの搭載により、乾燥重量が約250kg増加し、2トン弱になると推測される。
一方で、軽量化された4気筒エンジンにより、50:50の最適な重量配分を実現している。
0-100km/h加速タイムは、重量があるにもかかわらず3.5秒と言われており、「M3コンペティション」と比較すると0.3秒速い。
この加速性能の良さは、標準装備の全輪駆動システムのおかげでもある。
また、最高速度は290km/hとされており、これはバッテリーが空の状態でも達成されるとのこと。

A45 S(写真)に搭載されている4気筒は、新型C63では「e-ターボ」を搭載して、426馬力程度になると言われている。

バッテリーが満タンの状態であれば、「C63」は純粋に電気エネルギーのみで60kmの走行が可能となっている。
しかし、目標としている100km走行あたり3リットルという良好な消費量数値は、おそらく理論上でしか達成できないだろうが、それでも旧型のV8よりは確実に消費量は少なくなる。
唯一、お別れしなければならないのは、あのV8エンジン特有のゴロゴロというエンジン音だけだ。

C-AMGの全モデルに全輪駆動を採用

また今回の「AMG Cクラス」のモデルには全輪駆動が標準装備されている。
更には、ドリフトモーも標準装備されているので、横方向の運転も可能だ。
現行モデルの9速オートマチックは、後継モデルでも引き続き採用される。

C43ではなくC45?

さらに次期「C63」には、セダンに加えて、再びエステート(Estate)が設定されるが、通常のCクラスと同様、クーペは廃止される可能性がある。
また、ネーミングも変更される可能性がある。
「Eサポート」の関係で、新型車は「メルセデスAMG C63 4MATIC+ EQパワースポーツ」という複雑な名称を冠することになるようだ。
また、現行の「C43」は「C45」と改名される可能性がある。
これは、おそらく「A45」の4気筒を採用するからだが、その場合は「Eサポート」がないので、呼称もそれに合わせて調整する必要がある。
「E53」に相当する「C53」はおそらく投入されないだろう。
「C45」と「C63」の間のギャップが小さすぎるからだ。

最近のAMGの流れに沿い、パナメリカーナグリルが装着されるだろう。

ブランドイメージに忠実なエクステリアデザイン

我々は、先日、次期型「C63」と思われるカモフラージュされた「W206」を目撃、撮影に成功した。
それをもとに、新しいミッドサイズAMGのエクステリアデザインを創造してみるに、当然のことながら、「AMG GT 4ドア」、「CLS」、「新型Sクラス」、「Eクラス」のフェイスリフトに採用されている新しいブランドフェイスが採用されている。
細いヘッドライトは、よりアグレッシブな印象を与え、ブラックのデコラティブバーは、巨大なエアインテークを持つフロントエプロンにまで伸びている。
「Eクラス」のフェイスリフト同様、オプションでカーボンファイバー製のものが用意される可能性もある。
そして、ボンネット上のパワードーム、パナメリカーナグリル、センターロックルックのホイールも次期「C63」のイメージアップ用に採用される。
リアには、そのステータスにふさわしく、角張った4本のエキゾーストテールパイプが装備される予定だ。

それにしても4気筒でこのパワーとトルクを生み出すことが可能になったとは、ものすごい時代になったものだ。言うまでもなく環境の観点からも、燃費の点でもこのエンジンは良い方向に作用するだろうし、これだけのパワーがあれば誰も文句をいえないほどの高性能セダンであることは言うまでもない。
それでも古くからのAMGファンにとっては、6.3リッターを持っていた「C63」が、4気筒になるという事実は、なんとも寂しい現実に感じられることではあるだろう。古くは「300SEL 6.3」や「450SEL 6.9」の存在を知っている者にとっては、いよいよ来るべき日が来た、そんな感慨も抱く出来事である。それほど世の中の流れはエコロジーコンシャスに向かって速く流れているということではあるが、今後は完全EVに向けて、高性能のまま突き進んでいくのだろうか?
エコロジー一辺倒ではなく、AMGのような高性能な自動車がこれからも存在していくだろう。そしてそこに使われていくテクノロジーは、他のモデルに先駆けて先進的な技術が導入されるべきだとも思う。そういう観点からすると、4気筒ハイブリッドを持つAMGの登場は、注目すべきニュースといえる。

Text: Andreas Huber and Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: autobild.de