BMWがX5で本気を見せた!5種類のパワートレインを備えた新世代BMW X5のプロトタイプに試乗
2026年7月19日
BMWはプレミアムSUVセグメントに新たな基準を打ち立てようとしている。今回、電気自動車版「BMW iX5」とガソリンモデル「BMW X5」のプロトタイプに試乗したところ、特に快適性の面で大幅な進化を遂げていることが明らかになった。
今回試乗したのは、電気自動車の「BMW iX5 60 xDrive」と、直列6気筒ガソリンエンジンを搭載する「BMW X5 40 xDrive」。この2台は今後のラインアップの中核を担う存在となるだけに、アメリカ南部を舞台にじっくりとその実力を試すことができた。
従来型G05は、プラグインハイブリッド、ガソリン、ディーゼルを用意していたが、新型G65はその進化幅が想像以上に大きい。特に快適性は飛躍的に向上しており、大径ホイールの採用やオプション設定されるエアサスペンションが大きく貢献している。このエアサスは多くの市場で四輪操舵システムとセット装着となるため、内燃機関モデルで標準装備されない場合でも、ぜひ選びたい装備だ。
スパータンバーグ工場で生産されるこのラグジュアリーSUVは、市販車として初めて5種類ものパワートレインを展開するモデルとなる。しかし、2028年から投入予定の水素仕様については、販売の中心になる可能性は高くないだろう。
ヨーロッパ市場では事情が異なる。まず投入される電気自動車「BMW iX5」は、425kW(578ps)のデュアルモーター四輪駆動と800Vアーキテクチャーを採用する「60」グレードのみが用意される。

141kWhという巨大なバッテリーと最大460kWの超高速充電性能を備えることで、これまで内燃機関一筋だったユーザーでさえ心が揺らぐかもしれない。しかも「BMW iX5 60」の価格は102,800ユーロからで、450kW(612ps)を発揮するプラグインハイブリッドモデルと同価格に設定されている。

BMW開発担当取締役のヨアヒム・ポスト博士(Dr. Joachim Post)は次のように語る。
「BMW X5は、その圧倒的な存在感と快適性、そしてドライビングプレジャーを高次元で融合させたことで、世界的なベストセラーとなりました。新世代ではノイエクラッセ(Neue Klasse)の技術を採用し、さらに幅広いパワートレインを実現しています」
電動X5の完成度は予想以上
140kWhを超える巨大バッテリーを搭載することから、車重が2.9トンに達すること自体は驚くべきことではない。しかも、このバッテリーにはBMWとして初めて高さ12cmの円筒形セルが採用されている。
しかし走り出すと、その重量感は驚くほど感じさせない。起伏の多いワインディングロードでも、統合制御されたシャシーが重量を巧みに打ち消してくれる。大型センターディスプレイで走行モードを変更しても、洗練されたiX5全体のキャラクターはほとんど変わらない。

低重心設計、適度な重みを残したステアリングフィール、そして回生ブレーキと機械式ブレーキの自然な協調制御は、まだプロトタイプ段階とは思えない完成度だ。
全長約5mの巨体にもかかわらず、PHEVとEV専用となるアクティブロールスタビライゼーションの効果により、ロールやピッチングは見事に抑え込まれている。最大805Nmという圧倒的なトルクは、かつての4ターボディーゼル時代を思い出させるような豪快な加速を披露する。
長い航続距離と引き換えの最高速度
幸いなことに、iX5では高級オーディオシステムによる人工サウンドはオフにできる。SFアニメ『キャプテン・フューチャー』や宇宙船コメット号を思わせるような演出は、好みが分かれるところだろう。
グリーンビル市街地では、交差点での右左折や市街地での短い加速でも、ダイレクトかつ滑らかなステアリングと新設計のサスペンション取り付け部のおかげで、この大型SUVはサイズを忘れさせるほど軽快に走る。

22インチタイヤ装着車でも、荒れた路面での乗り心地は実に優秀だ。ホイールサイズは21、22、23インチから選択可能だが、今回試乗した22インチ仕様がスポーティさと快適性のバランスに最も優れている印象だった。
装備やタイヤ、運転スタイル次第では、一充電航続距離は800kmを超える可能性もある。
一方で惜しい点もある。最高速度は電子制御によって210km/hに制限されていることだ。圧倒的な加速性能と余裕あるパワーを備えているだけに、このリミッター設定は、とりわけ速度無制限区間のあるドイツ市場では購入をためらうユーザーも出てくるだろう。
ガソリンモデルも依然として魅力的
最低価格98,800ユーロ(約1,830万円)の「BMW X5 40 xDrive」は、294kW(400ps)の直列6気筒ガソリンターボを搭載する。電動モデルよりも約600kgも軽いため、走りの印象は当然異なる。ハンドリングは俊敏で、車重の軽さも感じられるが、路面へのどっしりとした安定感ではEVに一歩譲る。また、アクセルレスポンスもEVほど繊細ではない。
それでもエンジンサウンドこそ平凡なものの、全体としての完成度は非常に高く、多くのユーザーはこちらを選ぶことになるだろう。ステアリングはややダイレクトで手応えも強く、ブレーキ性能についてはEVとの差はほとんど感じられなかった。
インテリアは「ノイエクラッセ」の世界へ
メーターパネルを廃止した4本スポークステアリングは、従来のBMWオーナーにとって最も大きな変化かもしれない。
内装の質感自体は極めて高い。しかし、ノイエクラッセから受け継いだミニマルデザインは、高級感あふれるディテールを備えながらも、すべての人に受け入れられるとは限らない。ドアハンドルを廃止し、ウインドウラインの小さなフィン状パーツへ置き換えたデザインも好みが分かれるだろう。さらにドアはオプションで電動開閉にも対応する。
快適性は走り始める前から始まっている。そして、その期待は実際にステアリングを握れば裏切られることはない。
Text: Stefan Grundhoff
Photo: BMW
【編集部コメント】
「快適性」と「走り」をこれまで以上のレベルで両立させた新型BMW X5は単なるモデルチェンジではない。BMWが次世代「ノイエクラッセ」の技術をSUVへ本格展開する最初の主力モデルと言える。5種類ものパワートレインを用意する大胆な戦略は、市場の多様化に応えるBMWらしいアプローチだ。一方で、141kWhという巨大バッテリーや460kW充電など、EVとしてもクラス最高水準のスペックを掲げており、電動化時代のベンチマークとなる可能性は高い。日本導入時にはどのパワートレインがラインアップされるのか、大いに期待したい。(Auto Bild Japan)

