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BMW M5の心臓を移植した「BMW 3.0 CSL」にそっくりな「MKO CS M5」はピュアリストにとっての“罪”か?

2026年6月22日

ドイツの中古車情報:BMW 3.0 CSLは真のアイコンだ!だが、そこに現代のM5の技術を組み合わせることで、さらに優れたクルマになるのか―それとも伝説を破壊してしまうのか?

伝説の「バットモービル」と呼ばれるBMW 3.0 CSL(E9)クラシッククーペ?そう見えるが、実際は少し違う。このクーペは70年代のBMW 3.0 CSLを思わせるスタイルをまとっているが、そのベースは「BMW M5(E39)」だ。つまり、直列6気筒ではなくV8エンジンを搭載し、クラシックなボディに現代的なテクノロジーを融合した1台なのである。現在、この異色のコンバージョンカーが販売されている。

繊細なピラーやクロームトリム、そして伝説的な3.0 CSLを思い浮かべる人にとって、このBMW E9は半分だけ正解だ。このクルマはレストアされたクラシックカーでもなく、一般的なレストモッドでもない。その名は「MKO CS M5」。ドイツのMKO社によって製作されたモデルで、創設者のミヒャエル オーバーハウザー(Michael Oberhauser)は、E9のクラシックなデザインとE39 M5のテクノロジーを融合させることを目指した。

その結果生まれたのは、BMWがこれまで一度も製造しなかったモデルだ。E9クーペのボディにM5のシャシー、S62型V8エンジン、6速MT、そして400psを大きく超えるパワーを組み合わせた。言わば、クラシックカーのオーダーメイドスーツをまとったM5である。

改造内容は極めて大規模だった

ドナー車となったのは2001年式BMW M5(E39)。エンジンやトランスミッションだけでなく、シャシーや数多くの技術コンポーネントも流用された。ボディは2台のE9クーペからパーツを集めて製作されている。

一見すると“普通の”BMW 3.0 CSLに見えるが、その中身はまったく別物だ。
Photo:Bring a Trailer

改造にあたっては、M5の上部構造を切除し、フロアパンを約20cm短縮。そのうえでE9のルーフをM5の構造体へ組み込んだ。ボディにも大幅な加工が施され、フロントフェンダーは約6.4cm、リアフェンダーは約10.2cm拡幅されている。そうしなければ、現代的なM5のメカニズムを旧型クーペのスリムなボディへ収めることができなかったためだ。ボディパーツの多くはハンドメイドで製作された。

ピュアリスト向けのクラシックカーではない

エクステリアは明らかにBMW 3.0 CSL“バットモービル”へのオマージュとなっている。フロントには大型スポイラー、リアにはトランクリッドスポイラーを装着し、小型のエアガイドフィンやワイドフェンダーを組み合わせた。さらにヘラー(Hella)製補助ライトや3.0 CSLエンブレムがその雰囲気を完成させている。

ボディカラーはポルシェのシルバー系カラーで塗装され、ブラックのサイドストライプを組み合わせる。足元には19インチのアルピナ風ホイールを装着し、タイヤはコンチネンタル スポーツコンタクト7を履く。

ここで理解しておくべき重要な点がある。これは本物の3.0 CSLではない。E9ボディとM5の技術を融合したワンオフモデルだ。ピュアリストにとっては、それだけで受け入れがたい存在かもしれない。しかしレストモッドファンにとっては、まさにそこにこそ魅力がある。

400ps超を発揮するワンオフモデル

ボンネットの下にはE39 M5由来の4.9リッターS62型V8エンジンが収まる。搭載前にオーバーホールが施され、最高出力は432psを発揮するとされている。

駆動力は6速MTを介して後輪へ伝達され、LSDも装備。さらにサスペンションには調整式KWコイルオーバーを採用し、ブレーキもM5用が移植されている。

室内を見ると、もはやオリジナルのBMW 3.0 CSL(E9)ではないことがはっきりと分かる。
Photo:Bring a Trailer

インテリアは驚くほど現代的

このクルマの“幻想”が最も崩れるのはインテリアだ。そこには加工されたM5のダッシュボード、多機能ステアリングホイール、左右独立式オートエアコン、パワーウインドウ、そしてパイオニア製タッチスクリーンが備わる。

フロントシートはレカロ製で、シートヒーターも装備されている。

オドメーターの表示は約12万9,000km。販売者によれば、コンバージョン完成後の走行距離は約1万2,000kmとのことだ。

いったいいくらで落札されるのか?

この車両は現在、Bring a Trailerでオークションに出品されている。オークション終了予定日は2026年6月11日。こうした唯一無二の車両は価値の算定が特に難しい。

中古車市場では、BMW M5(E39)の相場はおおむね5万ユーロ(約925万円)前後。一方、本物の3.0 CSLは現在1台のみが掲載されており、その価格は20万ユーロ(約3,700万円)近い。

では、この2台を融合させたワンオフモデルには、いったいどれほどの値が付くのだろうか。BMWファンにとっては冒涜か傑作か―その評価もまた、落札価格と同じくらい興味深い。

Text: Kim-Sarah Biehl
Photo: Bring a Trailer