いえこれはアメ車ではありません れっきとしたメルセデスです メルセデスXクラスのチューンナップピックアップトラック

2077
- Advertisement -

カーレックスデザイン(Carlex Design)製メルセデスXクラス。これはポーランドのチューナーである、カーレックスデザインのグリーンカーボンボディキットを装着した過激なメルセデスXクラスだ。このメルセデスXクラスは、グリーンカーボンを使用した非常に精巧なボディキットと豪華なインテリアが付属している。

メルセデスのXクラスを知ってますか?
メルセデスのピックアップトラック、そういうプロジェクトは昨年まで存在した。
ニッサン製ピックアップトラック「ナバラ」をベースに、シュトゥットガルトのメーカーはメルセデスブランドのピックアップトラックを生み出そうと試みた。
しかし、その計画は2年足らずで挫折し、「Xクラス」は2020年半ばに生産中止された。
しかし、チューナーのカーレックスデザインにとっては、その失敗は彼らの事業にとって何ら障害とはならなかった。
チューナーはこれまでに「Xクラス」をベースにしたプロジェクト車両を10種類以上も発表してきたが、この最後の1台が最も壮観なものであることは間違いない。
「ブリティッシュレーシンググリーンエディション」は、グリーンカーボンのボディキット、非常に精巧な塗装などなどに加えて、ピックアップトラックとは思えないインテリアを備えている。
マルチピースのボディキットは、フロントエプロン、フードエクステンション、ミラーキャップ、フェンダーフレア、新しいリアエプロンで構成されているとともに、新しいグリル、カーボン製テールパイプトリム、ライトカバーなどのディテールでさらに表情を変えている。
そして、それらほぼすべてのパーツがグリーンカーボンでできているのだ。
圧巻なのは、フロントとリアのカーボンファイバーの構造にシームレスに溶け込む、ブラッシュ仕上げのグリーンペイントで、ホワイトのストライプやタイヤのレタリングと相まって、「カーレックスXクラス」に非常にスポーティな印象を与えている。
20インチホイールとアイバッハ製サスペンションによるローダウン化もそれに貢献している。

ピックアップトラックにバケットシート

メルセデス製の「Xクラス」のコックピットにはニッサン ナバラの印象が強く残っていたが、「カーレックスXクラス」では、その商用車的な要素はすべて排除されている。
その代わりに、乗員は4つのバケットシートに座ることになる。
隅々までレザーとアルカンターラが張り巡らされ、ヘッドライナーまでもがグリーンのマイクロファイバーで覆われている。
加えて、ステアリングホイールは新しいリムに変更され、プラスチックトリムはカーボンパーツに変更されている。
グリーンレッドのスピードメーターの針や、グリーンのレタリングが施されたホワイトのシートベルトなど、細かな要素がラグジュアリーな雰囲気を醸し出していて、ちょっとAMG風味の内装といえなくもない。

ピックアップトラックにバケットシート? ありです。初代ランドローバー ディフェンダーにはすでに装着されていた。

カーレックスデザインでは、顧客の要望に応じて「カーレックスXクラス」をカスタマイズする。
ただし、ベース車両の価格に加え、作業費や材料費などのコストを想定すれば、かなり高額になる可能性は否めない。
保証付きで手入れの行き届いた中古「メルセデスXクラス」は、35,000ユーロ(約450万円)くらいから市場に出回っている。
それから推測すると、この車はいろいろコミコミで55,000ユーロ(約715万円)700万円近辺なのではないだろうか。
いずれにしても、こういう車を愛する人のための「究極の趣味車」と言えよう。

カーボンファイバー製カスタムパーツをはじめ迫力あるチューニングがセンス良く施されている。

「メルセデスベンツXクラス」を運転したことはないが、実車をしげしげと見たり、運転席に座ったりしたことはある。
それはなんとも安っぽく、ポリバケツのような質感で、さすがにいくらメルセデスベンツって名前を持ち、でかいスリーポインテッドスターを持っていたとしても、こりゃあんまりだ、と正直思ったのだが、実際に「Xクラス」はあまりにも不評で売れず、2年で販売をやめてしまった。
メルセデスベンツのピックアップトラックということ自体がいけないのではなく、あまりにも安普請だったことが原因ではないかというのが自説なのだが、今回のチューナーはその部分をなんとかしようと頑張った努力のあとが垣間見られることは事実である。
内装も一瞬AMG風味ではあるが、よーく見ると、やはりもとの安っぽいさが見えてきてしまうし、エクステリアデザインも本当に頑張ってはいるのだが、これなら「フォードF150」を買ったほうがいいと素直に思う、というのは口が悪すぎるだろうか。
もっと思い切って、実用本位とか、ゲレンデヴァーゲンのプロフェッショナル(という特別車)のように、スパルタンン魅力に振ってしまったほうが良かったかも、とも思うがいずれにしろメルセデスベンツのピックアップトラックというもの自体がやはり正しかったのかどうか、やっぱり商品企画の根本部分に無理があったのかもしれない。

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: CARLEX DESIGN UL.