【対決】ディーゼルかガソリンか それが問題だ ガソリン車対ディーゼル車比較テスト×5メーカー

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ディーゼルエンジンかガソリンエンジンか? 日々変わりつつある内燃機関のモデルを取り巻く環境であるが、現状ではガソリンとディーゼルのどちらのアイデアのほうがより良いのか? もちろん、我々は電気自動車が増加傾向にあることを承知で、このテーマに取り組んでいる。5つのメーカーのディーゼルモデルとガソリンモデルの比較で答えを提供する。

それは私たちが想像していたよりも早く起こりつつある。
2020年、すでにここドイツでは、全新規登録台数の6.7%が電気自動車だった。
今年はもっと増加するであろう。
しかし、電気自動車か内燃機関かを決めなければならない時代が待ったなしに到来したと考えているあなた、慌てないでほしい。
内燃機関がまだ我々の生活を支え続け、そして、まだしばらくの間はそうであることに変わりはない。
多くの技術的に進歩した内燃機関エンジンは、これまで以上に効率的で、経済的で、クリーンだ。
そしてそのことは、スキャンダルでイメージの悪化したディーゼルにも当てはまる。

しかし、その一方で、ディーゼルとガソリンのどちらがいいのか、という永遠の問いかけは残る。
そこで我々は、「BMW 5シリーズ」から「プジョー2008」まで、5つのメーカーの10種類のモデルを比較してみた。
「プジョー2008」の場合には、電気自動車も含まれている。
私たちがどのように採点したかをご紹介しよう。
まず、正確な燃料消費量を測定する。
また、すべての車について、我々は4年間の保有期間と年間15,000kmの走行距離を想定している。
維持費には、この期間の燃料費、税金、包括的な保険、走行距離に応じた検査費、減価償却費が含まれている。
しかし、コスト計算は一側面に過ぎない。
もう一つの側面は、その車の走行文化、走行特性、走行性能などについての私たちの主観的な評価だ。
最終的には、それぞれのケースで明確な推奨モデルを決定する。

以下、テストの詳細をフォトギャラリーとともにお届けする。

対決その1: BMW 520i対520d

縦置き(燃焼)エンジン、後輪駆動、正確なステアリング、そしてクリーンにチューニングされたシャシーを備えたクラシックなセダンがいまだに存在しているというのは驚きであり喜びだ。

それがまさにBMWの5シリーズだ。2017年から生産され、昨年夏にフェイスリフトを受けた。モダンでエレガント、洗練されたデザイン。フラットで伸びやかなシルエット、ワイドなキドニーグリル、「ホフマイスターキンク(Cピラーのところでちょっと斜め上に跳ね上がってから折り返してルーフに向かって行く跳ね上がり=BMWのアイデンティティ)」など、すべてが揃っている。

インテリアは相変わらず、すべてが上質で上品だ。やはりアッパークラスだ。
しかし、比較的小さな2.0リッター4気筒はアッパークラスセダンに本当に適しているのだろうか? それらはちゃんとフィットしていて、特に190馬力のディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと同様に、48ボルトのスタータージェネレーターとマイルドハイブリッド技術を搭載しており、スムーズに始動し、力強く加速し、力強く走り去る。1.8トンのセダンは、このようにして、路上では爽快で自信に満ち溢れている。
標準のオートマチックトランスミッションについては、説明するまでもなく、ZF製8速トランスミッションは、最高のものの1つであり、5シリーズでは、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの両方で、完璧の域に達している。正確で、速く、スムーズだ。
184馬力のガソリンエンジンは、エネルギッシュでトルク感のあるパワフルなパワーユニットだ。当然のように滑らかに走り、そのサウンドは荒々しさと心地良さの間にある。それに比べて、ディーゼルはよりリラックスしている。ガソリンエンジンが7.9秒を必要とするのに対し、ディーゼルは7.2秒で0~100km/hに到達する。しかし、より重要なことは、ディーセルモデルの「520d」はより経済的であり、我々のテスト中、「520i」の12.9km/ℓに比べて、15.6km/ℓという好燃費を発揮した。

結論:
5シリーズは、最高の形で、成熟した、自信に満ちた、調和のとれた車だ。何よりも、パワフルでリラックスした経済的なディーゼルは、ガソリンエンジンモデルよりも、アッパークラスセダンによりフィットしている。
ガソリン対ディーゼル: 0対1でディーゼルの勝ち

対決その2: VWティグアン1.5 TSI対ティグアン2.0 TDI

ここでは、オレンジとリンゴのどっちを選ぶのかというような、悩ましい選択を強いられる。人気の「ティグアン2.0 TDI 4MOTION(150馬力)」は、その同じように強力なガソリン車の兄弟、「1.5 TSI」と競合する。それは、前輪駆動モデルとしてのみ利用可能だ。さて、ドイツで最も人気のあるSUVの比較テスト。どちらに軍配は上がっただろうか。

どちらも7速DSGデュアルクラッチトランスミッションとエレガントな装備を備えている。「1.5 TSI」では、慎重に運転した場合の燃費は一桁台(リッターあたり10km以上)にとどまり、1,585キロのSUVとしては悪くない。
説明書によれば、「TDI」と「TSI」の間には静止時の騒音や走行時の騒音に違いはないという。しかし、主観的には、ガソリンエンジンの方がより滑らかさを提供している。「TDI 4MOTION」は、頻繁に運転する人や、完全なSUVパッケージを求める人にとっては、依然として選択すべきエンジンであることに変わりはない。さらに、「TDI 4MOTION」は、このクラスでは珍しい2.5トンのトレーラーを牽引することができ、全輪駆動のおかげで濡れた草原でも楽に走り回れることができる。
一方、1.5リッター「TSI」は1.8トンしか牽引できず、前輪駆動でもある。それ以外では、違いはマイナーなものだ。ステアリング、シャシー、乗り心地はどちらもバランスが良く、このクラスでは「BMW X1」だけがより良いシートを提供している。Apple CarPlayとAndroid Autoは、もはやケーブルを必要としない。しかし、新しいスライダークライメートコントロールは、ロータリーコントロールに比べて欠点しかない。つまり結局のところ、それは価格の問題となる。「TDI」は、多くの土地を旅する探検家を喜ばせるだけで、他の誰もが「TSI」を選択する。

結論:
年間40,000kmまでの日常的なドライバーには、前輪駆動の「TSI」の方が間違いなく賢明な選択だ。「4MOTION TDI」はより多くのことができるが、その分様々なコストが高くってはしまう。というわけで、今回は引き分けとしたい。
ガソリン対ディーゼル: 1対1の引き分け

対決その3: アウディA5 40 TFSI対A5 40 TDI

エレガントな外観の「A5」。何よりも、それは本物のクーペ、すなわち、2つのドアを持つクルマだ。

乗ってみると、上質な素材と丁寧なワークマンシップが見て取れる。それに加えて、快適な空間とフィーリング、後部座席にもきちんとしたスペースがある。クーペとしては希少だ。美しいシェルの下には、もちろん大VWグループの「モジュラー縦置きパワーユニット」である204馬力2.0リッターTDIが搭載されている。
同時によく知られているのが、7速デュアルクラッチトランスミッション(DSG)との組み合わせによるスタート時の弱点だ。タイトなカーブからの加速時には、タイムラグが生じ、イライラする。走っていても、DSGは活き活きとしているというよりは、むしろ躊躇しているように感じる。
「TFSI」との直接比較では、「TDI」は、特に中回転域で、少し騒がしいように感じる。実質的に同一の性能にもかかわらず、それはガソリンエンジンよりも穏やかな感じがするが、決して生き生きとした感じではない。しかし、燃費的には、15.8km/ℓと、12.3km/ℓのガソリンエンジンよりも経済的だ。
204馬力の2.0リッター「TFSI」も広く知られている。そして、いつも素晴らしい仕事をしてくれる。活気があり、トルクがあり、滑らかで、回転させると喉を鳴らすような、ハスキーな音がする。
全体的なアンサンブルは、少なくとも「TDI」よりも洗練されているように感じる。「DSG」デュアルクラッチトランスミッションでさえも、より丁寧に反応してくれる。スポーツ性と快適性を両立させることに成功しているといえよう。

結論:
我々にとっては、滑らかで生き生きとしたガソリンエンジンは、エレガントで徹底的に洗練されたクーペに属するものであることは明らかだ。経済的ではあるが洗練されていないディーゼルエンジンではない。従って、我々はこのクルマではガソリンエンジンを選びたい。
ガソリン対ディーゼル: 3対1でガソリンの勝ち

対決その4: メルセデスGLB 200対GLB 200d

「GLB」は遅れてやって来た。メルセデスが2019年の終わりに、大成功を遂げた「ティグアン」に対する適切な競合モデルを思いつくまで13年という月日を要した。

そしてVW同様、この比較テストでは、ディーゼルモデルは全輪駆動のみ、ガソリンモデルは前輪駆動のみだという。「GLB」は重要なモデルなので、我々は不本意ながら受け入れた。
小型の「Gクラス」を彷彿とさせる形状で、見晴らしが良いだけでなく、車内のスペースも十分に確保されている。SUVとしては当然のことながら高い位置に快適に座ることができる。広々とした後部座席には、実用性に優れた428ユーロ(約5万円)の縦スライド式のリアシートがお勧めだ。
前輪駆動で、7速デュアルクラッチトランスミッション(DCT)が標準装備されている「GLB 200」には、ルノーと共同開発した163馬力1.3リッター4気筒ガソリンエンジンが搭載されていて、軽快に反応し快調に回転する。7速のデュアルクラッチトランスミッションは、発進時や操縦時に時々ギクシャクすることがあるものの、走行中は素早くギアを調整してくれる。我々のテストでは、11.6km/ℓという平均燃費を記録した。車の大きさや重さを考えればこれはなかなか、といえるかもしれない。
一方でディーゼルの場合、平均燃費は15.3km/ℓだった。2.0リッターエンジンは150馬力を発揮し、四輪駆動との組み合わせで、「GLB 200d」にはトラブルはないが、ガソリンエンジンよりも232キロ重い。しかし、パワフルで洗練されている。標準装備のデュアルクラッチトランスミッションは、8速ギアを搭載している。

結論:
ここではディーゼルのほうがお勧めだ。ディーゼル、DCT、全輪駆動の組み合わせは非常に調和がとれている。重く大きな実用SUVにはディーゼルエンジンモデルのほうがおすすめという好例だ。
ガソリン対ディーゼル: 2対3でディーゼルの勝ち

対決その5: プジョー2008ピュアテック180対2008ブルーHDi 130とe-2008

「プジョー2008」は、快適なサスペンションと滑らかなステアリングが、プジョー最小のSUVを快適なクルマにしている。スポーティな見た目とは裏腹に、どこか石垣のようなコックピットでさえも、その事実を隠しきれていない。どのエンジンが一番合うのか?結論から言えば、この3つのうちのどれを選んでも間違いはない。

3気筒ガソリンエンジンは、この比較テストの3台中、唯一マニュアル6速ボックスを搭載している。それは第一にガソリンエンジンに価格の面で優位性を与え、第二に1.2リッターターボとうまく調和するので、問題はない。最大トルクの230Nmも広い回転域で発揮され、普段使いで運転していても楽しい。とはいえ、テスト期間中の13.5km/ℓという平均燃費は決して良いとは言えない。
一方でディーゼルは17.8km/ℓという優れた平均燃費だった。そして、その1.5リッターの排気量と300Nmの最大トルクは、日常的な交通で元気に運転するためには十分だ。そしてディーゼルのノイズレベルも低い。
テスト車のディーゼルエンジンモデルには、8速オートマチック(1,700ユーロ=約22万円の追加料金)が装着されていたが、フランス人のリラックスした性質に合っているマニュアルトランスミッションよりもさらに良かった。しかし、ガソリンエンジンモデルと比較して、4,300ユーロ(約56万円)の追加料金は、ディーセルを選択させることを逡巡させる。
そして「e-2008」? テストにこそ参加していないが、そのベストな一面を見せてくれる。50kWhのバッテリーの航続距離は約300km。充電は印象的な100kWで行われるので、空になったバッテリーは30分後には80%リチャージされる。
もう一つのポジティブな面は、プジョーのEVが高い装備レベルを義務的に購入しないですむことだ。望むなら、多くの装備なしでEVを取得できるので価格的にも大丈夫だ。すべての高価格オプション装備を選ばなければ、「e-2008」は、マニュアルガソリンエンジンモデルよりも700ユーロ(約9万円)高いだけだ。その上電気代金を換算しても、ランニングコストは低い。

結論:
静かなガソリンエンジン、経済的なディーゼル。最終的には、ガソリンエンジンがレースに勝つ。「プジョー2008」の大きさには、シンプルなガソリンエンジンが一番似合う。プジョーのオートマチックトランスミッションは、ユーザーの好みにさえ合っていれば、プジョーによく適合している。同じことは「e-2008」にも言える。
ガソリン対ディーゼル: 7対3でガソリンの勝ち

総合評価:
ということで、今回はガソリンエンジンの勝ちだ。
本格的なSUVにもお勧めできる。
VWティグアンは、それからまともに動力を得ている。
ディーゼルは、ディーゼルエンジンが素晴らしい資質を持っている「BMW 5シリーズ」と「メルセデスGLB」のための第1選択となる。
重要なのは今回のテストで失望したパワーユニットはなかったという事実だ。

一時期、まだ日本にヨーロッパのディーゼルエンジンモデルが本格導入される前、「ディーゼルエンジンは魔法のエンジン」かのように言われていたことがあった。
トルクがある、燃費が良い、今のディーゼルエンジンはクリーンだ、ヨーロッパでは軽油が安いににもかかわらず選ばれているクルマは半数以上がディーゼルエンジンだ…、などなど。
かく言う私もそういう読み物に洗脳され、日本でもヨーロッパのようにディーゼルエンジンを自由に選べる時代がこないだろうか、と待っていた一人である。
そして数年が経過し、日本でもヨーロッパ並みとは言わないまでもかなりの種類のディーゼルエンジンモデルが導入され自由に選べるようになったので、待ちに待った機会到来、とばかりにかたっぱしから試乗したり自分で購入したりする運びとなった。
待ちに待った甲斐があり、ディーゼルエンジンにはガソリンエンジンにないはない魅力満載だし、今やうるさく回らないなどということはないし、何しろ燃費が良いから今でも僕の日常の移動はディーゼルエンジンの車である。そしてその魅力を今でも乗る度に享受している。
だが、冷静になってみればヨーロッパからやってきた多くのディーゼルエンジンの中には、なんとも未完成な感じの物や、明らかにこれならガソリンエンジンのほうがいい、と正直に思うものもかなりあったことも事実だし、当たり前のことではあるがディーゼルエンジンは魔法のエンジンなどではなく、一長一短を持つ内燃機関の一つであるということを実感した次第である。

個々のエンジンの完成度が大きく異なったことも確かではあるが、それには乗せられるクルマ、つまりベースとなったモデルの性格も大きく関係していることは言うまでもない。ディーゼルエンジンに似合うクルマというのをもう一度考えてみると…。
軽く小さいモデルよりも、重く大きいほうが、相性が良く、ちょこちょこ街中を走り周りるよりも一旦走り始めたら淡々と一定速で一挙に長い距離を移動するような、言ってみればGTみたいなもののほうが長所を生かしやすい。
ということは小型車や、ロードスターのような軽便なスポーツカーには一番相性が良くなく、SUVや中型以上のセダンあるいはワゴンのような車がディーゼルエンジンに合致しやすいのではないだろうか、という当たり前の結果になった。
今回の5メーカーのテストでも結局はそういうカテゴリーの車においてはディーゼルが優位となり、そうではないモデルはガソリンエンジンのほうが高い評点を得ている。そしてそこでもディーゼルは決して魔法のエンジンではなく、ベースになった自動車の出来不出来や性格によっても、どちらが優れているかの結論が導き出される、という結果になった。
まだガソリンエンジンもディーゼルエンジンもしばらくの間は引退しない。自由に選べる今だからこそ、自分の使用目的と、どんな性格のクルマを選ぶかを見極めてパワーユニットも選んでほしい。

Text: Malte Büttner, Dirk Branke, Rolf Klein, Jonas Uhlig
加筆: 大林晃平
Photo: Christoph Boerries / AUTO BILD