【危機に瀕する自動車デザイン】大ブーイング!メルセデスAMG GT 4ドアとフェラーリ ルーチェが世界中で大論争を巻き起こしている!
2026年5月29日
まずはMercedes-AMG GT 4-Door Coupé(メルセデスAMG GT 4ドア クーペ)、そして今度はFerrari Luce(フェラーリ ルーチェ)―ここ短期間で、2台のクルマがインターネット上の“ミーム”と化している。そして、その最大の理由はデザインだ。一体何が起きているのだろうか?
「これは冗談なのか?」―新型フェラーリ ルーチェの写真を見た時、私が最初に抱いた感想はそれだった。もちろんジャーナリストとして、新型車はまず客観的かつ先入観なしに見るのが仕事だ。しかし、一人のクルマ好き、そしてガソリンヘッドとしての私は、まず何よりも“困惑”している。
どこか既視感のある感情だ。約1週間前、メルセデスAMG がロサンゼルスで新型AMG GT 4ドアクーペを発表した時にも、私は非常によく似た体験をした。
遠目には信じられないほど豪華なショーだった。メルセデスは特設“ハイウェイ”を建設し、多数のセレブを招待し、さらにはBlink-182のコンサートまで開催した。いったいどれほどの費用がかかったのか、考えたくもないほどだ。
SNS上では、「AMG GT 4ドアクーペ」のテールライトが”電源の入ったIHコンロ”に例えられている。皮肉ではあるが、完全に的外れというわけでもない。

Photo:Mercedes-AMG
そしてソーシャルメディアではどうだったか?明らかに報酬を受け取っている一部のインフルエンサーを除けば、最高1169psを誇る「AMG GT 4ドアクーペ」に対して寄せられたのは、何よりもまず厳しい批判だった。
数日間、私のフィードは「AMG GT 4ドアクーペ」を分析するリール動画で埋め尽くされた。主な批判点は、メルセデスAMGが初のEVを発表したことではない。問題視されていたのは、控えめに言っても“かなり独特”なそのデザインだった。
フェラーリがその流れを引き継ぐ
そして、自動車コミュニティがようやく「AMG GT 4ドアクーペ」騒動から立ち直り始めた頃、今度はフェラーリが「ルーチェ」を投入した。インターネットは再び大騒ぎとなる―残念ながら、良い意味ではない。もし目的が“最大限の注目”を集めることだったのなら、フェラーリは完璧に成功したと言えるだろう。現在、「ルーチェ」はまさに話題の中心だ。
SNSではいつものように、熱狂的ファンであれ、潜在顧客(そんな存在が本当にいるのかは別として)であれ、あるいは単なるアンチであれ、求められていようがいまいが、誰もが自分の意見を発信している。
そして、ほぼ全員が同じ結論に達している。「ルーチェ」は“醜い”と。
ジャガーI-Paceとホンダeを混ぜたような存在
もちろん、デザインは常に主観的なものだ。それでも私は何時間もコメント欄を眺めたが、元Apple のデザイナー、Jonathan Ive(ジョナサン アイブ)がMarc Newson(マーク ニューソン)と共同で手掛けた「ルーチェ」を「成功作」だと評する声は、ほとんど見つからなかった。
率直に言えば、私自身もこのクルマのどこにも魅力を感じない。私には、このフェラーリ初のEVは、「Jaguar I-Pace (ジャガーI-Pace)」と「Honda e(ホンダ e)」が少し長く一緒に過ごしすぎた結果、生まれてしまったクルマのように見える。
つまり率直に問いたい。「ルーチェ」を、もっと魅力的にデザインすることは本当に不可能だったのだろうか?

Photo:Ferrari
フェラーリによれば、最高速度310km/h超、1050psを発生する「ルーチェ」によって、主に新たな顧客層を獲得したい考えだという。その背景には「異なるフェラーリを、異なるフェラーリスタへ」という哲学がある。
約55万ユーロ(約1億200万円)というベース価格を考えると、彼らの幸運を祈るばかりだ。
現在のデザイン危機
私が本当に言いたいのはこういうことだ。なぜ、メルセデス・ベンツ や フェラーリのような名高いメーカーが新型車を発表しながら、多くのクルマ好きや潜在顧客にとって「明らかに期待外れ」と映るような状況になってしまっているのだろうか?かつて、ガソリンヘッドたちは新型車の登場を心待ちにしていた。心から「欲しい」と思えるクルマ、夢をかき立てるクルマが存在していた時代はどこへ行ってしまったのか。
今では、ファンが新型よりも先代モデルを好むのが当たり前になりつつある。しかし最近は、新型車のデビュー前からクルマ好きたちが「どうせまた酷いデザインだろう」と最悪を予想していることさえ多い―そんな状況がメーカーの目指すべき姿であるはずがない。ここで私が特に問題にしているのはデザインであって、プラットフォームや技術面ではない。
ほんの数年前まで、「メルセデスAMG GT」や「フェラーリ 812 スーパーファスト」のようなクルマをデザインしていたメーカーが、なぜここまでデザイン面で道を踏み外してしまったのか。
そして、どうか「そのデザインも時間が経てば成熟して見えてくる」などとは言わないでほしい。少なくとも私にとって、こうしたケースでは、もはや何も“熟成”などしないのだから。
Text: Jan Götze

