“レッドピッグ”は生き続ける ― 現代に蘇った「メルセデス 300 SEL “Red Pig”」
2026年5月29日
これまで未公開だったメルセデスのコンセプトカーが、伝説の「300 SEL 6.8 AMG」へのオマージュとして姿を現した。“レッドピッグ”を現代へ蘇らせた、
メルセデスが、伝説的な“Red Pig(レッドピッグ)”を再解釈した未公開コンセプトカーでサプライズを仕掛けた。この秘密のAMGショーカーは、1971年型メルセデス 300 SEL 6.8 AMGへのオマージュであり、モータースポーツ史上もっとも有名なレーシングセダンのひとつとして知られている。
“レッドピッグ”は1971年スパ24時間レースを制した
歴史的な“レッドピッグ”は、AMGにとって重要なマイルストーンとされている。1971年のスパ24時間レースにおいて、この巨大でパワフルな高級セダンは、その重量級ボディにもかかわらず総合2位というセンセーショナルな結果を残し、クラス優勝も獲得した。
6.8リッターV8エンジンを搭載したこのマシンは瞬く間にアイコンとなり、その後のメルセデスAMG成功の礎を築いたのである。

今回姿を現したメルセデス “レッドピッグ コンセプト”は、当時デザイン責任者だったゴードン ワグナーの指揮のもとで開発されたと見られている。
しかし、この車両は公式に公開されることはなかった。存在が確認できるのは、2025年に出版されたデザインブックのみで、そこにも技術的詳細や背景情報は記載されていない。
デザイン面では、このコンセプトカーは歴代Sクラス(W109型)のクラシックなプロポーションと、現代メルセデスのデザイン言語を融合している。
フロントマスクは堂々たる存在感を放つ。大型ラジエーターグリル、印象的なライトシグネチャー、縦型ヘッドライトエレメントを採用し、さらにLEDアクセントによって未来的キャラクターを強調している。
ワイドフェンダー、大径AMG5スポークホイール、そして控えめながら存在感のあるフロントスプリッターが、ブランドのモータースポーツDNAを色濃く感じさせる。その一方で、シルエットは歴史的モデルよりも低く、よりダイナミックに仕上げられている。結果として、高級セダン、ハイパフォーマンスモデル、そして未来的ショーカーを融合したような姿となった。
300 SEL “レッドピッグ”の市販化予定はなし
エンジンや性能、プラットフォームに関する具体的な情報は明らかにされていない。AMGコンセプトカーが伝統的なV8ビターボを搭載するのか、それとも電動パフォーマンスドライブを採用するのかは現時点では推測の域を出ない。
もっとも、この現代的なフロントデザインは電動コンセプトである可能性を示唆しているようにも見える。しかし、それも公式には確認されていない。

ひとつだけ確かなのは、この“メルセデス レッドピッグ コンセプト”の市販化は予定されていないということだ。
このコンセプトカーは、あくまでデザインスタディであり、メルセデス 300 SEL 6.8 AMG、そして伝説の“レッドピッグ”へのトリビュートとして存在しているのである。それでもAMGファンにとって、このショーカーは非常に興味深い存在だ。電動化とEQモデルの時代になってもなお、モータースポーツの歴史がいかにデザインへ強い影響を与え続けているかを示しているからだ。
“レッドピッグ”は今も生き続けている―少なくとも、メルセデスのアーカイブに眠る現代的コンセプトカーとして。
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Text:Sebastian Friemel
Photo:Instagram/gorden.wagener

