1. ホーム
  2. テスト
  3. デカデカングーロング「ルノー グランカングー クルール」日本専用のパッケージングが絶妙!相変わらずわかっているなぁ、ルノージャポン(笑)

デカデカングーロング「ルノー グランカングー クルール」日本専用のパッケージングが絶妙!相変わらずわかっているなぁ、ルノージャポン(笑)

2026年5月24日

3代目カングーにこの度、延長軸輪モデルの「グランカングー クルール(GRAND KANGOO Couleur)」が正式輸入された。390mm伸びたホイールベースにより4,910mmという5メートルにも迫る全長を持つデカデカングーロングに、初代「カングー1.4」を購入し、心底愛用した大林晃平が、「カングー」への愛をこめて試乗する。

「グランカングー」に対峙して感じるのは、月並みな表現になってしまうが長くてでかい、である。特に390mm延長されたホイールベースの影響をうけ、専用設計のスライドドアとなったその大きさと、その後方部分のマスの質量感がすごく、「カングー」が今まで持っていたはずのかわいいとかそういう感じの印象よりも、とにかく大きく立派な印象を抱く。だが荷物も人もたくさん乗せられるようにすればこうなるわけで、とにかく合目的的なのが「カングー」本来の姿なのだし、こういう形になるのは正しく当たり前の姿なのである。そういう意味ではこれは「アルファード」ではなく、「ハイエース」の友達路線の自動車である。「カングー」というのは(特に本国では)働きモノ一本勝負の職人車なのだから。

数年前の「カングー」のレポートの時にも記したが、ルノージャポンわかってるなぁ、と思うのはそのスペックで、黒バンパーに鉄チンホイールと黒い同色ホイールキャップ(!)、さらにそこにオールシーズンタイヤであるミシュランのクロスクライマート3(サイズも205/60R16 と実に僕好み)を標準で履いている。

わかってるなぁ、ルノー ジャポン「ルノー カングー クレアティフ」試乗レポート:https://autobild.jp/23804/

これだけでもわかってるなぁ、なのにさらに今回導入された「グランカングー」はサハラの砂(ベージュサハラ)と命名されたしぶいカフェオレ色(ジムニーのゆるキャン色に近い)。そして極めつけは、本国の「グランカングー」には装備されていないという観音開きのリヤゲートさえ、わざわざお願いして作らせて装備し、日本に導入するという本気ぶりである。

日本市場限定の観音開きのリヤゲート。松五郎(柴犬の名前)もその下でゆっくりとくつろいでいる(笑)。
Photo: 小河原 認

ここまで対応してくれたフランス人にも感謝だが、彼らも日本で開催されている、いまや年中行事のお祭りである「カングージャンボリー」にたいそう驚き、感動しての対応であることは間違いない。プロボックスやハイゼットのような車が、なぜ極東の島国でこれほど愛されているのか、おそらくきちんと数値化された解答などは生みだすことはだれにもできないけれど、とにかく日本ではカルト的な人気モノのだからこそ設定可能となった日本専用スペックの「グランカングー」、それがこの日本スペシャル仕様なのである。

ルノー グランカングー クルールは、特別なボディカラーを採用する「クルール」モデルで、今回のボディカラーは冒険心を掻き立てるサハラ砂漠の砂の色であるベージュ サハラだ。
Photo: 小河原 認

そんな「グランカングー」は実は正式なカタログモデルではなく、毎年の風物詩となっている今までの「カングー クルール」のように、とある時期に発表され、ある一定数が導入され、それが完売するとそれでその回は終了となる。つまりいつお店に行っても購入できるというモデルではないし、このちょっと素敵なサハラ色のグランカングー、今回限りで(多分)オシマイ。次の時期もその時に導入されるボディカラーもわからないし、そのスペックも未定である。グランカングーそのものに関してはルノージャポンが継続的な販売を公言しているし、今回買い損ねた方も待っていればいつかは購入できるが、どうしてもこのカラーが欲しい方はお早めに、というしかない。

ロングバージョンのワンボックスとは思えない程、運転が楽しめた。さすがはルノー?(笑)。
Photo: 小河原 認

しつこいけれど、「ルノージャポンわかっているなぁ」な、スペックと売り方ながら、たったひとつ「惜しい!」の部分もある。それは今回導入されたグランカングーは1.3リッターターボ(131PS&240Nm)のガソリンエンジンに、7EDCのオートマティックトランスミッションが組み合あわされたグレードだけということで、僕も皆さんも大好きな(はず)のディーゼルエンジンモデルやマニュアルトランスミッションモデルはない。個人的にはディーゼルエンジンのモデルがあったらもっと魅力的なのになぁ、という気持ちを抱いてしまうが、いずれ今後の再導入の際には用意されるのではないかというのが僕の希望的観測(期待)である。

今や豪華といってよい装備を満載する。小数点で表示されているタコメーターに注意(今は0.9 = 900回転)
Photo:大林晃平

さてそんなデカデカングーロングの広大な空間にちょこんと寂しく一人ぼっちで乗って走り始めると、とにかく乗り心地が良く運転しやすいことに感銘を受ける。さすがに3,100mmもの長さを持つ延長軸輪モデルなので、内輪差だけは常に頭に忘れないように思い描きながら運転する必要はあるが、それ以外は何も気を使うこともないし、とにかく嫌な感じにささくれだった部分は皆無。特にロングホイール化され、若干重く(1,690kg 従来までの「普通の」カングーよりも120kg重い)なった影響もあってか、その乗り心地には思わずイイナァ、とため息が漏れる。

残念ながら初代カングーほどの座り心地でないフロントシート。ハマグリのように開くヘッドレストも装備されていないのは寂しい。
Photo:大林晃平

特に路面の外乱や継ぎ目などを乗り越えるそのいなし方には、さすがフランス車(それも往年の)、さすがカングーと絶賛したほどで、大げさでもおべっかでもなく、ここ1年間で乗った自動車の中で一番乗り心地が良かったのはこの本来働き者の商用車であるはずのグランカングーなのであった。このまま地の果てまでも走り続けて行きたいような、直進安定性とフラット感満載のこの感覚は、ミニバンのようなピープルムーバーというよりも優秀な長距離クルーザーである。

セカンドシートとサードシートの広さはそれぞれ十分以上。言うまでもなく国産の豪華ミニバンのようなアームレストやオットマンは備わらないが、広さと乗り心地そのものは同種の自動車をはるかに上回る。
Photo: 大林晃平

前述のとおり残念ながらグランカングーには、ディーゼルエンジンが今のところ日本には用意されていないが、それでも今回のガソリンエンジンに7EDCという組み合わせのこのモデルの走行性能にも不満はまったくない。それどころか、もう20年以上前に日本に正式導入された初代カングー1.4の最初期のガソリンエンジンモデルを購入して、6年間愛用した者としては、これ以上の速さなど罰当たりなほどの高性能に感じてしまうし、今以上の速さなど必要ない。そういう走りを求めるのであれば他のクルマにするべきだと率直に思う。様々なADASを標準装備し、459万円という価格もかなりルノージャポンが頑張ったと評価したいし、この価格でこれほどの高速安楽性能を持つ車としてはダントツだと言い切れる。

さすがのグランカングーもサードシートを上げたままではそれほど広くはないものの、畳んだり取り外したりしてしまえば、単身赴任者の引っ越しくらいはこなせそうなスペースとなる。
Photo: 大林晃平

結局今回の試乗では、どうしてもここが気になるという部分がないまま時間切れとなった。それでもいやらしく重箱の隅を楊枝でほじくるのであれば、⓵3種類選べるのにどれも正直魅力的でないデジタルメーターのグラフィックス。特に1.8×1,000のように小数点で表示されるタコメーター表記はナゾ⓶初代及び2代目と比較すると今一つの座り心地の一列目のシート⓷倒すのにも外すのにもそれなりの体力が必要なセカンド&サードシート⓸やっぱり欲しいディーゼルエンジンモデル⓹ポックンポックンと木魚そっくりのウインカー音。以上5点くらいしか思い浮かばず、返却の際にはもう一度カングー買って一緒に生活してもいいかなぁ、とさえつい思ってしまうような、たおやかで優しい雰囲気がその広大な室内には充満していた。そしてそれこそがこの極東の島国でカングーが愛されている理由なのだと思う。グランカングーの次に導入されるカラーやスペックが妙に気になりながら、グランカングーをしぶしぶ返却した。

フォトギャラリー:新型ルノー グランカングー クルール

今回のバーベキューキャンプを兼ねた取材は、千葉県鴨川市に在る「Hangar eight(https://www.hangar-eight.jp)」でおこなった。ハンガーエイトは房総半島の中心部に位置する、カフェ・レストラン(金土日、祝日営業)と、クラブミーティング会場、ライブハウス、1日1組限定キャンプサイト(Camp David)などの複合施設だ。

2人だけで旅(キャンピング)するなら、たっぷりと荷物が積める。右の奥にはレトロな水冷911と991が並んでいた。

我々が食事やお茶を楽しむのに持ち込んだのは、多面体形状のおしゃれなテント「PLATO JOINT(https://platojoint.jp)」だ。
Photo: 小河原 認

3種類の「PLATO JOINT(プラトージョイント)」はワンタッチでジョイント金具と木材フレームの組付けができ、ハンモックやハンギングチェアも簡単に設置可能だ! くつろぎと安らぎの空間を与えてくれる。
Photo: 小河原 認

ハンガーエイトの影のボス、松五郎。ちなみにハンガーエイトには愛犬と一緒に行って楽しめる。
Photo: 小河原 認

クルマ仲間のB氏が所有するトゥインゴもキャンプ用機材の運搬車として活躍している。(笑)

ルノーの超小型EV、トゥイジーとの2ショット。掛け値なしに楽しい取材だった。(笑)
Photo: 小河原 認

Text: 大林晃平