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【International Auto Film Festa 2026】IAFF2026受賞作品発表 クルマと人生を描いたマツダRX-7作品が最高賞

2026年5月19日

日本発の自動車映画祭として年々存在感を高めている「International Auto Film Festa 2026(IAFF2026)」の授賞式「Award Ceremony and Party」が4月26日、東京・六本木のAXIS GALLERYで開催された。

世界73カ国から519作品が集まった今年のIAFFは、タイトルパートナーにDUNLOPを迎え、「International Auto Film Festa powered by DUNLOP」として開催。アウトビルトジャパンも創設当初からのメディアパートナーとして参加し、自動車文化と映像表現の融合を発信し続けている。

今回の授賞式では、特別賞3作品、メディアパートナー賞2作品、そしてグランプリが発表された。会場には国内外のクリエイター、映像関係者、自動車メーカー関係者、メディアが集まり、単なる“カー動画”ではなく、「クルマを通じて人の感情や記憶を描く映像作品」が評価されるIAFFならではの空気に包まれていた。

まず「DUNLOP TYRE Award」を受賞したのは、横川健次監督による『模型の町に命を吹き込む。A Day in Rothenburg, Germany in 1:87 Scale』。タイトル通り、ドイツ・ローテンブルクの街並みを1/87スケールで再現したミニチュア世界を舞台にした作品である。

「DUNLOP TYRE Award」:『模型の町に命を吹き込む。A Day in Rothenburg, Germany in 1:87 Scale』

静止した模型に光や音、人の気配を与え、まるで本当にその町で時間が流れているかのような映像表現が印象的だった。クルマは単なる移動体ではなく、街並みや生活風景の一部として存在しており、“自動車文化”を立体的に描いた作品として高く評価された。

『模型の町に命を吹き込む。A Day in Rothenburg, Germany in 1:87 Scale』:https://youtu.be/jucxA6kkynE

「TEAM UKYO Award」、そしてIAFF2026の最高賞となるグランプリをダブル受賞したのは、小川凜一監督(LUCK株式会社)による『〖MAZDAドキュメンタリー〗RX-7と過ごした25年間、最後の3日間 ~クルマが残してくれたもの~』だった。IAFF史上初の2冠達成となる。

「TEAM UKYO Award」「IAFF2026グランプリ」:『〖MAZDAドキュメンタリー〗RX-7と過ごした25年間、最後の3日間 ~クルマが残してくれたもの~』

この作品は、1台のマツダRX-7と25年間をともに過ごしたオーナーの人生を追ったドキュメンタリーであり、単なる旧車賛歌ではない。愛車と過ごした日々、家族との思い出、別れの決断までを静かに描写し、「クルマとは何か」という根源的なテーマを観る者に突きつける。特に印象的なのは、RX-7そのものよりも、“そのクルマが人の人生に何を残したか”にフォーカスしている点だ。派手な演出ではなく、リアルな感情を積み重ねた映像は、多くの観客の涙を誘った。

LE GARAGE(ルガラージュ)の店舗には作品に出演したRX-7が展示された。

また、TEAM UKYO Awardという賞の性格を考えても、この作品の受賞は象徴的だ。元F1ドライバー片山右京氏が率いるTEAM UKYOは、“挑戦”や“人間らしさ”を重視するチームとして知られる。その価値観と、本作が描いた人とクルマの絆は強く共鳴していたように感じられた。

『〖MAZDAドキュメンタリー〗RX-7と過ごした25年間、最後の3日間 ~クルマが残してくれたもの~』:https://youtu.be/nf3_lwSIShg

「Best Cars Of The Year Award」を受賞したのは、英国のSam Hancock監督による『DRIVEN | Maserati 300S: Masterpiece In Motion』。1950年代を代表するレーシングスポーツ、マセラティ300Sをテーマにした作品だ。

「Best Cars Of The Year Award」:『DRIVEN | Maserati 300S: Masterpiece In Motion』

この作品の魅力は、単なるヒストリックカー紹介映像に留まらない点にある。300Sの美しいボディライン、直列6気筒エンジンのサウンド、当時のモータースポーツ文化を、極めてシネマティックな映像美で描いている。ヒストリックカー映像ではディテール偏重になりがちだが、本作は「走る芸術品」としてのマセラティ300Sを感情的に映し出していた。英国らしい端正な編集と、クラシックレーシングへの深い敬意が感じられる作品だった。

『DRIVEN | Maserati 300S: Masterpiece In Motion』:https://youtu.be/N7yM5Y95L5M

そして、アウトビルトジャパンが選出する「Auto Bild Japan Award」を受賞したのは、ルクセンブルクのLukas Grevis監督による『A Drive through time』。

この作品は、“時間を旅するドライブ”というコンセプトをベースに、クルマが時代とともにどのように変化し、人々の記憶と結びついてきたかを映像で表現した作品。クラシックカーから現代車までを横断しながら、単なるスペックや性能ではなく、「時代の空気」を描き出していた点が非常に印象的だった。

「Auto Bild Japan Award」:『A Drive through time』

アウトビルトジャパンがこの作品を選出した背景には、“クルマ文化そのものを語っている作品かどうか”という視点があったように思う。速さや派手さだけではなく、人々の暮らしや歴史とともに存在するクルマ。その本質を映像として丁寧に掘り下げた作品だった。

『A Drive through time』:https://youtu.be/YFyLFoIDJSU

映像制作専門メディアPRONEWSが選出する「PRONEWS Award」は、ルーマニアのGeorge ve Ganaeaard氏とHoria Cucuta氏による『MANNEQUIN』が受賞した。

「PRONEWS Award」:『MANNEQUIN』

この作品は他の受賞作と比較しても特に実験色が強く、映像技術や編集センスが際立っていた。自動車映像でありながら、ファッションフィルムやアートフィルムのような質感を持ち、照明、構図、カメラワークが極めて洗練されている。PRONEWS Awardらしく、「映像作品としての完成度」に重点を置いた受賞と言えるだろう。

『MANNEQUIN』:https://youtu.be/MtTwCBljclA

IAFFは年々、“単なるカーイベント”ではなくなりつつある。Festhome上の開催概要でも「クルマを通じて人、文化、感情をつなぐ映画祭」と説明されている通り、自動車を題材にしながらも、その本質は“人間の物語”にある。

特に今年は、グランプリ作品が示したように、「クルマは人生の記憶装置である」というテーマが色濃かった。電動化や自動運転が進み、クルマが“単なる移動手段”へ変化していく時代だからこそ、人とクルマの感情的な関係性を描いた作品が強く支持されたのかもしれない。

世界73カ国から500本以上の作品が集まり、日本発の映画祭としてここまで国際化したIAFF。映像と自動車文化の新たな交差点として、その存在感は確実に大きくなっている。アウトビルトジャパンとしても、来年以降どのような作品が登場するのか、今から楽しみでならない。

Text:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Photo:IAFF