【このクルマなんぼ?】えっ?18億円!ありえねー!いえ、ありえます!オートモビルカウンシル2026レポート番外編
2026年5月11日
第1回のオートモビル カウンシルでは、販売価格帯も1,000万円以下の車両が多かった。しかし、この10年のクラシックカーブームの影響もあり、昨年あたりから数千万円クラスの車両が複数展示されるようになり、さらには数億円に達する個体も登場して話題を呼んだ。そして11回目の今年は、その流れがさらに加速し、数億円クラスの車両が数多く出展された。なかでも最高価格は、なんと18億円という驚愕のプライスタグが掲げられていた。今回は、そうした数億円クラスの高額車両を中心に紹介していく。
春の祭典「オートモビルカウンシル2026」:https://autobild.jp/65399/
1964年式 ポルシェ 904-8(価格:18億円)
今年のオートモビルカウンシルで最も高額だったのは、クラシックカー専門店デルタクラシックスのブースに展示されていたポルシェ904-8である。価格は実に18億円に達する。


この高額の理由は明確だ。ル・マン参戦用ワークスマシンとして8気筒エンジンを搭載し、わずか6台のみが製造された極めて希少な個体である。現存するのは2台のみとされ、そのうち実動状態で残るのはこの1台だけといわれている。さらに、実際にル・マン24時間レースを戦った実績を持つことも価値を押し上げる要因だ。こうした背景を踏まえれば、18億円という価格にも納得せざるを得ない。
1967年式 ポルシェ 910(価格:5.5億円)
会場で2番目に高額だったのは、同じくデルタクラシックスのブースに展示されていたポルシェ 910である。価格は5.5億円で、904-8の隣に並べられていた。


ポルシェ 910はワークスマシンとして28台のみが製作され、タルガ・フローリオやニュルブルクリンク6時間レースで上位を独占するなど、世界各国の耐久レースで活躍したモデルである。プライベーターによる参戦も多く、競技実績の豊富さも魅力のひとつだ。現在のクラシックカー市場の動向とその希少性を考慮すれば、この価格設定も十分に理解できる。
2018年式 ブガッティ シロン(価格:5.5億円)
同じく5.5億円で並んだのが、ブガッティ シロンである。量産車として最高速度490.485km/hを記録したことで知られるハイパーカーだ。

世界限定500台で生産されたこのモデルは、8.0リッターW16クワッドターボエンジンにより1500ps、1600Nmを発生する。新車時の価格は約3.1〜3.2億円とされるが、わずか8年で約1.5倍近い価格に高騰している点も注目に値する。

さらに興味深いのは、最終日の午後には「商談中」と表示されていたことである。筆者自身も実車を見るのは初めてだったが、その圧倒的な車幅と存在感には強いインパクトを受けた。
1969年式 ポルシェ 911ST(価格:1.65億円)
こちらもデルタクラシックスに展示されていたポルシェ 911STである。

911STはレースで勝利するために開発されたモデルで、軽量な911Tのボディをさらに軽量化し、当時最も高出力だった911S用フラット6エンジンを搭載している。いわゆる“ナローポルシェ”の中でも特別な存在だ。

ワークスおよび有力プライベーター向けに製作されたのは約20台とされ、さらに供給車両を含めても総生産台数は40〜50台程度にとどまる。この希少性と人気を踏まえれば、1.65億円という価格にも十分な説得力がある。
1950年式 アバルト 204A(価格;1.65億円)
アバルト204Aは、ブランドにとって極めて重要な歴史的モデルである。

1949年、カルロ・アバルトがチシタリアのレース部門を引き継ぐ形でABARTH & C.を設立。チシタリアに残されていた204系車両をベースに開発されたのが本車である。車名末尾の「A」はアバルトを意味し、初めてサソリのエンブレムが装着された記念すべきモデルでもある。

世界でわずか7台のみが製造されたレーシングロードカーという背景を考えれば、この価格設定も十分に納得できる。
1972年式 フェラーリ 365-GTB/4 デイトナ (1.2億円)
4.4リッターV12エンジンをフロントに搭載し、ピニンファリーナによる美しいスタイリングを持つフェラーリ 365 GTB/4 デイトナ。

ル・マン24時間レースGTクラスでの3年連続優勝をはじめ、輝かしいレース実績もその価値を高めている。2017年には、日本国内で発見されたアルミボディ仕様がオークションで約2.3億円で落札され、大きな話題となった。

今回展示された個体は右ハンドル仕様という希少性もあり、1.2億円という価格が設定されていたが、イベント初日に売約済みとなっていた。
最後に、今回確認できただけでも、1億円以上の価格が付けられていたヘリテージカーは6台にのぼった。この10年で自動車はアートと同様に投資対象としての側面を強め、価格は年々高騰している。今後もしばらくこの傾向は続くと見られるが、その結果として一般ユーザーにとっては、ヘリテージカーがますます手の届かない存在になりつつあるのも事実である。
Text & photo:池淵 宏

