【ロードテスト】果たして真価は発揮されたか? トヨタGRヤリスで初の雪上テスト!

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AUTO BILDのテスターが「史上最高のトヨタ車」と絶賛するGRヤリス その真価を問う最後のテストは雪の上でのテストだった。果たしてその結果は?

今回のテストで、雪の中をトヨタGRヤリスで走るとじわじわと幸せな気持ちが湧き上がってくる。我々は2019年末にトヨタ ヤリスを初めて運転し、その後、トップパフォーマンスモデルであるGRヤリス市販車の到来を心待ちにしていた。そして、今、我々はGRヤリスの真の実力を試すために雪国を訪れた。その雪上ドライビングレポートをお届けしたい。

2019年末、ポルトガルのエストリルの元グランプリコースで、まずはベースモデル「ヤリス」の初テスト。
それから約1年後、我々はついに「GRヤリス」の市販モデルをテストできることになった。
お尻をふりながらコーナーを見事にクリアし、我々は「GRヤリス」で大いに遊び、楽しんで、「これぞ究極のヤリスだ」と宣言した。
中には、「歴代トヨタ車中、最高峰の1台」とまで絶賛するものもいた。
しかし、「GRヤリス」の才能を100%引き出すためには、雪の上でのテストまで待つ必要があった。
そこには「GRヤリス」とともに過ごす真の幸せがある。

我々は、今、「GRヤリス」とともに、独バイエルン州パイティングとオーバーアマーガウの間の雪深い森の中にいる。
ラリーの名ステージには、まさに私たちが必要としているものがある: 狭い道、タイトなカーブ、側面の雪の壁。
こここそが、「GRヤリス」がいよいよ本領を発揮できる場所だ。
トヨタ独自の開発は、アルミ製のトランスファーケースを介して制御され、その軽量な構造と堅牢なキャラクターが特徴だ。
何と言っても「GRヤリス」はWRC(世界ラリー選手権)用のホモロゲーションモデルなので、多くのことに耐えることができなければならない。
「GRヤリス」は4,490ユーロ(約57万円)のハイパフォーマンスパッケージ(HPP)を注文すれば、フロントアクスルとリアアクスルの間で駆動トルクを最適に配分する2つのトルセンディファレンシャルロックも入手できる。

ハイパフォーマンスな「ヤリス」は、雪の中でも遺憾なく本領を発揮する。

パワー配分は、6速マニュアルギアボックスの前にあるロータリースイッチで、60:40(ノーマル)から50:50(トラック)、30:70(スポーツ)まで調整することができるようになっている。
サーキットでは「トラック」に最適だが、雪上ではより楽しい「スポーツ」モードが絶対に必要だ。
これにより、スライドするフロントアクスルが、あっという間に見応えのあるドリフトマシンに変身する。
装着されたコンチネンタル製の冬用タイヤは、ステアリングを素晴らしく応答性の高いものにし、トヨタは意図的に最新の「e-パーキングブレーキ」を「GRヤリス」には装着していないので、機械的なハンドブレーキは、ピンチの時に役立つ。
結局のところ、我々はラリーカーのドライバーズシートに座っているのだ。
6速マニュアルの変速機も、ギアスティックが通常のスポーツカーよりも高い位置にあるのがラリーカーっぽくていい。

インテリアミラーとセンターディスプレーの間には、カーブの頂点を狙うための狭い隙間があるだけだ。背の高いドライバーにはミラーしか見えない。これは雪が降る中での唯一のネガティブポイントだ。

「GRヤリスは」は261馬力を発揮する。
しかもわずか3気筒のエンジンから。
その結果、リッターあたりの出力は162馬力近くに達し、驚くほどのドライバビリティと調和のとれた回収力を発揮する。
ドライコンディションで、ハイパフォーマンスパッケージのミシュラン夏用タイヤを装着した場合、5.5秒で0から100km/hまで加速する。
ちなみに後者は、前述のロックとグリップ力のあるタイヤのセットに加えて、スポーツドライバーに強化されたブレーキシステムと18インチの鍛造アルミ合金ホイールがオプションで用意されている。
価格の面では、トヨタはレギュラーバージョンに33,200ユーロ(約424万円、日本では265万円より)、HPP(ハイパフォーマンスパッケージ)バージョンに37,690ユーロ(約482万円、日本では456万円)を求めている。
それは決して安くはないが、それだけの価値は間違いなくある!
なぜならば徹底的に仕立て上げられた公道用万能ラリーカー&究極のドライビングマシンだからだ。

といったように、ヨーロッパのAUTO BILDのスタッフも、「GRヤリス」は絶賛の一台なのであった。特に「トヨタ最高の一台」とまで書かれてしまっては、日本人として嬉しいし、この雪上テストを読み返してみても、大きなウイークポイントというのは価格以外に見受けられない。
こういう街中で持てあまさない程度の(とはいっても、「GRヤリス」の性能は十分以上にハイパフォーマンスなのだが)、コンパクトなモデルが今の世の中には欠けているということなのかもしれないし、それよりなにより、「GRヤリス」を本気で開発し熟成したトヨタのスタッフの血と汗の結果がこの高評価に結びついたと考えても間違いではないだろう。
ひょっとすると将来、86(もちろん昔の、である)のような、自動車愛好家を楽しませ続けるようなアイコンになるのだろうか? それは時間が経過してみなければなんとも言えない部分ではあるが、こういう純粋な内燃機関にMTと完成度の高いフルタイム4輪駆動を組み合わせたコンパクト2 BOXは、この車が最後になるのではないだろうか。そう考えると「GRヤリス」は、私のようなまったく武闘派ではない人間でも、ちょっと欲しくなってしまう一台なのだ。

テクニカルデータ: トヨタGRヤリス
● エンジン: 3気筒、ターボ、フロント横置き ● 排気量: 1618cc ● 最高出力: 261PS@6500rpm ● 最大トルク: 360Nm@3000~4600rpm ● 駆動方式: 全輪駆動、6速MT ● 全長×全幅×全高: 3995×1805×1455mm • 乾燥重量: 1271kg ● 最高速度: 230km/h ● 0-100km/h加速: 5.0秒 ● テスト時平均燃費: 10.9km/ℓ ● 価格: 33,200ユーロ(約424万円)より

Text: Alexander Bernt
加筆: 大林晃平
Photo: Lena Willgalis / AUTO BILD

【動画】サーキットでのラップ計測