元F1チャンピオン セバスチャン ベッテルが自慢のスポーツカーコレクションの中から8台を売却
2021年2月22日
元フォーミュラ1世界チャンピオンのセバスチャン ベッテルが、自身のスポーツカーコレクションの中から8台を手放す。フェラーリ、メルセデス、そしてBMWの8台の中にはスーパースポーツカーも含まれている。それらの逸品を紹介する。
フェラーリへの彼の愛はついえたのだろうか?
それともガレージを他のクルマのために空ける必要があるのだろうか?
いずれにせよ、F1スターのセバスチャン ベッテル(33)は、自分のコレクションの中から、5台フェラーリスポーツカーを含む8台を手放したいと考えている。
新しく「アストンマーティンF1チーム」のドライバーとなったベッテルは、イギリスのスポーツカーディーラー、「トム ハートリー ジュニア」を通じて、これらのスポーツカーとスーパーカーを委託販売しており、ディーラーはインスタグラムを通じて、そのことを紹介している。
インスタグラムからの引用:
「我々は、4度のF1世界チャンピオンであるセバスチャン ベッテルのコレクションから直接得られた素晴らしいクルマの数々を紹介できることを非常に嬉しく思います。これらの車はすべてスイスに拠点を置き、登録され、課税されています。」
ベッテルは、現在、ドイツ、オーストリア、スイスの国境に位置し、ライン川が流れ込む「ボーデン湖」の近くにあるスイスの小都市コンスタンツの街の近代化された元工場を改造した建物に住んでいる。
彼は車やバイクの愛好家であることも知られている。
しかし、最近、彼の中で心境の変化があったことも事実だ。
「持続可能性(サスティナビリティ)」のファンであるベッテルは、ガソリンを大量に消費するスーパーカーには存在価値がなくなったと考え、彼のガレージの大掃除をしているのも理由のひとつである可能性が高い。
ベッテル自身は今回の件に関してコメントはしていない。
しかし、彼のスポークスウーマンは、これらの「宝石」は彼の遺産の中から出てきたもので、近日中に売却される予定だと公に認めている。
ところで、その一方で、ベッテルには、所有する多くのフェラーリの中で個人的に非常に思い入れの強い、絶対に手放さない(であろう)1台がある。
それは、かつて、イタリアの生んだ世界一のテノール歌手、ルチアーノ パバロッティが所有していた「フェラーリF40」だ。
「F40」はベッテルが子供の頃の「ドリームカー」であり、F1チームへの愛が消えたとしても、「F40」というモデルに対する彼の想いを変えることまではできないだろう。
【ベッテルのカーコレクション】
元フォーミュラ1世界チャンピオンのセバスチャン ベッテルが、自身のスポーツカーコレクションの中から8台を売りに出す。その最初の1台は、この走行距離わずか490kmの2016年型「フェラーリ ラ フェラーリ」だ。
しかし残念ながら、この「ラ フェラーリ」はすでに購入され新しいオーナーの手に渡っている。購入価格は公表されていない。4点式シートベルトやレース用排気システム、消火器などの特別装備を備えているほか、シートに刺繍入りのロゴが入っているなど、ベッテル専用のディテールが多く見られる。
フェラーリ エンツォ(2004): 走行距離わずか1,790km。
フェラーリF50(1996): 走行距離6,940km
この「F50」もすでに新しいオーナーの手に渡っている。これまた購入価格は公表されていない。ベッテルはF1にフェラーリから初参戦した2015年に、デンマークでこのマシンを購入した。このような保存状態の良い「F50」の個体は珍しい。
フェラーリF12tdf(2016): 走行距離1,200km
ベッテルが自ら購入し、スポーツシートにベッテルのロゴを入れるなど特別に仕立て上げられた1台だ。
販売価格: 835,000ユーロ(約1億688万円)
フェラーリ458スペチアーレ(2015): 走行距離3,000km
この「458」は、ベッテル自身がマラネロでオーダーした初のフェラーリだ。メタリックペイント、インテリアのアルカンターラ、ロゴ刺繍入りのカーボンレーシングシート、4点式シートベルトが目を惹く。
販売価格: 40万ユーロ(約5,120万円)
メルセデスベンツSL65 AMGブラックシリーズ(2009): 走行距離2,800km
走行距離わずか2,800kmのワンオフ。ベッテルは2009年にアブダビで開催されたF1 GPで、メルセデスで初優勝を遂げている。
350台限定の12気筒の販売価格は31万5000ユーロ(約4,032万円)だ。
メルセデスベンツSLS AMGガルウィング(2010):走行距離6,928km
ベッテル自らがアファルターバッハ(AMG本社)でオーダーしたAMGだ。
特別仕様: マットグレー塗装仕上げ、セラミックブレーキ、スポーツサスペンション、インテリアにナッパレザー、カーボンパッケージ等々。
販売価格:200,000ユーロ(約2,560万円)
BMW Z8ロードスター(2002): 走行距離21,700km
ベッテルのレーシングキャリアはBMWから始まる。2004年にフォーミュラBMWで優勝したベッテルは、その後、BMWのF1テストドライバーとなり、2007年にはモントリオールでの大事故で負傷したロバート クビサに代わって、翌年の米国GPからF1プレミアクラスにBMWでデビューした。
ベッテルは2015年、この「Z8」を北米で購入し、スイスに輸入した。
販売価格: 200,000ユーロ(約2,560万円)
本記事からは、ベッテルのコレクション(の一部)はどれも、走行距離が数千キロ、あるいはまっさらの新車と言ってもよいものばかりで、内装・外装を特別注文したのに、結局は乗らず、飾っておいたものが多い、ということを意味している。
特に「458」はヘッドレストに「ベッテル」と刺繍を施すほどの凝りようなのに、たった3,000キロしか乗っていないし、ラ フェラーリは500キロ以下、ということはまったく乗っていないクルマといえる。
まあ運転は本業のレースのほうでイヤってほどおこなっているので、自分の欲しい原寸大ミニカーとして飾ったり、ちょっと座ったりしていたのではいか、と勝手に妄想してしまうが、それでも(F1レーサ―もやっぱり)自動車が好きなんだなぁ、と少し嬉しくなった。
そんな中でも「Z8」だけは20,000万キロ以上(も)乗っていたりして、意外と「Z8」は大きさも扱いやすくて実用として使っていたのか、とか、その頃は今ほど忙しくなかったのかも、とか余計なことを考えるほどの走行距離なのが妙におかしい。
Text: Bianca Garloff
加筆: 大林晃平
Photo: Instagram/Tim Hartley