このクルマなんぼスペシャル マラドーナの愛車ポルシェ911(964)カレラ2カブリオレがオークションに その想定落札価格は?

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このシャンパンゴールドの「ポルシェ911カレラ2カブリオレ」は、かつてサッカー界のレジェンド、ディエゴ マラドーナが所有していたものだ。その希少なWTL「964」がオークションに出品され売られることとなった。最新情報をお届けする。

この「911カレラ2」は、サッカーファンやポルシェ愛好家にもぴったりの一台だ。シャンパンゴールドの「964カブリオレ」は、ファクトリーターボルック(WTL)で製造された、1200台のうちの1台で、サッカー界のレジェンド、ディエゴ マラドーナに新車で納車されたクルマである。現在、このポルシェはオリジナルの状態でオークションに出品されている。推定落札価格は15万~20万ユーロ(約1,920~2,560万円)!?

1992年11月、当時32歳だったディエゴ マラドーナは、「ポルシェ911カレラ2カブリオレ」を手に入れた。そのことは、オリジナルのサービスブックレットを見れば一目瞭然だ。当時、マラドーナはスペインのサッカー1部リーグに属していたチーム、「セビージャFC」と契約していたため、「964」はスペインに納車された。マラドーナの「911」は、工場のターボカラーリングで製造された約1200台の「911カレラ2カブリオレ」のうちの1台だ。WTL(ファクトリーターボルック)の「911」は、ワイド化されたボディワークで認識されているが、パワーは変わらない。3.6リッター6気筒ボクサーは、250馬力と310Nmを生成する。クロームのカラーリングや、数百万ユーロのスーパーカーや、ハイパーカーで他を圧倒しようとする今日の一部のサッカー選手とは異なり、マラドーナはカラーコーディネートなどでクラシックな仕様を選択した。彼が乗っていた「ポルシェ911」はシャンパンゴールドで、ブラックのレザーインテリアとブラックのソフトトップが特徴だ。それに合わせて、彼は、やや緩慢な4速ティプトロニックの代わりに、古典的な5速マニュアルトランスミッションを選択している。

ワイドチークEXワークス。WTL(Werksturbolook=ファクトリーターボルックはメーカーによるオフィシャルな改造)のおかげで、フェンダーはノーマルの911よりも大幅にワイドになっている。

推定価格15万~20万ユーロ(約1,920~2,560万円)

オークションハウス「ボナムズ(Bonhams)」によれば、アルゼンチンの英雄がこの「911」を所有し、愛用したのは比較的短期間だったという。1992年当時、スペインのサッカーチーム「セビージャFC」に所属していた彼は、信号無視やスピード違反などで、何度かスペイン警察に捕まっているという。「セビージャFC」で満足のいくシーズンを過ごせなかった彼は、1993年の夏には、アルゼンチンに戻り、ニューウェルの「オールドボーイズ」に加入した。その後、彼の「964」はマヨルカ島に住む個人に売却された。そのセカンドオーナーはこのポルシェを約20年間運転した後、マラドーナの「911(964)カブリオ」はフランス人コレクターの手に渡り、2016年に現在のオーナーのもとへとたどり着いた。現在、この「911(964)カブリオレ」は、12万3千キロ弱という総走行距離で、レストアなどの施されていないオリジナルの状態でオークションにかけられることになった。ボナムズの「Les Grandes Marques du Monde à Paris」オークションは、2021年3月3日から10日まで、フランスの首都パリで開催される。想定落札価格は15万~20万ユーロ(約1,920~2,560万円)とされている。

クラシックなファクトリーコンビネーション: シャンパンゴールドのエクステリアにブラックのインテリア。

もはやわざわざ解説するまでもなく、マラドーナは、特に彼の地においては神のような存在である。そんな超スーパースターの乗っていた「911」、予想落札価格を見たら意外と「そんなものか」と思ってしまった。もちろん今のオーナーで3人目ということもあるだろうし、10万キロ以上走ってしまった個体ということもあるかもしれないが、それでも神様のようなスーパースターの一台としてはなかなかリーズナブルな価格なのではないだろうか。もちろんここからうなぎ上りに価格は上昇するかもしれないが、今のところはかなりのバーゲンプライスのように感じてしまう。またあれほどの奇行?や、驚くような行動をしていたわりには、なんとも上品で車のわかったしぶい組み合わせの、ツウな個体ではないか。マラドーナ、意外と車のことを分かったエンスーだったんだなぁ、とファンが聞いたら刺されそうな感想をつぶやいてしまった。天国でもサッカーボールと愛車をかっとばしていることを願ってやまない。

Text: Jan Götze
加筆: 大林晃平
Photo: Bonhams