【フルテスト】まるで911!スポーツカーを気取るSUV 500馬力にパワーアップした「ポルシェ カイエンGTSクーペ」はどれほど鋭いのか
2026年4月20日
またしても「スポーツカーになりたがるSUV」が登場した。しかし注意してほしい。このポルシェ カイエンGTS クーペ(Porsche Cayenne GTS Coupé)ほど、その意図が本気である例はそう多くない―その理由は、従来のターボGTのシャシーを受け継いでいる点にある。
ターボチャージャーが1基減った?いいや違う!
技術仕様を見ると、新型ではツインスクロールターボの代わりにモノスクロールターボが採用されている。しかしこれは、ターボチャージャーの数が減ったことを意味しない。排出ガス規制の影響でそうなっていてもおかしくはなかったが、違いは主にタービンハウジングにある。モノスクロールは単一流路のハウジングを持ち、ツインスクロールは排気を2つの独立した流路に分け、それぞれ2つの燃焼室から供給されたガスが最終的にタービンホイールへと導かれる。
通常はツインスクロールの方がレスポンスに優れ、ターボラグも少ないとされる。しかし今回のGTSでは、ポルシェは一歩後退する選択をした。より厳格な排出ガス規制が、ターボの仕様変更と4.0リッターV8の全面刷新の主因だ。低回転域のトルクの谷を防ぐため、新しいウェイストゲートを採用し、さらに燃料噴射圧を350barへと高めてレスポンスを維持。その結果、出力は先代比で40馬力向上し、合計500馬力に達した。

確かにパワーは十分だ。では他には?主に高速コーナリングに必要なすべてが備わっている。多くは「カイエン ターボGT(Cayenne Turbo GT)」からの流用だ。0-100km/h加速3.2秒、ザクセンリンクで1分35秒台を記録したあのパフォーマンスモデルである。例えばフロントのスイベルベアリングはネガティブキャンバーを約0.6度増加させる。さらに独立した冷却回路を持つ四輪駆動トランスファーケースも採用。新しい2バルブダンパー付きエアサスペンションは「GTS」専用にセッティングされ、車高は10mmローダウン。PASMアクティブダンパー制御とトルクベクタリングプラスも標準装備だ。リアアクスルステアリングとロールスタビライゼーションはオプションだが、テスト車には装着されている。加えてフロント440mmディスクのセラミックブレーキも、最上位モデルと同一仕様だ。
| ポルシェ カイエンGTS クーペ | |
| エンジン | V型8気筒ツインターボ |
| 排気量 | 3996cc |
| 最高出力 | 368kW (500hp)/6000rpm |
| リッター馬力 | 125hp/L |
| 最大トルク | 660Nm/2100-4500rpm |
| トランスミッション | 8速オートマチック |
| 駆動 | 全輪駆動 |
| 全長/全幅/全高 | 4930/2194/1654mm |
| ホイールベース | 2895mm |
| 燃料タンク/トランク容量 | 90/592-1502L |
| 燃費 | 7.9km/L |
| 価格 | 163,025ユーロ(約3,015万円) |
「GTS」を特別たらしめる要素は何か?外観では、サイドスカート、フロントバンパーインサート、ウィンドウトリム、ホイールアーチエクステンションに施されたハイグロスブラックのアクセントが特徴だ。従来ブラックだったスポーツエグゾーストのテールパイプはダークブロンズに変更。RSスパイダーデザインの21インチホイールが標準装備となる。テスト車には22インチホイールとピレリのPゼロコルサが装着されていた。これは新型「カイエン ターボ Eハイブリッド GTパッケージ(Cayenne Turbo E-Hybrid GT package)」と同じタイヤで、従来よりサイドウォールが高くなっている。

残念ながらテスト車「S-GO 8265」には、軽量化パッケージが装備されていなかった。遮音材の削減、軽量ルーフ、カーボン製リアディフューザーを含むこのオプションにより、2.27トンの車重から最大33kg削減できる。無駄な出費だろうか?おそらくそうかもしれない。しかしスポーツカー的な走りを志向するこのモデルには、むしろ相応しい装備だったはずだ。
まるでPKのような感覚―ただしもっと大きい
乗り込んだ瞬間、まるで「ポルシェ911」 に座ったかのような感覚になる。深く、そして完璧に調整可能なスポーツシートに身体が沈み込む。「GTS」の真骨頂は長距離移動だ。フルレザーの上質な空間でサウンドシステムの繊細な音を楽しみながら、230km/hで高速道路の追い越し車線を悠然と走る。その挙動はまるで当然のようで、何ものにも動じない。物理法則でさえ例外ではない。アダプティブダンパーのコンフォートモードでは路面の凹凸は消え去る。
V8は控えめに背景に徹する。非常に心地よい。ブレーキは全く不安を感じさせず、ペダルフィールも「911」と遜色ない。ワインディングでも挙動は極めて正確で落ち着いており、2.2トンの重量を感じさせない軽やかさがある。0-100km/h加速4.3秒という数値も同様で、「たった」500馬力からこれほどの性能を引き出すローンチコントロールの完成度は驚異的だ。

サーキットでは楽しいのか?
答えは明確だ。「残念ながら」楽しい。このSUVがザクセンリンクを咆哮しながら駆け抜ける様は非現実的ですらある。多くのスポーツクーペが夢見る横Gを発生させながらも、車体はほとんどロールせず、アンダーステアとは無縁の安定感を見せる。
トランスミッションは素早く正確に変速し、ブレーキは安定、ステアリングレスポンスも完璧だ。もちろん、登りのコーナー出口ではパワー不足を感じる場面もあるが、それでも1分37秒11というラップタイムは、「BMW X6 Mコンペティション(BMW X6 M Competition)」にわずか0.3秒遅れるだけだ。625馬力のツインターボV8を持つそのモデルが決して遅くないことを考えれば、これは驚くべき結果である。
結論:
このカイエンは、GTSモデルの伝統を正確に受け継いでいる。ターボGT由来のシャシーは驚異的で、高速道路でもサーキットでも同様に高い完成度を発揮する。V8は確かな存在感を持つが、車両のダイナミクスを凌駕することはない。
Text: Guido Naumann
Photo: Ronald Sassen

