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【140年、140カ所】新型「メルセデス・ベンツ Sクラス」によるグローバルジャーニー その18 太平洋に面した港湾都市ロングビーチに到達

2026年4月19日

ロサンゼルス南部に位置するこの街は、世界有数のコンテナ取扱量を誇る国際港を抱える一方、温暖な気候と開放的なウォーターフロントを併せ持つ南カリフォルニアらしい都市である。海と物流、そしてモータースポーツ文化が交差するこの地は、グローバルブランドであるメルセデス・ベンツの歴史を振り返る舞台としても極めて象徴的だ。

今回の目的地であるメルセデス・ベンツ・クラシックセンターは、ブランドの遺産を保存・修復・継承する北米拠点であり、単なる展示施設ではなく“生きた博物館”とも言える存在である。

ここでは歴代モデルのレストアやメンテナンスが日常的に行われ、往年の名車たちが現役の工房で息を吹き返している。

施設のエントランスでは、1954年の名車メルセデス・ベンツ 300SLクーペを中心に、左には新型のSクラス、右にはV12エンジンを搭載した1991年のメルセデス・ベンツ S 600/W140が並び、ラグジュアリーサルーンの進化を視覚的に物語る構成となっている。

メルセデス・ベンツ・クラシックセンターに歴代のSクラスが並ぶ。

館内には、1972年に誕生した初代Sクラスメルセデス・ベンツ Sクラス/W116をはじめ、ブランドのフラッグシップの系譜が体系的に展示されている。これらのモデルは単なる過去の遺産ではなく、安全技術や快適性、そしてステータスの象徴として時代ごとの頂点を築いてきた存在であり、新型Sクラスへと連なる技術と思想の連続性を強く印象付ける。

クラシックメルセデスの象徴1954年製300SLクーペ(W198)。
サービス工場内にも300SLの姿。

さらに注目すべきは、併設されたサービス工場である。ここでは300SLをはじめ、W108/W109系のセダンや以前にも紹介したニューヨーク州にあるスタインウェイ&サンズでライセンス生産された1905年のオリジナル・アメリカ製メルセデスに至るまで、多様なクラシックカーが専門スタッフの手により整備・修復されている。その光景は、単なる保存ではなく「走り続ける文化財」としての自動車の価値を体現していると言えるだろう。

250シリーズ&300シリーズ/W108/W109(1965-1972年)。
ニューヨーク州にあるスタインウェイ&サンズでライセンス生産された1905年のオリジナル・アメリカ製メルセデス。

今回のロングビーチ訪問は、新型Sクラスが担う未来と、クラシックセンターが守る過去とが交差する象徴的なチェックポイントとなった。140年にわたる革新の歴史は、決して過去に留まるものではない。むしろ、それは現在進行形で進化し続け、次の時代へと確実に受け継がれていく。そのダイナミズムを、ここロングビーチの地で改めて実感することとなった。

Text:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Photo:Mercedes-Benz Group