2万ユーロ(約256万円)以下で買えるクラシックカー&ネオクラシックカー一覧 前編
2021年2月13日
メルセデスベンツ280SEやVWゴルフ1といった、2万ユーロ(約256万円)以下のクラシックカー。今後クラシックカーとして価値を認められる可能性のある、これらの現在過小評価されているクラシックは、2万ユーロ(約256万円)以下で取引されている。多くの人気のあるクラシックカーは非常に高価だ。しかし、潜在的に優れたクラシックカーとしての可能性を秘めた多くのクルマが市場には存在する。それらのクルマを紹介する。懐かしい、カッコいい日本車もあるのでお楽しみに!
いくらくらいのお金で好きな車を手に入れることができるのだろうか?人気の高いクラシックの多くは、すでに価格が高騰している。しかし、将来的に価格の高騰する可能性を秘めた旧車だが過小評価されているために、低価格で販売されているクルマも多く存在する。買う価値があるものはどれなのだろうか?我々が検証する。
メルセデス280SEはファミリー向けでお手頃価格
メルセデス280SEから始めよう。1970年代のSクラス(W116シリーズ)は、まごうかたなきメルセデスベンツらしいメルセデスベンツの中の一台だ。その中でも「280SE」は最も賢明な選択肢として推奨される。優れた走行性能、まあまあ許容範囲の燃料消費量(リッターあたり8.3km)、安定した技術。市場に存在する豊富な台数が価格の高騰を抑制し、市場相場価格も最近再び下落している。「W116」の価格帯は、1,000ユーロ以下でも見つけられる要整備の「280S」から、無敵の「450SEL 6.9(最低でも5万ユーロ=約640万円以上)」までバリエーションは無数だ。
クラシックデータによれば、「280SE」の場合、最も多く作られた「W116」モデルとして、今日でもレンジの大部分を占めているが、日常的なクラシックのためには、約7,000ユーロ(約89万円)の以上の購入予算を準備する必要がある。愛好家たちの求める、希少な特別装備(サンルーフ、ベロア生地シート、ベッカーのオーディオなどなど)の個体でも、「間違ったボディカラー」(例えば黄色とか水色とか、珍しい色)を身にまとった個体でも、多くの場合、わずかな追加料金で手に入れることができる。とはいってもさすがに「W116」を実用にまだまだなりますよ、とか、基本が丈夫だから大丈夫と気楽に勧める気にはなれない。このあとの「W126」ももはや立派なオールドタイマーの仲間入りだし、維持していくためにはかなりの金額が必要なことも言うまでもない。「W116」もクラシックカーとして選択するべきだし、趣味の世界のクルマなのだと思う。毎日のビジネスマンズエクスプレスとしてのSクラスであれば、せめて2世代くらい前までの車がリーズナブルなのではないか、そう正直に思うのである。
ドイツにおけるマーケットの状況
W116の市場相場価格:
コンディション2: 11,400ユーロ(約142万円)
コンディション3: 7,100ユーロ(約90万円)
すでに75馬力のニッピー: VWゴルフ1カブリオ
「ストロベリーバスケット」という愛称で呼ばれた、「VWゴルフ1カブリオ」は、80年代、お医者さんや良家お嬢さんたちに好まれたゴルフだった。ここしばらく、オープントップのゴルフ1は、VWビートルによって影が薄くなっていたが再考する時がきた。「ゴルフ1カブリオ」の愛称は、その安全性と剛性を向上させたハンドル型ロールバーに由来している。カルマン社製で、角張ったクリアなジウジアーロデザインを備え、上質なインテリアとソフトトップ、爽やかで軽快なドライビングフィールが印象的だ。ゴルフ1カブリオは、夏のシーズンに向けて、身の丈に合った楽しいクルマとして適している。メンテナンスもしやすく、75馬力でも元気な走りを実現している。価格帯も魅力的だ。グッドコンディションの車でも、まだ10,000ユーロ(128万円)前後で購入できる。文化的に栄光を与えられた「VWビートル カブリオ」(もちろんRRの)には、2倍以上の費用がかかる。クラシックデータは、コンディション3のゴルフ1カブリオを5,100ユーロ(約65万円)と推定している。
マーケットの状況:
狭いバンパーを持つ初期モデル(1987年5月以前)は、フェイスリフトが施された後期モデルに比べて、販売された台数が少ない。
価格は、使用可能な「デイリードライバー」向けの約3,000ユーロ(約38万円)から、走行距離6万キロ未満の無傷のモデルの15,000ユーロ(約192万円)強まで、となっている。
しかし最終モデル(カラードバンパー)はプレミアム価格の場合もあるので要注意。
さらに3ATということもあり、性能などはそこそこなので、くれぐれもその点をわきまえて、お洒落な趣味クルマとして購入すべきであるが、街中では注目の的となること間違いない。
市場相場価格:
コンディション2: 10,400ユーロ(約133万円)。ゴルフ1カブリオの場合
コンディション3: 5,100ユーロ(約65万円)。ゴルフ1カブリオの場合
これらのクラシックカーはスペシャルなモデルでありながら、まだ手頃な価格だ
「アルファロメオ アルフェッタGTV 2000L」も、インサイダーからの情報だと、お買い得だとのことだ。70年代のワイルドでレーシーなイタロクーペは、「本物の運転フィーリング」を経験できる。最も需要があるのは、希少なクロームモデルだ。「GTV 2000L」は、コンディション2で、12,600ユーロ(約万円)、コンディション3で7,600ユーロ(約97万円)という価格帯で取引されている。
マーケットの状況:
初期の希少なクロームモデルが最も需要がある。第2シリーズからの4気筒モデル(1980年秋から、プラスチックバンパー!)は、同等の状態でも1,000ユーロ(約12万8千円)ほど安く売られている。フェイスリフト以降のV6(2.5リッター/154または158馬力)は、6,000ユーロ(約76万円)ほど高くなる。どのモデルでもサビに関しては十分に注意することと、電気系統などに関してはトラブルが発生しやすいため、継続したメンテナンス作業が必須なことは言うまでもない。そのためオーナーにもトラブルに対処できるちょっとした技術と、大きな度量は必要とされるが、オシャレなイタリアンクーペには間違いない。
市場相場価格:
コンディション2: 12,600ユーロ(約161万円)
コンディション3: 7,600ユーロ(約97万円)
カルトなイギリス生まれの小人
また、「ローバー ミニ クーパー1.3i」にも、目を光らせておく必要がある。「ブリティッシュオープン」や「ナイツブリッジ」といった多数のスペシャルモデルが存在するおかげで、そのモデルレンジはとても広い。
この小さなイギリス製ミニは、最後のシリーズ(1996~2000年)で再び大ヒットを記録した。
レザー、ウッド、クロームで、贅沢にトリミングされたアレック イシゴニス卿の発明したミニは、まるで濃縮されたベントレーのように見える(やや誉めすぎか?)。最後のシリーズでは、それまでサイドマウントだったラジエーターが、エンジンの前に移動され、MGFロードスターが貢献した新時代のエアバッグステアリングホイールを搭載した。13インチのミニライトホイールのワイド175は、見た目はクールだが、車のサイズを考えると、ほとんど無茶苦茶に大きいターニングサークル(回転円)になってしまうし、ステアリングもめちゃくちゃ重くなってしまう。
そんなミニの独特の(数々の)弱点を許すか、その弱点と折り合いをつけるかだ。最後のシリーズではサビも問題となっていて、無防備な空洞だけでなく、ドアやボンネット、溶接されたフェンダーなどのアドオンパーツもターゲットとなる。ボディパーツや補修パネルは容易に入手可能だが、完全なオーバーホールは多大なる経済的負担を強いられる。そのシンプルさにもかかわらず、エンジンとトランスミッションの共通オイル回路は、短いメンテナンス間隔(5000kmごと)が必要とされる。さらに弱点は、トランスミッションベアリングの摩耗、オイルロス、電気製品の摩耗、ラバーの劣化、などなど多数だ。
マーケットの状況:
なにしろ台数が多いため、まだまだミニが欲しいという人には購入チャンスも、選択の余地も多い。だが程度の良いミニはもはや昔の新車と同じくらいかそれ以上の価格であり、その傾向は今後も継続するだろう。さらにミニは定期的なメンテナンス作業も、乗るのにある程度の我慢も必要なクルマであることは確かである。趣味の一台として乗ることも、実用として乗ることも可能ではあるが、現在の交通環境下では、それなりに配慮する部分も多い。それでもミニはミニだし、このクルマでしか味わえない世界があることは間違いない。そして買ったあとには、限りない楽しさと深い世界があることも事実だ。
市場相場価格:
コンディション2: 15,100ユーロ(約193万円)
コンディション3: 9,700ユーロ(約124万円)
Text: Martin G. Puthz, Matthias Techau
加筆: 大林晃平
Photo: Roman Raetzke / AUTO BILD