進化を止めない「トヨタ GRヤリス」小規模ながらモータースポーツ由来のアップデートを受けた
2026年4月3日
トヨタは、ガズーレーシングファミリーの最小モデルに改良を施した。最大の変更点はステアリング周りにある。
2020年の登場以来、「GRヤリス」はコンパクトカーセグメントにおいて異端の存在であり続けてきた。軽量かつ妥協のない設計に加え、もともとは世界ラリー選手権のホモロゲーションモデルとして開発された経緯を持つ。2024年のフェイスリフト時点で、トヨタは世界で4万台以上を生産。そして6年後の現在も、その基本コンセプトは変わらないまま、継続的な改良が重ねられている。この姿勢こそが、今回の最新アップデートにも色濃く反映されている。
2026年モデルでは、走行性能をさらに引き上げるための細部の見直しに焦点が当てられている。中でも最も目立つ変更が、完全に新設計されたステアリングホイールだ。この改良は偶然ではない。GRヤリスのオーナーからは、特に大きな舵角時にステアリング上のスイッチに誤って触れてしまうという指摘が繰り返し寄せられていた。トヨタはこれを受け、コンポーネント全体を抜本的に見直した。

Photo:TOYOTA
モータースポーツからの影響は明確だ。「GRヤリス」には、より小径化されたステアリングが採用され、グリップ形状も刷新。ボタン配置も見直され、手の当たりやすい領域から離されるとともに、エアバッグカバー周囲に配置されている。各スイッチは独立してレイアウトされ、さらにイルミネーションも備わる。

Photo:Christian Bittmann / AUTO BILD
トヨタによれば、こうした細かな改良はサーキットでの徹底した分析と、プロドライバーによる数多くのテストの成果だという。いわば「プロに通用するものは、アマチュアにも満足をもたらす」という思想が貫かれている。
モータースポーツを開発パートナーに
ステアリング以外にも、細部の改良は多岐にわたる。例えば、新たに高いグリップ性能を持つブリヂストン ポテンザ レースタイヤを採用したほか、ダンパー設定の見直しや電動パワーステアリングの制御最適化も実施。トヨタによれば、これらすべての施策は高い横G環境下でのコントロール性と精度の向上を目的としている。これらのアップデートは、WRCラリーから耐久テストに至るまで、モータースポーツの現場から直接フィードバックされたものだという。
なお、スポーティさと快適性の両立を求めるユーザーに向けて、縦引き式ハンドブレーキ装着時でもステアリングヒーターの同時装着が可能となった点も見逃せない。
Text: Nele Klein

