ジープ初の電動AWDハイブリッド「Jeep® Avenger 4xe Hybrid」登場 都市とオフロードの“現実解”となるか
2026年3月31日
Stellantisジャパンは、日本市場におけるジープ初の四輪駆動ハイブリッドモデル「Jeep® Avenger 4xe Hybrid」を発売した。また、平野歩夢氏がジープブランドアンバサダーに就任。100台限定の「Launch Editionローンチエディション)」も設定される。
すでにBEVとして登場している「アベンジャー」に対し、「4xe Hybrid」は“もうひとつの回答”と言える存在だ。完全電動化へと進む流れの中で、あえてハイブリッド+電動AWDという構成を採った点に、ジープの現実的な戦略が見える。
BEVでは埋めきれない領域を狙う4xe
「アベンジャー」は、取り回しに優れたコンパクトSUVでありながら、ブランドの核であるオフロード性能を重視したモデルである。BEV仕様は都市用途に適した静粛性と効率性を備えていた一方で、航続距離や充電インフラという現実的な制約も抱えていた。

今回の「4xe Hybrid」は、そのギャップを埋めるモデルだ。48Vハイブリッドでありながら、低速域では電動走行を主体としつつ、長距離や悪路ではエンジンと四輪駆動を活用する。いわば「日常は電動、必要なときだけ機械的な強さを使う」というパッケージングである。
デザインは“遊び”と“機能”の両立
エクステリアはジープらしさを色濃く残す。7スロットグリルや台形ホイールアーチに加え、全周クラッディングによってタフな印象を強調する。

興味深いのは「X-camo」と呼ばれる新たなデザイン言語だ。ジェリー缶由来の“X”モチーフを各部に散りばめることで、単なる装飾ではなくブランドの新しいシグネチャーとして機能させている。

さらに「4xe Hybrid」では、アプローチアングルを拡大した専用バンパーや高位置フォグランプ、オールシーズンタイヤなど、見た目だけでなく実際の走破性向上にも手が入る。ここは“都会派SUV”に寄せすぎない、ジープらしい判断だ。
48Vハイブリッドとしては踏み込んだ電動化
パワートレインは1.2Lターボに3基のモーターを組み合わせた構成で、システム出力は145ps。数値だけを見れば突出したものではないが、本質はそこではない。

注目すべきは制御だ。発進や低速域では電動走行を主体とし、約30km/hまでEV的に振る舞う。さらに市街地では走行時間の50%以上をエンジン停止状態で走行可能とされる。
48Vシステムでここまで電動寄りの制御を実現している点は評価に値する。フルハイブリッドとマイルドハイブリッドの中間に位置する、新しいキャラクターと言えるだろう。
電動AWDがもたらす“ジープらしさ”
「4xe Hybrid」の核心は、やはり電動AWDにある。リアに独立モーターを配置することで、機械的なプロペラシャフトに頼らない四輪駆動を実現した。
特に注目すべきは、減速機を介して最大1900Nm相当のホイールトルクを生み出す点だ。これは数値上のインパクトだけでなく、滑りやすい路面での実効性能にも直結する。

Selec-Terrainによる走行モード制御も含め、雪道や砂地といった環境での信頼性は高いレベルにあると見ていい。
走りの質にも配慮した専用シャシー
リアサスペンションには専用のマルチリンクを採用。単なる悪路性能の強化にとどまらず、オンロードでの安定性や乗り心地も重視している。ここは欧州BセグメントSUVとしての完成度を意識した部分であり、「オフロードだけのジープ」からの脱却を感じさせる。
実用性とデジタルのバランス
インテリアは機能重視の設計。10.25インチのディスプレイを2枚配置しつつ、物理的な使い勝手も確保している。収納容量約26Lという数値も、このクラスでは優秀だ。撥水シートの採用など、アウトドアユースを前提とした仕様も抜かりない。ここでも“使える道具”としての側面が強調されている。

| モデル名 | グレード | ボディーカラー | 台数 | 価格 |
| Jeep® Avenger 4xe Hybrid | Upland | コンクリート、サン、ボルケーノ、スノー | ¥4,990,000 | |
| Jeep® Avenger 4xe Hybrid スタイルパック仕様 | Upland | コンクリート、サン、ボルケーノ、スノー | ¥5,170,000 | |
| Jeep® Avenger 4xe Hybrid Launch Edition | Upland | スノー | 100台 | ¥5,090,000 |
限定車とブランド戦略
「Launch Edition(ローンチエディション)」は100台限定で、専用デカールやアクセントカラーを採用した仕様となる。価格は509万円。

また、ブランドアンバサダーに平野歩夢を起用。競技者としての挑戦的な姿勢をブランド価値と重ねる狙いだが、単なる広告塔にとどまらず、ライフスタイル提案まで踏み込めるかが今後のポイントになる。

BEV一辺倒ではない“もうひとつの正解”
「アベンジャー 4xe Hybrid」は、電動化の過渡期における現実的な解答のひとつだ。BEVの理想と、内燃機関の実用性。その間にあるユーザーのニーズに対して、ジープは「電動AWDハイブリッド」という形で応えた。特に日本市場においては、充電環境や使用状況を考慮すると、この種のパワートレインは依然として合理的だ。コンパクトSUVでありながら本格的な悪路性能を備える点も含め、単なるエントリーモデルでは終わらないポテンシャルを持つ。問題は、この“ちょうどよさ”がどこまで市場に刺さるかだ。ジープの新たな主力となるか、それとも過渡期の一台にとどまるか。その答えは、ユーザーの選択に委ねられている。
Text:アウトビルトジャパン(Auto Bild Japan)
Photo:Stellantisジャパン

