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「フォード マスタング GTD」はマスタングの名を冠した公道用のトラックツールだ!史上最も過激なフォードとなったマスタングGTDの試乗レビュー

2026年4月6日

なぜこのマスタングはドイツの道路を待っていたのか?これと比べれば、「ボス(Boss)」や「ダークホース(Dark Horse)」でさえ、ふれあい動物園のポニーに過ぎない。GTDはマスタングの名を冠した公道用の真のトラックツールとなり、史上最も過激なフォードとなった。

ケルンのフォードには、慌ただしい静寂が支配している。ライン川沿いの主力工場があまりにも長く停止していた後、突然、電動のエクスプローラーやカプリが騒々しくラインオフし始めた。しかしその時、轟音が静寂を打ち破る。フォードがこれまで一度も聞いたことのないようなV8エンジンの咆哮だ。その自由への叫びは、迫撃砲のように太い2本のアクラポヴィッチ製パイプから響き渡る。そしてゲート54で門番がバリアを開けた瞬間、ドイツ初の「フォード マスタング GTD(Ford Mustang GTD)」が制限速度のないA1アウトバーンへと飛び出し、そのままアイフェル地方へと向かう。

この「GTD」はデトロイトで開発され、もちろんアメリカのレーシングクラス、GTDクラス(GT Daytonaクラス)にちなんで名付けられており、その「D」はヴォルフスブルクのディーゼルエンジンとは無関係だ。そして、この車の本来の居場所は主にニュルブルクリンクのようなサーキット、及びアウトバーンだろう。なぜなら、最高速度325km/hに到達して即座に刑務所行きにならずに済む場所など、他にどこにあるというのか。

このスポイラーは冗談ではない。フォードはダウンフォースに対して極めて真剣だ。200km/hで426kg、240km/hで615kg、290km/hで885kgを発生する。

したがって、ライン地方の我々の同僚たちがこの究極のマスタングの開発初期段階から関与し、ここで最終仕上げを任されたというのも不思議ではない。また、アメリカでの初納車と並行して、ケルンナンバーを付けたホモロゲーションモデルがアイフェル地方を駆け回り、そして我々が自動車メディアとして初めてその「第二の故郷」でステアリングを握ることになったのも驚くことではない。

しかしその前に—そしてこれには少し時間を割く必要がある—まずは少し理論に踏み込もう。というのも、エンジニアたちはマスタングを、近年では「フォード GT(Ford GT)」でしか見られなかったほどの一貫性で、マッスルカーの中のスーパーカーへと仕立て上げたからだ。

「これは単なるチューンされたロードカーではなく、丹念に飼い慣らされたレーシングカーだ」と、フォードCEOのジム・ファーリーは2年前、ペブルビーチでの発表時に語っている。つまり洗練された量産車というよりも、GT3レーシングカーの派生物なのだ。

フォード マスタング GTD
エンジンV8スーパーチャージャー
排気量5163cc
最高出力608kW (826hp)/7400rpm
最大トルク900Nm/4800rpm
トランスミッション8速デュアルクラッチ
駆動後輪駆動
全長/全幅/全高4917/2080/1410mm
ホイールベース2720mm
乾燥重量1989kg
燃料タンク/トランク容量61/368L
0-100km/h3.2秒
最高速度325km/h
価格359,900ユーロ(約6,658万円)

実際、カナダの少量生産メーカーであるマルチマティック(Multimatic)がベース車両を骨格だけにまで分解し、その後カーボンファイバーで再構築するため、フラットロック製のシャシーはほとんど何も残らない。正確に言えば、この「マスタングGTD」はほとんど下着一枚のような状態だ。ボンネットですら巨大な2つのエアインテークに貫かれ、すでに常軌を逸した325サイズのタイヤの上に位置するフェンダーには、手紙どころか小包さえ通せるほど巨大な開口部が設けられている。そしてリアでは、ニューヨークの地下鉄の通風口の上で撮影された写真におけるマリリン モンローのスカートの下よりも多くの空気が、開いたトランクリッドを通過している。

さらに、フロントリップの傾斜したウイング上には鋭利なスプリッターとフラップが備わり、リアにはエアフォースワンの翼のように巨大なスポイラーが装着されている。これらは前方のエアロブレード同様、スロットル、ブレーキ、ステアリング操作に応じて反応する。その結果生まれるのは、死も悪魔も恐れないヘルライダーだ。「ポルシェ 911 GT3 RS」でさえ例外ではなく、ましてや「メルセデスAMG GT」や「BMW M8」など問題ではない。

5.2リッターV8は826馬力と900Nm超を発生し、市販マスタング史上最強のエンジンとなる。

とりわけ、カーボンファイバーのボディの下には純粋なレーシング技術が存在する。カップRタイヤはマグネシウムホイールに装着され、その内側にはカーボンディスクが配置される。そしてマルチマティック製サスペンションは油圧制御ダンパーを備え、「GTD」を実質的にアスファルトへと貼り付ける。

限界域にあるV8

この野生の種馬の燃え盛る心臓はV8だ。フォードが「F-150」や「ブロンコ」などのレーシング仕様で使用しているものと同じユニットをベースに、わずかな改良を加えたものだ。排気量5.2リッター、スーパーチャージャーにより826馬力と900Nm超を発生する。

あまりにも大きな出力を発生するため、エンジニアは膨張タンク(expansion tank)をアルミ製で鋳造し、燃料システムも強化せざるを得なかった。さもなければ、全開時に補機類が破裂してしまっていただろう。これにより「GTD」は公式に、これまでに製造された中で最もパワフルで最速の公道用マスタングとなった。そしてその後にこれ以上のものが登場しないだろうということも、想像に難くない。

そのパワーは8速デュアルクラッチトランスミッションによって制御される。このトランスミッションは重量配分の最適化のため、カーボンドライブシャフトの後端、つまりリアに配置され、専用の冷却装置を備える。その代償としてフォードはトランクスペースを完全に犠牲にし、リアシートも取り外して、せめて小さなバッグだけは積めるようにしている。

リアシートの代わりに、セミ油圧式マルチマティックダンパーを覗けるディスプレイウィンドウが設けられている。レーシングカーそのものだ。

「GTD」は始動時から爆発的なパワーを秘めているが、全体としては驚くほど落ち着いている。アウトバーンではむしろリラックスした低空飛行機のように振る舞い、左車線を250km/hを大きく超える速度で悠然と巡航する。その威圧的なフロントマスクは十分な存在感を持ち、進路を自然と確保する。そしてもし誰かが左車線に長く居座った場合でも、1〜2段ギアを落とせばよい。それはまるで騎手が舌を鳴らす合図のようだ。「GTD」は一瞬息をつき、その直後に再び牙を剥く。250km/hを大きく超えた領域で、もう一度“息を吹き返したかのように”加速が伸びていく。