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新型ゴルフ8は本当に良くなったといえるだろうか?

2020年8月19日

VWゴルフ8 (2020) 1.5 TSI: テスト、エンジン、価格

完成されたモデルといわれたゴルフ7からゴルフ8へ。自動車として本当にもっとよくなっているのか、それとも単にデジタルの見た目だけの進化なのか。そこが最大のチェックポイントだ。

プロポーション、ライン、Cピラー、切り立ったリアなど、すべてが依然そこにある。 第VWゴルフの第8世代も、旧型同様、堅実で時代を超越したものだ。今までおなじみの見た目だ。
しかし室内は少し違って見える。今までのイメージは、「おうちにお帰りなさい」だった。そしていま? 「デザイナーホテルへ、ようこそ」のような感じだ。
すべてがデジタルだ。インスツールメント用の25.4cmディスプレーは、インフォテインメント用の21cmスクリーン(25.4cmスクリーンは追加コストがかかる)とともに標準装備だ。

操作に慣れるには時間がかかる

そしてVWは操作方法を完全に変更した。使い慣れたノブ、スイッチ、ボタンはどこにも見あたらない。
目の前にタッチスクリーンが据えられている。そのスクリーン上で、プッシュ、スワイプ、スクロール、そしてズームといった操作をする必要がある。メニューは論理的で、見た目にも魅力的だ。しかし、そのメニューは非常に広範囲にわたっていて、あなたを惑わせたり、時にはいらつかせたりすることもあるかもしれない。もう少し操作手順の階層などは整理すべきである。
室内は広い。スペースはほぼ変わりない。フロントシートのポジションはドライバーやパッセンジャーにとって完璧にフィットしたものとなっているし、リアシートにも大人が快適過ごせる空間が備わっている。だがこれもゴルフ7が劣っていた、ということはないので、とびきり、の改善点ではない。
ラゲッジスペースにはシートのポジションによって381リットルから1237リットルの容量が備わっている。ちなみに旧型は380リットルから1270リットルだった。どちらも十分なスペースと言え、劣ってはいないが、これ以上広くなることはないだろう。車のサイズが限られているのだから。
新型ゴルフ用のエンジンは90psから300psのものまで用意される。われわれのテスト車は130ps1.5リッターガソリンエンジン搭載のMT仕様だった。
なかでも注目のエンジンは48VとBSG(ベルト・ドリブン・スターター・ジェネレーター)が1.5リッターエンジンに組み合わされたeTSI。これに7速DSGが組み合わされ、モーターとエンジンと合わせて50Nm(!)のトルクで車を走らせる。
もちろん燃費的にも優れ、VWのエンジニアによれば従来までの気筒休止エンジンよりさらに良い燃費を達成するという。
その理由は走行中にもエンジンを完全にシャットオフできるためで、気筒休止より効果絶大とのことだ。実際に乗ってみてもその動作は極めて自然で、なおかつ微速度粋での(従来までDSGが苦手にした)走行もなめらかなものになっている。

ニューテリトリー。Golf 8のコックピットは完全にデジタル化され、使い慣れたスイッチ類は消え去った。実際に試乗したジャーナリストの多くはその未来的なルックスは称賛したものの、ブライドタッチなどができない(しにくい)今回のスイッチ類に対し、やや批判的な評価を下す者も多い。
やはり世界の規範となるべきゴルフのスイッチ類は、デジタル化を進めすぎずに、だれでも直感的にできることが望ましいのかもしれない。
特にヒーターコントロールなどの操作性は、従来までの形を継承すべきとの意見が多いのも事実である。

ゴルフ8のシャシーはパーフェクトだ

TSIは見た目すこしつまらなそうに思えた。しかし乗って走り出したら印象は一変した。とても活き活きとした挙動で、特にアクセルを踏むと思いのほか元気な音を発する。加速すればするほどギアチェンジを要求される。しかしそれも大した問題にはならない。なぜなら備わった6速マニュアルトランスミッションはとても優れていて、スムーズにそして正確にシフトアップ&ダウンできるからだ。
新しい機能は、可変ダンパーとESP、電子制御LSDを連携させ、敏捷性と快適さの高次元での両立を目指したという新しいシャシー制御技術「ドライビングダイナミクスマネジャー」システムだ。15段階で調整できるようになっている。システムは完璧に機能し、ゴルフはほぼ自由に調整できる。
繊細なプログレッシブステアリングは正確に機能し、フィードバックも優れている。つまりゴルフ8は非常に優れたクルマとして戻ってきたということだ。
VWゴルフ8 1.5 TSIの現地価格は27,510ユーロ(約343万円)からだ。
以下、ABJ編集部追加文
日本市場のデビューは今春の予定だが、特にゴルフ7の1.2はもうこれ以上ないほどの完成度を誇っていただけに、その熟成度との違いが一番注目されよう。
さらに今回はディーゼルエンジンも新しいエンジンとなっており、もちろん我が国に導入される予定である。残念ながらゴルフ7の末期に日本に導入されたディーゼルエンジンモデルは、決して芳しい評価を受けてはおらず、なんともその点が残念なものとなってしまったため、ゴルフ8のディーゼルエンジンモデルが、わが国でもディーゼルエンジンゴルフとして、高い評価を得ることができるようなモデルとなっているかどうかが注目されよう。

結論: 8代目ゴルフは、見た目エキサイティングではないかもしれないが、ドライバーシートに座ると世界は一変する。インフォテインメントには改善の余地があるものの、本当の強みは、総合的な機能の組み合わせだ。シャシー、ステアリング、ハンドリングは素晴らしい。だがゴルフ7のオーナーは急に買い替える必要があるかと問われると、そんなことはない。まだこれから熟成されるべき点がさらにあるからである。

VW Golf 1.5 TSI ACT OPFテクニカルデータ • エンジン: 4気筒ターボ、フロント横置き、1498cc • 最高出力: • 130ps@5000rpm • 最大トルク: 200Nm@1400rpm • 駆動方式: 全輪駆動、6MT • 全長/全幅/全高: 4284/1789/1491mm • 乾燥重量: 1315kg • トランク容量: 381~1237リットル • 0–100 km/h加速: 9.2秒 • 最高速度: 214km/h • 燃費: 18km/ℓ • CO2排出量: 121g/km • 価格: 27,510ユーロ(約343万円)より

セットアップはとても完成度が高く、ソフトからハードまで多岐にわたってセッティングできるようになっている。

Text: Dirk Branke
Photos: Volkswagen AG