「A2 e-tron」だけじゃない!アウディの新型モデルは、危機にあるアウディを立て直すために投入される
2026年3月21日
アウディは2025年に約46億ユーロの利益を達成し、前年よりおよそ10%増となった。苦境にある自動車業界にとって朗報のように見えるが、実態はそれほど単純ではない。
見かけ上の増益には明確な理由がある。フォルクスワーゲングループからの補償金が業績を大きく押し上げたためだ。一方で、車両販売に目を向けると状況は厳しい。アウディ、ベントレー、ランボルギーニ、ドゥカティから成るブランドグループの利益は約14%減の33億7000万ユーロに落ち込み、売上高利益率はわずか5.1%にとどまった。
主な要因のひとつがアメリカの関税である。アウディは現在、米国内に工場を持っておらず、この状況を変えるかどうかの判断は年内に下される見込みだ。中国市場では当初、状況はより良好に見えた。上海汽車(SAIC)との合弁で設立されたサブブランド「AUDI(フォーリングスなし)」は、2025年9月に初のモデルを投入。ベース価格約3万ユーロ(約550万円)のE5スポーツバックには約1万台の予約注文が入り、「チャイナ・カー・オブ・ザ・イヤー」を含む数々の賞を受賞したことで期待が高まった。

Photo:Thomas Geiger / AUTO BILD
しかし、この高揚感は長く続かなかった。中国の電気自動車市場では激しい価格競争が繰り広げられており、利益率を圧迫している。その結果、SAICアウディはE5スポーツバックに大幅な値引きを適用し、現在は約2万5000ユーロ(約460万円)から購入可能となっている。こうした厳しい市場環境にもかかわらず、アウディCEOのゲルノート・デリングは長期的に営業利益率を再び2桁に戻すことを目標としている。
A2 e-tron:秋にデビュー
この目標達成に向け、アウディは今年、多数の新型モデルを投入してラインナップの若返りを図る。その中でも特に重要なのが、今秋発表予定の「A2 e-tron」である。1999年から2005年まで販売された初代「A2」と同様、新型は日常使いに適した実用車として位置付けられ、高い汎用性、デジタル接続性、優れた効率性を兼ね備えるとされる。初期のティザーからは、完全電動の「A2 e-tron」が「Q4 e-tron」(2026年にアップデート予定)に似たスタイルになることが示唆されている。順調に進めば、インゴルシュタット生産の「A2 e-tron」は3万3000〜3万5000ユーロ(約610~640万円)程度からの価格設定になる可能性がある。
確定:アウディQ9が登場
一方で、上位セグメントの強化として「Q9」の投入も計画されている。この大型SUVについては以前から噂があったが、2026年に正式発表されることが確実視されている。パワートレインに関する公式情報はまだないが、採用プラットフォームが方向性を示している。「Q9」はポルシェと共同開発された内燃機関向けの「プレミアム・プラットフォーム・コンバッション(PPC)」をベースとしており、電動化にも対応可能だ。もし「Q9」が大きすぎる場合でも、2026年には次世代「Q7」の登場も予定されている。

Photo:AUDI AG
コンセプトCはTTの後継か?
スポーツカーファンにも朗報がある。「TT」と「R8」が後継なしで生産終了となった後、注目のコンセプトスタディ「コンセプトC」が今後2年以内に市販化されることが正式に発表された。これは少なくとも「TT」の復活を強く示唆している。詳細はまだ少ないが、このロードスターはVWグループのPPEスポーツプラットフォームをベースにする可能性が高い。待てない人向けには、最高出力639馬力の新型「RS 5」がすでに登場しており、アバントとセダンの両ボディが用意されているが、価格は10万ユーロ(約1850万円)超となる。
多数の新型モデル投入に加え、部分的に実施されているコスト削減プログラムにより、業績の改善が期待されている。インゴルシュタットでは、今年の営業利益率を6〜8%に引き上げることが目標とされている。
Text:Jan Götze

