「フェラーリ 849テスタロッサ」フェラーリのアイコン“テスタロッサ”が1,050馬力のプラグインハイブリッドモデルとして帰ってきた
2026年3月17日
フェラーリ 849テスタロッサ(Ferrari 849 Testarossa):フェラーリは80年代のアイコンを復活させる―1050馬力、プラグインハイブリッドパワー、そして圧倒的なパフォーマンスを備えて。オーシャンドライブの雰囲気も含めて。
フロリダの蒸し暑い夏の夜。ヤシの木が並ぶ海沿いの空いた道路。前景には豪華ヨット、地平線にはライトに照らされた高層ビル。そしてフィル コリンズの「In the Air Tonight」が鳴り響く。
もちろん、フェラーリが名声や不滅の存在になるために外部の助けなど必要はない。しかし少なくともこのシーン―テレビドラマ『マイアミバイス(Miami Vice)』―によって、1980年代に「フェラーリ テスタロッサ」はエンスーの象徴的なPSマシンからポップカルチャーの一部へと変わり、マラネロが近代へ送り出したモデルの中で圧倒的に有名な存在となった。
そして、麻薬絡みの冒険を描いたソニー クロケット(Sonny Crockett)とリカルド タブス(Ricardo Tubbs)のエピソードが今でもYouTubeなどで人気を保っているのと同じように、フェラーリはいま「テスタロッサ」を復活させ、私たちを再びオーシャンドライブへと“テレポート”させる―少なくとも想像の中では。
そのため、彼らは伝説のポップアップヘッドライトさえ模倣している。LEDマトリクスライトをフロント全体を横切る暗い帯の中に収め、その前に装飾ストリップを配置したのだ。かつて側面のスリットから空気が流れていた場所では、ミッドシップエンジンが今では巨大な開口部から空気を吸い込み、幅広いリアへと送り込む。そこは別の装飾ストリップによってコルセットのように引き締められている。

フェラーリ テスタロッサ:常に史上最強のフェラーリ
「SF90」の後継ととして蘇った「849テスタロッサ」は、今スペイン・アンダルシアのサーキット、サーキットモンテブランコ(Circuito Monteblanco)で私たちに証明しようとしている。1980年代のマイアミのように、酔うためにドラッグなど必要ないのだということを。
「849テスタロッサ」は45万ユーロ(約8300万円)からという価格で、もしかするともっと高価な楽しみかもしれない。しかし、その代わりに得られるのは、これまでで最も強力なロードゴーイングフェラーリである。そして「SF90」と同じくプラグインハイブリッドで、最大25kmを電気だけで走行できるため、二日酔いの心配もない。
高速の興奮のために、フェラーリのエンジニアたちは「SF90」のパワートレインを巧みに進化させ、とりわけ内燃機関をさらに磨き上げた。フロントとリアアクスルに配置された3つの電動モーターと7.45kWhのバッテリーは変更されていない。しかし、名前の由来でもあるガソリンエンジン―1950年代の最初の「テスタロッサ」と同じく赤く塗られたシリンダーヘッドを持つ―は、8つの各0.49リッターのシリンダーでより劇的なサウンドを奏でる。これにより電動走行時のSF映画的な唸り声も忘れさせる。ガラスケースに収められた宝石のようなこのエンジンは、さらに強力にもなった。フェラーリ史上最大のターボなどによって50馬力を追加で引き出し、スペックシートには830PSと842Nmが並ぶ。そしてシステム出力1050PSが、これまでで最強の市販フェラーリという称号を正当化する。

計算ではなく、陶酔
しかし、こうした数字では、ステアリングを握ったときの体験をほんの少しも表現できない。アナログなスタートボタンを押し、伝統的なマネッティーノでコンフォートモードを抜け出し、冒険へと踏み出す瞬間を。
ハイオク燃料がシリンダーを満たすと同時に、血管の中のアドレナリンは溢れそうになり、窓の外の世界は速度の陶酔の中でぼやけていく。8速デュアルクラッチが激しくシフトするたびに、人工的なバックファイアの炸裂音が鼓膜をハンマーのように叩く。ステアリングを握る指先は白くなるほどだ。
時速100kmまではわずか2.3秒。6.35秒後には200km/hがメータースクリーンに表示される。メインストレートの始まりでは、どちらが先に来るかという疑問が浮かぶ。直線の終わりか、それとも加速の終わりか。もちろん勝つのはフェラーリだ。ストレートは610メートルで急な右コーナーに変わり、290km/hではカーボンディスクブレーキに頼らざるを得ない。しかし「テスタロッサ」は、まるで終わりがないかのように加速し続ける。エンジニアによれば、330km/hを超えて初めて本当に終わりだという。
もしソニー クロケットとリカルド タブスが当時この新しいテスタロッサを持っていたなら、マイアミはもっと安全な街だったかもしれない。
もっとも、あの街の道路はまっすぐ過ぎて、このフェラーリの真価を理解するには不十分だ。なぜなら、このベルリネッタは縦方向の加速以上に横方向のダイナミクスで魅了するからだ。特に「アセット フィオラノ(Assetto Fiorano)」パッケージが装着されると、重量はさらに30kg軽くなり、乾燥重量1570kgに。ショルダーハーネスが体をシートに固定し、改良された空力性能が250km/hで400kg以上のダウンフォースを生み出す。フェンダーの延長としての短いツインテールは単なる飾りではない。その間にある可動式リアスポイラーも単なる見せ物ではない。

新しいデジタルツインがリアルタイムであらゆる力を計算し、安定制御、トルク配分、四輪駆動を調整する。マネッティーノを一段階ずつ回すたびに電子制御は後退し、ドライバーの才能に応じて腕か運命に任せる。ついさっきまで日曜のスポーツドライブのための信頼できるパートナーだったフェラーリは、一瞬で猛獣へと変わり、コースを貪るように走る―まるでドラッグを決めたパックマンのように。
こうして私たちは再び80年代へ戻る。
完璧なトラックツール、しかし快適さも残る
「849テスタロッサ」は完璧なトラックツールでありながら、豪華に仕上げられたキャビンには驚くほどの快適さも残されている。フレンスブルクからフィレンツェへ。ニュルンベルクからニースへ。フォートローダーデールからフロリダ・キーズへ―そこまでの長距離旅行は必要ないかもしれない。しかし少なくともサーキットへの往復は、完全にリラックスしてこなせる。

もちろん、この楽しみには高い代償が伴う。最初の7年間の無料メンテナンスが付いていても、それは変わらない。しかし価格を気にする人はフェラーリには向いていない。本物のフェラーリスタは、世代交代で価格がわずか3万ユーロ(約550万円)しか上がらなかったことを喜び、5万2000ユーロ(約960万円)のアセットフィオラノを迷わず注文する。そして値引きではなくカスタマイズについて尋ねる。
レジで顔が赤くなる人はいない―「テスタロッサ」の名前の意味は「赤い頭」だが。ただし、左車線では顔が赤くなるかもしれない。加速が止まらず、理性がその前進に追いつかないからだ。しかしマラネロにはその解決策もある。数週間後にはテスタロッサのスパイダーも登場する。ボタンを押せばハードトップが収納され、涼しい頭を保てるというわけだ。

結論:
そのパワートレインはプラグインモジュールによって未来を指し示している。しかし公道でも、そしてとりわけサーキットでは、このフェラーリは昔ながらのスーパースポーツカーのように感じられる。名前だけでなく、あの輝かしい80年代の記憶を呼び覚ますのだ。マイアミよ、待っていろ。クローゼットのどこかに、肩パッド入りのシルクジャケットがまだ残っているはずだ。
Text: Thomas Geiger
Photo: Ferrari

