このクルマなんぼ? この黄金の1985年製メルセデスベンツSクラス(W126)が本国でも100万円以下? その理由

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1985年モデルのメルセデスベンツ280SEL(W126)が7,500ユーロ(約96万円)という価格で売りに出されている。 40年前、メルセデスSクラスシリーズ(W126)は、ラグジュアリークラスに新たな基準を与えた。そんな黄金のオールドタイマー、「280SEL(W126)」が現在eBay上で販売中!

W126がこれまでに作られた中で最も美しいSクラスであると考えている人は世界中にたくさん存在する。
そしてそれは40年前、メルセデスにとっては新しい時代の幕開けとなった。
70年代のW116のようなクロームメッキの膨らみから離れ、ブルーノ サッコによるデザインと実用性で現代的な技術的実体へと移行した。
そして今、ヒュルゲンヴァルト(ノルトラインヴェストファーレン州)で、伝説の1985年製の黄金の280SELが7,500ユーロ(約96万円)という値段で販売されている。

クロームを減らしたおかげで、W126は派手な高級車ではなかった。

第一シリーズは錆の問題を抱えている

この「280SEL」には185馬力のメルセデス「M110」直列6気筒エンジンが搭載されている。
これは「W126」にとっては2番目に小さいエンジンで、販売面でに最も人気のあるバージョンだった。
「スタンダードのエンジン」として、280の燃料噴射エンジンは十分に活気があったからだ。
ツインカムシャフトが取り付けられた丈夫すぎるほどのエンジンは、すでに292,000kmを走行しているこの個体によって、その信頼性の高さも実証されている。
この「280SEL」は、1985年9月5日に登録され、すでにH登録(30年を過ぎた車両が受けられるクラシックカー登録)されている。
したがって、このメルセデスベンツは最初のシリーズに属しており、リブのあるサイドプレート、いわゆる「サッコプレート」で認識できる(後期モデルはリブがなく、なめらかな処理になっている)。
2番目のシリーズ(1985年9月から)は、車が部分的に亜鉛メッキされていたため、錆のリスクを最小限に抑えることに成功しているが、最初のシリーズの典型的な錆の問題領域は、ドア回りとホイールアーチ、ジャッキポイント、ドアの下端とキャッチストラップ、およびリアウィンドウフレームだった。
湿気がそこに浸透すると、トランク内の腐敗を引き起こす原因にもなる可能性があったのである。
しかし、売主は広告で「この車にはサビはない」と記載している。
インテリアの特に希少な色は、市場でも見つけることが難しい貴重なものだ。

リアドアは若干へこんでいるが、損傷はすぐに修理可能な範囲だ。

W126のシャシーは今日でも説得力のあるものだ

洗練されたスタイルと長期にわたる高い品質は、「SクラスシリーズW126」のプラスポイントだ。
今日でも、そのスムーズなロードホールディング、揺るぎない直進安定性、限界での高い走行安定性、そして順応性が高く過度にソフトではないサスペンションで路面上の凸凹をスムーズに吸収してくれるのは特に印象的だ。
「W126シリーズ」は、その豊富なラインナップのおかげで、さまざまなタイプの購入者を幸せにしてくれる。
レアなボディカラーが人気で、特にゴールドメタリックのSクラスはポイントが高い。
クラシックデータによれば、市場では、280SEL(W126)は、コンディション2で10,800ユーロ(約138万円)、コンディション3で6,500ユーロ(約83万円)、で取引されている。
そしてリアドアの損傷を考慮すると、出品されているこの「W126」には価格交渉の余地があるはずだ。

ゼブラノ材とクリーム色のファブリックシートが居心地の良さを演出している。

「W126」というのは言うまでもなく、今から約40年前に、メルセデスベンツのラインナップが黄金期だったころのSクラスである。
「W201」、「W124」、「W126」そして、「R129」とゲレンデヴァーゲンという夢のように完成度の高い5台が揃い、そのどれもが輝いていた時代のメルセデスベンツである。
今回の「280SE」、正直その走行距離を考えると「ちょっと高い」とは思うが、写真を見る限り、内装などの程度はかなり良さそうである。またボディカラーや、実用車はこれじゃなくっちゃ、と思えるようなスペックも実に好ましい。
最近の豪華絢爛なメルセデスベンツを見慣れた目には、ホイールキャップも、マガジンラックもなく、ファブリックのシートのSクラスなんて、と思うかもしれないが、当時はこれが普通だったのである。
さらにこの一台はオートエアコンもパワーウインドウさえも装備されていないが、これもこの当時はオプション設定だったから、これはこれで正式な姿であり、僕などはこういう実用的なメルセデスベンツこそが本物に思えてしまう。
走行距離も日本では過走行も過走行の一台かもしれないが、ドイツ(やアメリカ)では普通の距離といえる。とはいってもこれだけの年数と走行距離であれば定期的なメンテナンスも消耗パーツの交換も必須であり避けることはできない。
メルセデスベンツは消耗パーツの供給に関しては古くなっても問題がない、ということは事実だが、その価格は当たり前ながら高価であり、とくにSクラスの様な上級モデルになればなるほど維持するためにはそれなりの金額がかさむということは忘れてはならない。

Text: Matthias Techau, Martin G. Puthz
加筆: 大林晃平
Photo: eBay/janjera