【このスーパーカーなんぼ?】メルセデス300SLの非公式後継車&30台製造の「イズデラ インペレーター108i」がオークションに!その落札価格は?
2026年3月3日
このエキゾチックカーと比べれば、カウンタック(Lamborghini Countach)やテスタロッサ(Ferrari Testarossa)といったスーパーカーでさえ、ほとんど量産モデルのように思えてしまう。イズデラ インペレーター 108i(Isdera Imperator 108i)はわずか30台のみが製造されたとみられている。そのうちの1台が現在、名高いオークションハウスであるRM Sotheby’sによって競売にかけられている。
プロトタイプのような外観と量産技術の融合
「イズデラ インペレーター 108i(Isdera Imperator 108i)」は、特徴的なガルウイングドアを備えていたことから、非公式ながら「メルセデス・ベンツ 300SL(Mercedes-Benz 300 SL)」の後継車と見なされていた。もっとも、メルセデスはこのスペクタクルなインペレーターの開発に公式には一切関与していない。
イスデラは1982年にエーベルハルト シュルツ(Eberhard Schulz)によって設立されたが、その歴史は1970年代にさかのぼる。インペレーターと驚くほどよく似た「bb CW 311」が、その原点である。
CW 311は先駆者だった
1978年、bb社はライナー ブッフマン(Rainer Buchmann)とエーベルハルト シュルツ(Eberhard Schulz)によって開発・製作された「bb CW 311」を発表した。チューブラースペースフレームの上に、「メルセデス・ベンツ C111(Mercedes-Benz C111)」のプロトタイプを強く想起させるグラスファイバー製ボディが架装されていた。
リアには大排気量V8エンジンを搭載。このユニットはメルセデスAMGによってチューニングされ、最高出力375馬力を発生したとされる。トランスミッションはZF製の5速マニュアルで、駆動力を後輪へと伝達した。さらにこのワンオフ車両には、ポルシェおよびメルセデス製のコンポーネントも数多く流用されていた。
メルセデスはプロジェクトについて発表まで何も知らなかったと主張しているが、フロントに無断でスリーポインテッドスターを装着した件について法的措置が取られることはなかった。圧倒的にポジティブな反響を得ながらも、「CW 311」はプロトタイプのままにとどまり、現在では行方不明と見なされている。

Photo:Werk
6年後、そのコンセプトはついに少量生産へとこぎつける。車名は「インペレーター108i(Isdera Imperator 108i)」。元ポルシェの開発エンジニアであるエーベルハルト シュルツ(Eberhard Schulz)はすでに自身の会社イスデラを設立しており、急進的な「イズデラ スパイダー 036i(Isdera Spyder 036i)」に続き、CW 311をさらに発展させた新バージョンを新たな名称のもとで発表した。
ジウジアーロさえも魅了
ガルウイングドアとルーフ上のペリスコープミラーを備えた無駄のないデザインは、わずかな修正が施されたにすぎない。それでも、イスデラは1984年のジュネーブモーターショーでのデビュー時に大きなセンセーションを巻き起こした。伝説によれば、デザイン界の巨匠ジョルジェット ジウジアーロ(Giorgetto Giugiaro)でさえシュルツに歩み寄り、「あなたのインペレーターは、最終進入中に機首を下げたコンコルドのようだ!」と語ったという。

9年の歳月をかけて、合計30台の「インペレーター108i(Isdera Imperator 108i)」がハンドメイドで製作された。チューブラースペースフレームにミッドシップ搭載のメルセデス製V8エンジンという基本的な技術コンセプトは変わらなかったが、車両は継続的に改良が加えられていった。その結果、まったく同じインペレーターは2台と存在しない。
RMサザビーズは2月27日、マイアミ・オークションの一環として1台のインペレーターを出品した。ほとんどすべてを所有しているコレクターにとってさえ、またとない機会となる。
出品車両はシルバーの1991年モデル。愛好家の間では「シリーズ2」と呼ばれる個体で、リトラクタブル式ヘッドライトや助手席側にまとめられたツインエグゾーストパイプなどが識別点となっている。これは伝説的な「メルセデス・ベンツ 300 SLR(Mercedes-Benz 300 SLR)」へのオマージュだ。純粋主義者にとっては惜しい点だが、特徴的だったペリスコープ式ルームミラーは通常のサイドミラーへと変更された。ただし、象徴的なガルウイングドアは引き続き採用されている。

300馬力のメルセデス製V8
この「インペレーター108i」のリアに収まるのは、メルセデス製の5.0リッターV8エンジンである。搭載されるのは自然吸気の「M119」で、300馬力を発生。5速マニュアルトランスミッションを介して、そのパワーを超ワイドなリアタイヤ(345/35 ZR15)へと伝達する。
製造年によって、「インペレーター108i」の出力は235馬力から330馬力まで幅があったとされる。さらに後年には、エーベルハルト シュルツが410馬力仕様へのアップグレードを用意していたともいわれている。

このインペレーターの来歴は完全に記録されている。新車時は日本に納車され、その後イギリスを経由してドイツへ戻り、部分的なレストアを受けた。2021年にはフランスのコレクターへ売却され、直近ではアメリカへ輸入されている。約35年前の納車以来、走行はごくわずかだったようで、走行距離はほぼ新車同様の2,218kmにとどまる。この数値は、それ以外に説明のしようがないほどだ。
予想落札価格
オークションに先立ち、アメリカのスペシャリストであるCanepa Motorsportsがインペレーターの点検および整備を実施した。予想落札価格は55万〜72万ユーロ相当(65万から85万米ドル=約1億270万~1億3,430万円)。決して小さな金額ではないが、米国市場で続く90年代クラシックカー人気の高まりを考えれば、「インペレーター 108i」がこの見積額を上回る可能性も十分にある。
未来的なプロトタイプ風デザインと、信頼性の高いメルセデス量産技術の融合―そんな組み合わせを、ほかにどこで見つけられるだろうか。
結論:
「イズデラ インペレーター 108i」は、今日においてもなお未来的に映る。そのスペクタクルなスタイリングと、実証済みのメルセデス製テクノロジーの組み合わせは実に魅力的だ。予想落札価格を上回る結果となるのか、注目したい。
Text: Jan Götze
Photo: Robin Adams ©2026 Courtesy of RM Sotheby’s

