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【BMW3シリーズ物語】1975年、BMWは最初の3シリーズを発表した それから50年、BMWの大成功モデル、3シリーズの特別な記念日を祝う

2026年3月5日

2025年、BMW 3シリーズは50周年を迎えた。50年前、BMWは最初の3シリーズを発表した。ファンは当初懐疑的だったが、今では伝説的なエンジンが搭載され、新たな時代が始まった。

6気筒エンジンは、長いボンネットの下で穏やかに低音を響かせ、シャークノーズグリルは風を真っ二つに切り裂く。室内では、コックピットがドライバー中心に設計されており、すべての計器類をひと目で見渡すことができる。十分なトルクを備えた6気筒エンジンは、滑らかで余裕のある走りを実現する。

しかし、ひとたび走りへの衝動に駆られれば、タイヤはアスファルトに貪欲に食らいつく。そしてそのすべてが、やや背の高いコンパクトな2ドアボディで実現されている。疑いようもない。初代BMWシリーズは、純粋なドライビングマシンだ。いまなお、その本質は変わらない。

1975年、BMWは「3シリーズ」という大成功を収めたモデルを発表した。BMWは50年間で2千万台以上の「3シリーズ」を販売したのだ。「3シリーズ」は、長年にわたり、BMWの経済的に最も重要なモデルであり続けている。

BMW3シリーズ誕生50周年:BMW E21から現行モデルまで。BMWの成功モデルを世代別に比較する。
Photo: BMW AG

1975年6月当時、そのコンセプトが本当に機能するのかは、決して明確ではなかった。先代の「BMW 02」はすでに古さを見せ始めていたが、力強い4気筒エンジンと軽量ボディは、依然として運転好きなドライバーたちの心を熱くさせていた。小さく、俊敏で、スポーティ―それは70年代においてファンの間で大きな成功を収めていたモデルだった。

そんな中、「BMW 3シリーズ」がIAA(フランクフルト・モーターショー)で初披露されたとき、多くのファンは懐疑的な反応を示した。「3シリーズ」は、大きすぎる、重すぎる、遅すぎる、そして非力すぎる―と受け止められたのである。とりわけ、170馬力を誇る軽量な2002ターボと比較すれば、なおさらそう映ったのだった。

70年代半ばの石油危機

BMWは、1972年から販売されている「BMW 5シリーズ」の下に位置するクラスにおいて、より高い快適性と上質さへの市場ニーズがあると判断した。そして、洗練されたエンジン技術を備えたコンパクトカーによって、新たな顧客層の獲得を目指したのである。デザイナーたちは、「2002」シリーズの顧客をあまり遠ざけないよう、シャークノーズ、ダブルキドニー、短いオーバーハング、ダブルヘッドライトなど、いくつかのデザイン要素を最初の「3シリーズ」でさらに発展させた。

さらに、ドライバー志向のコックピットやCピラーに配された「ホフマイスター キンク」、そして快適なインテリアといったディテールは、その後のモデル群における設計思想の原型となった。メルセデス・ベンツから移籍したチーフデザイナーのポール ブラック(Paul Bracq)は、ダイナミズムとスポーティさ、さらには威厳とプレステージ性に重きを置いた。高級クラスの要素を巧みに取り込みながらも、日常での使い勝手を決して犠牲にしなかったのである。

すべてを一望:ドライバー志向のコックピットと明確な計器類、BMW(E21)の典型。
Photo: Fabian Hoberg

しかし、1970年代半ばは厳しい時代だった。1973年の第一次石油危機は、メーカーやドライバーの記憶にまだ生々しく残っていた。そのため、「3シリーズ」には、まず、レギュラーガソリン用のキャブレター付き低燃費4気筒エンジンが搭載された。1,010kgの軽量ベースモデルである「316」は、90馬力を発生し、最高速度は160km/hだが、価格は約13,980ドイツマルク(約131万円)だった。当時のベンチマークとされた「フォルクスワーゲン ビートル 1303」は44馬力で、8355マルクから購入可能だったことを考えれば、誰でも買える車ではなかった。

だが、その追加料金を払えば、BMWはより広いスペースとパワーだけでなく、高級車のような雰囲気も提供した。厚手のカーペットが敷かれた床と快適なシートが乗員を甘やかし、充実したコックピットがドライバーに情報を提供する。まさに高級車のような快適さだ。

3シリーズは、スポーツカーではないものの、スポーティな車にもなる

パフォーマンスを渇望するBMWファンにとっては、それでもなおパワーが足りなかった。そして1977年、BMWはその期待に応える。上級モデルと同様に、「3シリーズ」にも6気筒エンジンが搭載されたのである。

「320」は122馬力を発生し、翌年には143馬力を誇るトップモデル「323i」が登場。当時としては、快適かつコンパクトなボディに強力なエンジンを組み合わせるというコンセプトは斬新であり、事実上ライバル不在の存在だった。

「BMW 3シリーズ」はスポーティでありながら、純粋なスポーツカーではなかったのだが、それこそが、今日においても初代3シリーズを際立たせている点である。「フォード エスコート RS(Ford Escort RS)」や「オペル カデット GT/E(Opel Kadett GT/E)」、「VW ゴルフ GTI(VW Golf GTI)」が、比較的スポーティで硬めのサスペンションを備え、およそ110馬力を発揮していたのに対し、「BMW 3シリーズ」は十分なパワーに加え、居住性と快適性を高いレベルで両立していたのである。

BMW E21の直列6気筒エンジン。
Photo: Fabian Hoberg

まさに「323i」がそうだ。新開発の2.3リッター直列6気筒エンジンは、機械式フューエルインジェクション、電子制御エンジンマネジメント、トランジスタ点火を備え、5800rpmで143馬力、4500rpmで190Nmのトルクを発生する。水温と油温が適正値に達すると、「323i」はタキシードを脱ぎ捨て、洗練されたスポーティな素顔をのぞかせる。分厚いトランスミッショントンネルに据えられたショートストロークのシフトレバーを介して、5速ギアは素早く正確に操ることができる。

6気筒エンジンはスロットルレスポンスも良好で、とりわけ中回転域では足元で満足げに低くうなる。同時に、排気ガスはツインパイプのエキゾーストシステムから快音を発しながら、2速と3速は約2500rpmでしっかりとつながり、4速は60km/hからでも受け止める懐の深さを持つ。

洗練性とスムーズさという点において、この時代のコンパクトカーに搭載されたエンジンで、この6気筒に匹敵するものは存在しなかった。

323iは9.5秒で100km/hまで加速した

「323i」は別の側面も持っていた。停止状態から100km/hまでわずか9.5秒で加速し、最高速度190km/hという実力は、アウトバーンでも十分に通用する。もっとも、185/70 R13 87Hサイズのタイヤはすぐに限界へと達し、最初の高速コーナーでは悲鳴を上げんばかりだ。リアエンドは一瞬ふらつき、片輪が細かく跳ね、もう一方は浮き上がろうとする。

それでもBMWは、サスペンションをスポーティかつ引き締まった味付けとしながらも、純粋なスポーツカーのように過度に硬質には仕上げていない。フロントにはマクファーソンストラット式を採用し、リアにはセミトレーリングアーム式とマクファーソンストラットを組み合わせている。

E30の登場により、3シリーズはついに中級クラスの基準となり、BMWは約230万台を生産した。
Photo:Fabian Kirchbauer; BMW AG

ブレーキは現代車と比べるとやや強めの踏力を必要とし、大径ステアリングホイールを備えたしなやかなラック&ピニオン式ステアリングも、最新モデルの引き締まった正確さとは性格を異にする。それでも着座位置が高めであるにもかかわらず、ドライバーはすぐに3シリーズと一体になる。

走り出して数分もすれば、典型的な3シリーズ流の余裕が自然と身につく。左手でステアリングを操り、右手はシフトノブに軽く添える。視線の先には、速度計とタコメーターの大きな丸型メーター、そして燃料計と水温計の小径メーターが並ぶアナログコックピットが広がる。それ以上に何が必要だろうか。

E21は100万台超えのヒット作に

「BMW E21」は、1983年末までに136万台が生産され、その約半数が輸出された。2ドアセダンに加え、コーチビルダーのバウア(Baur)は1977年から1982年にかけてE21をベースにした最上級コンバーチブルを製作し、4,595台が生産された。

さらに、1978年以降には「アルピナ B6 2.8(Alpina B6 2.8)」といったチューニングモデルも登場。グループ5仕様を含む数多くのモータースポーツ車両も製作された。また、1977年に発表されたロイ リキテンスタイン(Roy Lichtenstein)の「BMW アートカー」も、初代3シリーズをベースとしていた。

すべての始まり:1975年、BMW E21が3シリーズの成功の歴史を築き上げた。
Photo: Fabian Kirchbauer; BMW AG

やがてBMWは、75馬力(315)から143馬力(323i)まで、計8種類のエンジンバリエーションを展開した。排気量2リッター以上のモデルにはツインヘッドライトが与えられている。「E21」の約3分の1は6気筒エンジンを搭載し、なかでも最も多いのは「320」であった。「E21」はBMW初の100万台突破モデルとなり、同社がニッチメーカーからグローバル企業へと飛躍する礎を築いたのである。

BMWは現在、「3シリーズ」を第7世代まで進化させている。全長わずか4.35mのコンパクトカーとしてスタートしたモデルは、いまや最大4.80mに達するミドルクラスへと成長した。

それでもなお、フロントに強力なエンジンを搭載し、後輪を駆動するという基本構成は変わらない。そして何より、純粋なドライビングプレジャーも健在だ。

BMW E21、50周年おめでとう!

Text: Fabian Hoberg