少なさこそ豊かさだ!軽量化とマニュアルトランスミッションにより、走行性能に優れたマシンへと進化した「ポルシェ 911カレラ T」を徹底テスト
2026年2月24日
ダイエットとマニュアルトランスミッション。この組み合わせが「ポルシェ 911 カレラ T(Porsche 911 Carrera T)」を真のドライビングマシンへと変貌させる。我々は、この911を愛好家たちのためにフルテストした!
たった一文字。それでも、その意味は計り知れない。ポルシェの名に刻まれた“T”は、何十年にもわたり特別な響きを持ってきた。もっとも911カレラにおける“T”は、形式上は“Touring”の略に過ぎない。言葉としては平凡だ。
だがその略称には豊かな歴史がある。そして992.2世代の新型カレラTにおいては、特別な意味を持つ。ポルシェは「とりわけピュアなドライビング体験」「とりわけスポーティな装備」と語る。
価格に妥協はない
最重要ポイントはここだ。通常のPDKオートマチックではなく、6速マニュアルギアボックスが搭載される。少ないほうが多い? いや、それでは表現が足りない。むしろ“T”には「トップ・カレラ」という名がふさわしい。“隠れた名車”“ドライビングマシン”という表現のほうが、この新型911カレラTの本質を正確に捉えている。

その理由は、テストの第一印象から明らかになる。欠点はひとつだけ。価格だ。オートマチックを“あえて”省き、専用装備で“ピュア”を強調し、標準カレラ比で40kg軽量化する。そのすべてに追加コストが発生する。スポーツシートや可変ステアリングなどのオプションで5356ユーロが加算され、テスト車は合計15万2645ユーロとなった。
| ポルシェ 911 カレラ T | |
| エンジン | 水平対向6気筒ツインターボ |
| 排気量 | 2981㏄ |
| 最大出力 | 290kW (394hp)/6500rpm |
| 最大トルク | 450Nm/2000rpm |
| 最高速度 | 295km/h |
| トランスミッション | 6速マニュアルトランスミッション |
| 駆動 | 後輪駆動 |
| タイヤサイズ(F-R) | 245/35 R20-305/30 R21 |
| タイヤ銘柄 | ピレリ Pゼロ NO |
| 燃費 | 9.5km/L |
| 燃料タンク | 84L (標準63L) |
| トランク容量 | 373L+135L(フロント) |
| 価格 | 146,800(約2770万円)ユーロ |
| テスト車価格 | 152,644(約2820万円)ユーロ |
圧倒的グリップと強力なブレーキ
最新の運転支援システムが満載、というわけではない。だが問題ない。「911 T」は機械的な完成度で安全性を確保する。すなわち、驚異的なグリップ、圧巻の横安定性、卓越した路面コンタクト、そして極めて鋭いブレーキ性能だ。

数値で示そう。100km/hから完全停止まで31.3m。しかも熱が入った状態でも再現性は高く、ペダルフィールは精緻そのもの。カーボンではなく、従来型のスチールディスクブレーキでこれを実現している。
セッティングは完璧な成功
911ならではのメカニズムが、この路面との親密な関係を生む。「T」にはリアアクスルステアリング、インテリジェント・トルクベクタリング、そしてわずかに硬められたスポーツサスペンション(短いスプリング付き)が標準装備される。ダンパーは伸び側・縮み側ともに可変制御式だ。その結果、「T」とアスファルトは完全に結びつく。両者は切り離せない。

後輪操舵は高速域でも遅れなくスムーズに向きを変える。トルクベクタリングは明確に感じ取れるが、同時に穏やかなノーズの入りを生む。そこに完璧に調律されたステアリングが加わる。
センター付近は軽やかで、舵角増大に応じた適切なギア比、最適なパワーアシスト。300km/h近い速度域でも、Tは俊敏で、応答性が高く、正確で、かつ安定している。指先で修正し、操れる。これこそがドライビングプレジャーだ。セッティングには文句なしのA評価を与える。
二面性を持つボクサーエンジン
エンジンにも最高評価を与える。3リッター水平対向6気筒は高回転を好み、低回転でも扱いやすく、中回転域では豊かなトルクを発揮する。出力とトルクは力強く、機械音は控えめかつリアル。排気音は負荷や回転数、ドライブモードによって、重厚にも、うねるようにも変化する。

信じがたいことに、ターボエンジンの奥には自然吸気の猛獣が潜んでいる。6800rpmを超えたあたりで、ほんの数百回転の間、6気筒は再び一段と荒々しく、激しく咆哮する。
動力性能は驚異的ではない
ただし冷静に見れば、現在ではコンパクトな5ドア車でも394馬力を発揮する時代だ。車重1518kgのTは、十分に速いが、驚異的というほどではない。
0-100km/hは4.6秒、200km/h到達は15.2秒。参考までに、兄貴分のターボSはその半分の時間で達する。

| スポーツ性能評価 | ポルシェ 911 カレラ T |
| ボディ | 15点満点中7点 |
| クオリティ | 20点満点中19点 |
| シート/シートポジション | 30点満点中28点 |
| 装備 | 15点満点中10点 |
| エンジン特性 | 30点満点中26点 |
| 走行性能 | 50点満点中33点 |
| パワーウェイト | 30点満点中18点 |
| トランスミッション/シフト | 20点満点中16点 |
| サウンド | 20点満点中17点 |
| 乗り心地 | 20点満点中18点 |
| 走行安全性 | 20点満点中18点 |
| ハンドリング | 50点満点中42点 |
| ラップタイム | 50点満点中35点 |
| ステアリング | 30点満点中28点 |
| ブレーキ | 40点満点中29点 |
| 魅力 | 10点満点中7点 |
| 燃費 | 20点満点中14点 |
| 価格 | 30点満点中15点 |
| 総合評価 | 500点満点中380点 |
真の歓びはギアボックスにある
だが、このクルマの核心はギアボックスだ。ギア比はロングで、回転域を丁寧に引き出す忍耐を求める。クラッチは確かな踏力が必要で、俊敏な加速には正確な操作が不可欠だ。少しハードルが高いのか?
答えはノーだ。6速マニュアルこそ「T」最大の歓びだ。クラッチがつながる感触、ダウンシフト時にボタン操作で完璧に合わされる回転上昇、最大トルクに合わせて自らシフトポイントを決める快感。

ここでドライバーはエンジニアであり、機械を指揮する指揮者となる。おそらく現在入手可能な中で、最も官能的なクルマのひとつだ(ポルシェの別世界的なGTモデルを除けば)。あえて注文をつけるなら、シフトゲートの節度感がもう少し明確なら、Tの魅力はさらに高まる。
快適性も犠牲にしていない
スポーティさ一辺倒ではない。「T」は穏やかにも走れる。風切り音の遮断性は予想以上に高く、直進安定性も優秀。低回転で巡航すれば、高価なプレミアム燃料も節度をもって消費する。

最も柔らかい減衰設定では、小さな凹凸を滑らかにいなし、大きな入力に対してもリアが一瞬軽く跳ねる程度で収める。低くマウントされたスポーツバケットシートは、調整幅こそ限られるが、身体をしっかりと支える。ここでも言える。少ないことは、確実に多い。
結論:
絶対的な動力性能では上位モデルに及ばない。それでも「カレラT」は、911ラインアップの中でもトップクラスの存在だと断言する。通と腕利きのドライバーにとって、これほど報われるモデルはない。プロセスに主体的に関わり、911本来のピュアなドライビングフィールを、ことさら官能的に味わえる一台だ。
AUTO BILDテストスコア:1.8
フォトギャラリー:新型ポルシェ911カレラTのフルテスト











Text: Jan Horn and Dennis Heinemann
Photo: Tom Salt / AUTO BILD

