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【ウインターテスト】アウディS3対VWゴルフR テクノロジーの双子はどちらが真のスノーキング?

2026年2月18日

アスファルトでは実力伯仲の2台。だが雪上でアウディ S3は「quattro」の名が約束してきた走りを本当に実現できるのか。そしてVW ゴルフ Rを置き去りにできるのか。

残念ながら、いまだに両車をサーキットで直接比較することはできていない。アウディは“熱問題”を理由に挙げるが、そこには社内事情もあるのではないかと我々は見ている。というのも、これまでの直接対決では「アウディ S3」は少なくとも「VW ゴルフ R」と互角以上の実力を示してきたからだ。しかも「アウディ S3」には、セミスリックのFalken Azenis RS820という選択肢すらある。とはいえ今回は本コースを離れ、雪上で勝負を決する。

スペックは小数点レベルまで酷似している。「ゴルフ R」はわずかにホイールベースが長く、車重は「アウディ S3」より60kg軽い。しかし四輪駆動システムに関しては両社とも同じ方向性だ。かつての比較的単調なハルデックス式quattroは、S3のフェイスリフトでトルクスプリッター付きの新世代システムへと刷新された。リアアクスルに2基の多板クラッチを備えるこの機構は、「アウディ RS 3」で既に知られており、名称こそ違えど「ゴルフ R」にも採用されている。

ブレーキング時、ゴルフ Rはやや強めのアンダーステアを示す場面がある。しかしハイレベルなドリフトも可能だ。

フォルクスワーゲンはこの左右独立制御式AWDを「Rパフォーマンストルクベクタリング」と呼ぶ。名称は異なるが、機構自体は同じだ。前後アクスル間、さらに後輪左右間で駆動力を可変配分する。極限状況では、後輪に伝達されるトルクの最大100%をコーナー外側輪へ集中させることも可能だ。

さらに2,410ユーロ(約44万円)のRパフォーマンスパッケージを追加すれば、「ドリフト」および「スペシャル」モードが選択できる。前者は遊びのため、後者はノルドシュライフェ攻略用だ。アウディでは「Dynamic Plus」ボタンでリア寄りの特性を呼び出せる。

アウディ S3VW ゴルフ R
エンジン直列4気筒ターボ直列4気筒ターボ
排気量1984㏄1984㏄
最大出力245kW (333hp)/5600-6500rpm245kW (333hp)/5600-6500rpm
最大トルク420Nm/2100-5500rpm420Nm/2100-5500rpm
リッター馬力168馬力/L168馬力/L
トランスミッション7速デュアルクラッチ7速デュアルクラッチ
駆動全輪駆動全輪駆動
タイヤサイズ225/40 R 18 – 225/40 R 18225/40 R 18 – 225/40 R 18
タイヤ銘柄ピレリ ソットゼロ3BS ブリザック LM005
全長/全幅/全高4352/1816/1415mm4296/1789/1454mm
ホイールベース2618mm2639mm
燃料タンク-トランク容量55L-325~1145L55L-341~1197Ll
0-100km/h4.7秒4.6秒
最高速度250km/h270km/h
燃費11.5km/L11.9Km/L
価格56,330ユーロ(約1,042万円)57,950ユーロ(約1,072万円)

タイヤサイズは両車とも225/40 R18で共通。ただし「ゴルフ R」はブリヂストン ブリザック LM005を履き、「アウディ S3」はアウディ認証(A01)付きのピレリ ソットゼロ3を装着する。結果は明確だ。リヴィーニョの雪上では、イタリア製ウインタータイヤのほうが日本製タイヤより適応力を発揮した。

アウディ S3はゴルフ Rよりも長く、安定したドリフトアングルを維持できる。それが最終的な速さにつながる。

もっとも、タイヤの差だけで勝負が決したわけではない。仮に「アウディ S3」がブリヂストンを履いていたとしても、おそらく勝者は変わらなかっただろう。理由は単純だ。「アウディ S3」のほうが明確にトラクションを稼ぐからだ。

アウディの完璧な統合制御

四輪駆動、Dynamic Plusモード、そしてピレリの組み合わせはほぼ理想的に機能する。通常、これらの横置きエンジン車はフロント荷重が強く、雪上ではアンダーステア傾向が顕著になる。「ゴルフ R」は2か所でその兆候を見せた。

一方「アウディ S3」は、コースを熟知しているかのような、あるいはシステム制御が一段と洗練されているかのような挙動を示す。進入直前にアクセルを抜き、リアを穏やかに滑らせ、ステアを当て、再びスロットルを踏み込む。2周目にはすでに雪壁ギリギリをかすめるラインを描いている。「アウディ S3」は雪上を舞うように走り、コーナーからコーナーへと自信満々にスイングする。負荷変動のたびにアクラポヴィッチ製エキゾーストが乾いたクラックルを響かせる。

ゴルフ Rのタイヤよりもわずかに高いグリップとトラクションを提供するピレリ ソットゼロ3(A01)。

誤解してほしくない。「ゴルフ R」の走りも決して悪くない。最終的な順位も上位だ。ただし今回は、スペシャルモードにおけるダンパーとトルク制御の連携が、アウディほど完璧ではなかった。ある区間では双子車のように優雅に振る舞うが、別の区間では突然リアアクスルのトルクが抜ける。

タイヤとブレーキがわずかな弱点

勢いが削がれ、立ち上がりの一貫性を維持しにくい。ブリヂストンは横方向グリップで一歩譲り、ABS制御との相性もやや厳しい。ブレーキング時に軽微なアンダーステアが顔を出すこともある。ただしそれは、全体として刺激的なドライビング体験の中での小さな癖に過ぎない。驚くべきことに、両車とも“楽しさ”のレベルはほぼ同等だ。

アウディが一歩リード

もし三菱 ランサー エボリューション Xやトヨタ GR Yarisが参戦していなければ、「アウディ S3」は文句なしのスノーキングだっただろう。完璧な四輪駆動ハンドリング、豊富なグリップ、そして圧倒的なドライビングプレジャー。

「ゴルフ R」もまた、同等のスピードと技量で氷上を縫う。しかし四輪駆動制御とタイヤの調和という点で、今回のテストコースにおいてはアウディの完成度がわずかに上回っていた。

Text: Guido Naumann
Photo: Almuth Heene