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第45回JAIA輸入車試乗会特集 オシャレなテスラ「ボルボ EX30 ウルトラツインモーター パフォーマンス」

2026年2月14日

時代が変わったなぁ

ボルボEX30に乗るのは実は今回が初めてではないのだが、それでもいろいろと戸惑ったり、これでいいのかな、と不安に感じたりする部分が還暦を迎えたプチおじいさんには多い。まず何が不安だと言ったって、キーを差し込む部分がないのは当たり前だのクラッカー(古すぎる)、スタート・ストップのボタンさえもなく、リモコンキーを所持して、乗り込んだら何もせず、右側のセレクターレバーをRかDにすればそれで発進準備完了である。

個人的にはこれだけの質量を持っている「自動車」という、人の命を預かる走行物体をこれほどイージーに発進準備完了状態にしてよいのかどうか、はなはだ疑問であるし、それほどまでに自動車というモノの存在を軽くしてよいのかどうか、やっぱり馴染めない部分が多い。

乗り込んだ車内はテスラと同じようにほぼスイッチ類もメーターもなく、すっきりシンプルを飛び越えてなんだか殺風景で寂しく感じてしまうのは、満艦飾のバブル時代の日産車などを知っているからだろうか。再生ポリエステル7割を使ったざっくりしたシート生地に、掃除しやすいビーガンレザーをあしらった車内はイケアやイノベーターのあの感じである。

これぞ北欧デザインの真骨頂。一歩間違えれば殺風景になりかねないくらいシンプルな空間が、クリーンで、サステイナブルに見えるのは、やっぱり”スエーデン”という刷り込みが頭にあるからだろうか。とにかくテスラと見比べても、なんとなくこちらの方がお洒落であか抜けている感じがすることには賛成してもらえることと思う。

だがセンターの縦型液晶パネルにほぼすべての操作系を詰め込んだことに関しては、やはり慣れとか、自分仕様へのセッティング、あるいは音声操作というエクスキューズを加味したとしても問題なしとは言えない。ルーフに小さく設けられたハザードスイッチや、ウインカーと間違えて操作すると交差点などでRに入ってしまうセレクターレバー、操作をしようとして液晶ディスプレイを見ると「運転中はよそ見をしないでください」と叱られる部分に至っては「こっちは操作したくて確認しただけですよ」と突っ込みを入れたくなる部分も多い。そして繰り返すがやはり人の命を左右しかねない自動車という商品において、この車はまだまだ再考の余地はあるはずである。

そんな操作系の文句をいったんやめにして走り始めると、今回のEX30はウルトラツインモーターだからしてとにかく動力性能はもう怖いほどのものを持っている。最高速度こそボルボの自主規制で180km/hに制限されているものの、0‐100km/h加速は3.7秒とすさまじい。何しろフロントモーターが156PS&200Nm、リヤモーターが272PS&343Nm、以上合わせましての合計が428PS&543Nmなのだから速くないわけがない。

車両重量は1,880kgとボディサイズ(全長4,235mm×全幅1,835mm×全高1,550mm)の割には重いが、それは69kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しているのだからやむを得ない。電費こそ同クラスのクルマと比較すればやや劣るが、性能を考えれば納得のいく数値ではある。だがそれでも、やはりこれだけのこの小型ボルボにパワーが必要なのだろか、という思いは強い。

ボルボはイメージ的に得な自動車であると個人的には思っている。あまりボルボを憎々しげに思っていたり、悪印象を抱いたりする人は少ないのではないだろうか。まずはスウェーデンという日本人には好印象を与えやすい、北欧のお洒落な国、というイメージ的に加算された部分も多いし、自動車的にも信頼のおける、丈夫で安心できるブランドという刷り込みがされている方が多いのではないだろうか。

昔もそういう刷り込み加算ボーナスのような部分も多かったが、最近のボルボを見ると、よりイメージ戦略の強い自動車であると思うことが多い。爆発的な加速力とちょっと煮詰められていない制御部分などに戸惑いながら、パワーウインドウスイッチやハザードスイッチを探しながら、240の内装はダサいけどわかりやすかったなぁ、と独り言を言う自分は時代遅れも甚だしいのかもしれない。そんな戸惑いの多い最新ボルボであった。

Text: 大林晃平
Photo: Auto Bild Japan