【ウインターテスト】BMW i4 M50がM3に挑む 雪上でのBMW対決は意外な結末を迎える
2026年2月20日
冬季テストに電気自動車?そう、テスト車両の消費電力測定のためだ―というのは冗談だ。真面目な話、氷雪路では繊細な制御が可能な電動モーターが本当に内燃機関より優れているのかを確かめたかったのだ。
「またかよ!」―ミラノ・コルティナ2026オリンピックの会場でもあるリヴィーニョへの出発前、ドライバーズブリーフィングで編集部に響いたのはそんな声だった。編集部からイタリアまでの約500kmを、電気自動車で“犠牲的に”運転するのは誰か、と私が問いかけたからだ。
スーパースポーツカー、ラリーレジェンド、そしてeパワーが雪上テストに集結!フェラーリからGRヤリスまで―白銀の世界を制するのは誰か?:https://autobild.jp/63106/
なぜ同僚たちはそこまで不満を漏らすのか。理由は明白だ。彼らはこれまでに何度も苦い経験をしている。満充電でザクセンリンクへ向かったものの、充電ステーションが故障。次の急速充電器は20km先。さらに最後の20%を充電するのに膨大な時間を要した。要するに、我々はいまだこの種のクルマに心から馴染めていないのだ。

それでも今回の冬季テストでは、「BMW i4 M50」を「BMW M3コンペティション xDrive」の好敵手として選んだ。最高出力は544ps(現行仕様では601ps)対530psで、いずれも四輪駆動。数値上は拮抗している。重い電気自動車に対し、内燃機関モデルが優位に立つのは確実か?答えは走らせてみなければ分からない。前回のウインターテストでは「アウディ SQ8 e-tron」が我々を驚かせた。あの巨体でさえ、まるで往年のquattroラリーカーのようにコーナーを滑走できたのだ。だが今回はBMW対決に集中しよう。
| BMW i4 M50 | BMW M3コンペティション xDrive | |
| 動力 | 電動モーター 399V | 直列6気筒 ツインターボ |
| バッテリー容量(Net)/排気量 | 80.7kWh | 2993cc |
| 最高出力 | 400kW (544hp) | 390kW (530hp)/6250rpm |
| 最大トルク | 795Nm | 650Nm/2750-5730rpm |
| トランスミッション | 1速 | 8速AT |
| 駆動 | 全輪駆動 | 全輪駆動 |
| タイヤサイズ(F-R) | 245/40 R19 – 255/40 R19 | 275/35 R19 – 275/35 R19 |
| タイヤ銘柄 | グッドイヤー ウルトラグリップ パフォーマンスプラス | ミシュラン パイロット アルペン 5 |
| 全長/全幅/全高 | 4783/2073/1448mm | 4794/2068/1438mm |
| ホイールベース | 2856mm | 2857mm |
| 燃料タンク/トランク容量 | 470-1290L | 59L/480L |
| 0-100km/h | 3.9秒 | 3.5秒 |
| 最高速度 | 225km/h | 290km/h(リミッター) |
| エネルギー消費 | 21.9kWh/100 km | 9.9km/L |
| 価格 | 72,100ユーロ(約1,333万円)~ | 106,200ユーロ(約1,964万円)~ |
技術的な違いは何か。「i4 M50」は前後アクスルにそれぞれ電動モーターを搭載し、フロント最大258ps、リア最大313psを発生する。アクスルごとに独立して駆動力を与えるこの方式は、「M3」の従来型四輪駆動システムに対して優位となり得る。「M3」ではトランスファーカップリングによって前後輪にトルクを配分する仕組みだ。

ただし「M3」のトルク配分は、電動モーターによる直接的かつ柔軟な制御と比べると反応が遅い。さらにM3は基本的に後輪から前輪へと駆動力を移す構造であるのに対し、「i4」は前後を完全に独立して制御できる。理論上、これは電気自動車にとって明確なアドバンテージとなる。では実際の氷上コースではどうか。「BMW M3」の氷上走行については既に経験がある。前回は「M3 ツーリング」でテストを行った。
我々はより重量のある電気自動車を先に走らせる。「i4」はメニュー操作でスポーツモードに設定でき、より後輪寄りのトルク配分となり、ESPもオフになる。しかし1周目からすべてのコーナーでスピンしてしまう。「スポーツ」はやり過ぎだ。そこで「コンフォート」に戻すと、驚くほど落ち着いた挙動になる。4周目にはコツをつかんだ。アクセルできっかけを作り、四輪駆動ドリフトでコーナーを旋回する。しかしブレーキングと再加速の局面では、ABSの介入と車重の重さがタイム短縮を阻む。

コーナリングでは「M3」が4秒も速い。それでも総合順位では下位に沈む。その理由は四輪駆動システムの特性にある。このシステムはドライ路面での俊敏なパフォーマンスを最優先に設計されている。「4WD」でも「4WDスポーツ」でも、530psのパワーが常にリアを過敏に振り出し、カウンターの揺り返しを誘発する。これを完全に制御するのは難しい。M3では動きが落ち着くまで待ち、アクセルで振り回すのではなく、ブレーキで姿勢を作りながらドリフトへ導く必要がある。
BMW M3:AWDだがRWD色が強すぎる
「M3」が本領を発揮するのは明らかにドライアスファルトだ。ただしリア寄りの重量配分に慣れれば、驚くほど楽しい。
BMW i4:瞬発力が過剰
理論上、「i4」は「M3」よりはるかに優れている。電動モーターはより速く、より精緻に制御できるはずだ。しかしESPを切った状態では、即座に立ち上がるトルクが強烈すぎて、繊細なコントロールが難しい。
Text: Guido Naumann
Photo: Almuth Heene

