【スーパーテスト】新型「マクラーレン アルトゥーラ」はより多くのテクノロジー、より速く、より楽しくなったのか?
2026年1月21日
マクラーレン アルトゥーラ(McLaren Artura):エントリーモデルとなるアルトゥーラの登場により、マクラーレンは新たな時代へと踏み出した。ツインターボV6と電気モーターの組み合わせにより最高出力は700psを発生し、先代570Sを130psも上回る。この新世代ハイブリッド・スポーツカーは、いったいどのポジションに位置づけられるのだろうか。
スタートは決して順調とは言えなかった。世界が新型コロナウイルスに覆われていた2021年2月、マクラーレンは本来、「570S」の後継モデルとして「GTB(アルトゥーラ)」を発表する予定だった。これは同社にとって大きな飛躍であり、初の量産型電動化マクラーレンでもあった。何よりも、「フェラーリ296 GTB」に先駆けてこのパワートレインを市場投入することが狙いだった。結果として、それは「書面上」では成功した。発表はプレスリリースと、フランクフルトのデーア モータースポーツでの短時間の試乗に限られたからだ。その後、我々は「フェラーリ 296 GTB」を試乗、テストする機会を得たが、アルトゥーラにはお目にかかることはなかった。
2022年末、ようやくその時が訪れる。マクラーレンはスペインで初の本格試乗会を開催した。当時680psを誇った英国製スーパーカーは、強い印象を残した。主観的にも客観的にもフェラーリには一歩及ばなかったが、ハイブリッド技術の方向性は非常に有望に感じられた。スタイリングは正真正銘のマクラーレンそのものだった。ただし試乗時点で、同業者の中には細かな初期トラブルを指摘する声もあった。こうしたことは珍しくなく、メーカーがプリプロダクション車を使用することも多い。しかしその後、アルトゥーラに関する情報は途絶え、実走テストの要請は無視されるか延期され続けた。公式見解は「まず顧客への納車を優先するため」というものだった。

数カ月後、イタリアのナルドにあるポルシェのテストコースでタイヤテストを行っていた際、我々は再びマクラーレンのチームと遭遇した。ガレージには4台のアルトゥーラが並んでいたが、コースを走る姿は少なく、ボンネットやドアが開いた状態の時間の方が圧倒的に長かった。通常のテストなのか、耐久試験なのか、それとも別の理由なのか。公式なコメントはなかった。しかし取材者として推測するなら、パンデミックが英国勢に与えた影響は、イタリア勢以上だったのかもしれない。少なくともデビュー当初、ソフトウェアは完成度が十分とは言えず、スロットルレスポンスやトランスミッション、ドライバビリティ全般に問題を抱えていた。また、特にハイブリッドシステムの信頼性については、不安を示す声も聞かれた。
いずれにせよ、ウォーキングのアルトゥーラ開発施設では、数カ月にわたり深夜まで明かりが消えることはなかったらしい。これまで高い完成度を誇ってきた英国ブランド意地をかけてテクノロジーの最終仕上げは徹底的に行われた。
最初にアルトゥーラと出会ってから4年後、ついにテスト車両が編集部に届いた。いきなりの大舞台、スーパーテストである。675LT、720S、750Sといった近年のハイエンドマクラーレンと同じ扱いだ。実質的な先代モデルである570Sは、我々の単独テストには登場しなかった。9年前、ザクセンリンクで「アウディR8 V10プラス「、「ポルシェ911ターボS」との比較テストに参加したのみで、しかも僅差でツッフェンハウゼン勢に敗れている。ターボSは今後もマクラーレンのベースモデルにとって重要なライバルであり、間もなく登場する992.2世代の最強仕様は、電動化される可能性が高い。我々も、そして英国勢も、その登場を心待ちにしている。

ここで「Y70 MCL」に話を戻そう。バッテリーを使い切り、ターボを真っ赤に焼き、ピレリを溶かす前に、アルトゥーラの技術的世界を簡単に紹介しておきたい。まず言えるのは、このクルマはほぼすべてが新設計だということだ。既存モデルやモジュールの流用は一切ない。アルトゥーラは完全新設計のエンジンを、より軽く、より剛性の高いカーボンモノコックに搭載している。
新エンジン
「M630」と呼ばれるこの新エンジンは、排気量3.0リッターのV6で、605psと585Nmを発生する。アルミ製でドライサンプ潤滑を採用し、バンク角は120度。2基のターボチャージャーは「ホットV」内に配置され、低重心化と排圧損失の低減を実現する。この構成は高回転を重視するウォーキング流にも適しており、クランクシャフトの剛性向上にも寄与している。電気モーターはトランスミッションに統合され、ブーストだけでなくリバースも担当する。システム全体では700ps、720Nmに達する。対する「フェラーリ 296 GTB」は830ps、740Nmを誇るが、その分重量もかさむ。
軽量化こそが鍵
マクラーレンにとって最重要テーマはやはり重量だ。電動化はここで大きな障害となり得る。「アルトゥーラ」のハイブリッド関連コンポーネントの合計重量は130kg。そのうち88kgが9.2kWhのバッテリー、15.4kgが電気モーターだ。一方で、V6エンジンは従来のツインターボV8より40kg軽い。結果として、「フェラーリ 296 GTB」との重量差は57kg。1620kg対1563kgで、数字上は小さく見えるが、このクラスでは決して無視できない差である。

サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアがアッパーウイッシュボーンとロワーマルチリンクの組み合わせ。マクラーレンとして初めてアクティブリアデフロックを採用した。ただし、このEデフはグラツィアーノ製の新8速デュアルクラッチトランスミッションがあってこそ可能になったものだ。アダプティブダンピングも改良され、軽量化された電動油圧式ステアリングも刷新された。マクラーレンは、この「時代遅れ」とも言われがちな方式こそ、フィードバックの面でベンチマークだと考えている。制動は前390mm、後380mmのセラミックディスクが担当。フィーリングを重視し、回生ブレーキはあえて採用されていない。
エクステリアは従来のマクラーレンらしさを保ちつつ、インテリアには多くの新要素が盛り込まれている。ステアリング前方のメーターはフルデジタルで、個別にカスタマイズ可能。ステアリングホイール自体にはボタンもダイヤルも一切なく、実に見事だ。代わりに、モニター左右に配置された大型スイッチでドライブモードを操作でき、視線を前方から外す必要がない。電動走行モードも用意され、コンフォートでは40km/h以下でエンジンが停止する。スポーツおよびトラックでは、ダンパー硬度やESP(VDC)の介入度を調整可能だ。ほかに必要なものは? それでは、この低く美しいマシンに乗り込もう。

ガルウイングドアを開き、頭を下げ、体をひねりながら右足を入れ、腰を落とすと、カーボンモノコックに深く収まる。クラブスポーツシートは体にぴたりと合い、ステアリングの感触も理想的だ。新しい回転式コントローラーは操作性も良好で、新ナビゲーションはラウジッツリンクやザクセンリンクへ素早く導いてくれる。唯一の不満は、エンジン始動時に相変わらず強くブレーキを踏み込む必要があることだ。
日常性と軽快さ
一般道や高速道路での走行は、マクラーレンらしく驚くほど軽快で俊敏だ。ダイレクトかつ情報量豊富なステアリングが、走る楽しさを大きく高めている。サウンドも良好で、暖まったV6は、ややこもりがちなフェラーリよりも男らしい響きを聴かせる。ただし、かつてのツインターボV8ほどの個性はない。サスペンションも路面の荒れを巧みにいなし、タイヤを確実に接地させる。
クルージングからアタックへ
オートマチックで快適に流すことも、コーナーを容赦なく攻めることもできる。ただし、7速から2速へ一気に落とす際、トランスミッションが一瞬ためらうことがある。それでも統合されたパワートレインの完成度は高く、電動から内燃機関への切り替えは極めてスムーズだ。電動アシストは、とりわけ圧倒的なトルクで存在感を示す。2,200〜7,000rpmの間、エンジンは常に鋭く反応し、旧570Sにあったターボラグは完全に過去のものとなった。バッテリーが空になっても、スポーツやトラックモードで少し走ればすぐ回復する。最高速は330km/hを3回記録し、体感的には360km/hにも達しそうだった。高速域の安定感は圧巻で、大きな空力的問題もない。最大ダウンフォースは50kgとされるが、シャシーとバランスは極めて優秀だ。セラミックブレーキは、もう少し繊細さが欲しいところだ。

縦方向の加速性能は完璧だ。ローンチコントロールはピレリPゼロコルサに最適化され、クラッチ、過給圧、電動モーターが見事に連携し、ホイールスピンなしで加速する。0-200km/hは8.5秒、250km/hは12.9秒、300km/hは22.9秒。メーカー公称値より1.5秒遅いが、制動距離は非常に優秀だ。主観的には、計測終盤でABSの介入がやや強すぎる印象もあるが、よりワイドなタイヤを履けば、さらに向上する余地は大きい。
ザクセンリンクでタイムアタック
「570S」の1分33秒12というラップは特筆すべきものではない。それよりも、「アルトゥーラ」が「720S」や「750S」にどこまで迫るかが興味深い。ウォームアップの時点で、トラクションコントロールなしでは好タイムが出ないことは明らかだった。700psに対してピレリのグリップがやや不足し、アンダーとオーバーが出やすい。それでもVDCレベル10が大きな助けとなる。新品のPゼロコルサを装着し、アタックに出る。遅めの強いブレーキングは得策ではなく、ここでもABSの早期介入が数メートルを失わせた。
オメガコーナーへの進入は安定感抜群で、トラクションコントロールはほとんど気づかれないレベルで介入する。主観的には、「720S」や「750S」と同等の安定感だ。トランスミッションは秀逸で、ステアリングは正確かつ俊敏、エンジンのレスポンスも素晴らしい。ザクセンカーブでは、正確な舵角とブレーキングが求められ、楽しい反面、タイムを削られる要因にもなる。それでも最終的には、「720S」よりわずか0.1秒遅れにとどまったことに驚かされた。
結論:
「フェラーリ 296 GTB」と技術的に近いにもかかわらず、「アルトゥーラ」はよりアナログで、より地に足の着いた感覚を持つ。マクラーレンではドライバーが主導権を握り、フェラーリではテクノロジーが支配する。唯一、完全な幸福に足りないのは、さらに高いグリップを持つタイヤだけだ。
Text: Guido Naumann
Photo: Ronald Sassen

