【動画付き】VWアイコンモデル 初代ゴルフから8代目まで その47年の進化の歴史を辿る

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VWゴルフ 進化の歴史 1974年に生まれたVWのアイコンモデルの全世代が一目でわかる

VWゴルフ8世代の進化の過程。ゴルフはかつてVWを経済破綻から救い、長年にわたってイメージリーダーとメーカーを文字通り物心両面で支えてきたレジェンド&アイコンモデルだ。果たして今回の第8世代をもってゴルフの歴史は終わるのか、それともアイコンモデルとして生き続けるのか。そんなほぼ半世紀に及ぶゴルフの進化の歴史を画像とともに振り返る。

➤ Golf 1(1974~1992)
➤ Golf 2(1983~1992)
➤ Golf 3(1991~1997)
➤ Golf 4(1997~2006)
➤ Golf 5(2003~2009)
➤ Golf 6(2008~2012)
➤ Golf 7(2012~)
➤ Golf 8(2019~)

VWゴルフは世界で最も売れている車の一つであり、コンパクトクラスの共同創設者といってもいい存在だ。
ゴルフには多くの魅力がある。
しかし、何よりもVWというメーカーを財政破綻から救ったことが評価される。
1974年のデビュー当時、初代ゴルフは、象徴的な存在ではあったもののもはや時代遅れだったビートルの後継車として登場した。
水冷式フロントエンジン、前輪駆動、コンパクトなサイズにゆとりあるスペースを備えた初代ゴルフは、発売初日から大ヒットを記録し、経営破綻寸前だったVWを救ったモデルとなった。
その成功は今日も続いており、現在までに累計で3,500万台以上を生産している。
しかし、その一方で、徐々にその時代は終わりを告げようとしているかのようにも映る。
全電動ID.3の登場とともに、ID.3がゴルフを継承し、ゴルフは第8世代をもって、その時代が終わる可能性がある。
それこそが、ここで一度、ゴルフの全世代を回顧する十分な理由だ。
ここでは、ゴルフ全8世代の進化の歴史を概要とともに紹介する。

コンパクトクラスの青写真としてのゴルフ1

1970年代初頭、VWの状況はバラ色というには程遠かった。
時代遅れのモデルレンジは、損失と販売台数の減少につながっていた。
メーカーは緊急に大ヒット商品を必要としていた。
そしてそれは1974年に初代ゴルフという形で生まれた。
水冷式の横置きフロントエンジン、前輪駆動、角張ったコンパクトなボディ、広々としたインテリアスペースのおかげで、ゴルフは出来立ての熱々ケーキのように売れた。
わずか2年後には、100万台目のモデルが生産ラインから転がり落ちた。
ゴルフ1には、3ドア、5ドア、コンバーチブル、ガソリン、ディーゼルと、誰もが楽しめるモデルが用意された。
GTIのエンジンは、50~112馬力を発揮し、それ自体が伝説となった。
フランスでは、オエッティンガーがチューニングしたGTIのヴァリアントである16Sが136馬力を発揮したこともあった。
VWキャディとVWジェッタもまた、ゴルフ1をベースに生産された。
最後のゴルフ1は、1983年に生産ラインから出荷されていったが、コンバーチブルは1993年まで生きることを許された。
南アフリカでは、2009年まで「Citi Golf」というモデル名で生産されていた。

コンパクトでスペースの有効活用、横置きエンジン、前輪駆動: このプロフィールが初代からゴルフの成功の秘訣だ。
Photo: Martin Meiners / AUTO BILD

1983年に発売されたゴルフ2は、先代モデル、初代ゴルフの成功を忠実に継承したモデルだった。
防錆性能が大幅に向上したことで、ゴルフ2は現在でもかなりの頻度で市場や路上で見かけることがある。
サイズは大きくなり、ボディはやや丸みを帯びていた。
エンジンは、55馬力から210馬力までのガソリンエンジンとディーゼルエンジンを搭載し、スパイラルチャージャー付きのスーパーレアなゴルフリミテッドでは、210馬力を発揮するなど、幅広いラインナップが用意された。
全輪駆動も初めて用意された。
ゴルフ1はコンバーチブルの役割も担ったが、ゴルフ2で開発されたゴルフ カントリーはSUVの一種として提供された。
そのほかにも、G60やラリーなど、現在でもユーザーから求められているゴルフのモデルが生まれた。
メンフィス、ファイア&アイス、ボストン、マッチなど数え切れないほどの特別モデルが販売を後押しした。
こうして、VW Golfの生産台数は1230万台にまで増加した。

ゴルフ3によるバッドイメージ問題

1992年に発売された3代目ゴルフは、2代目の先代モデルよりも丸みを帯び、高級感が増し、より現代的になった。
しかし、それはその一方で、より重く、より少ない「スポーティさ」を意味した。
加えて、第三世代は、その貧弱な出来栄えと錆問題と戦わなければならなかった。
一方で、エステートとコンバーチブルがあり、この国では「ジェッタ(Jetta)」と呼ばれるノッチバックのゴルフが「ヴェント(Vento)」と改名された。
また、コンパクトクラスに6気筒エンジンがデビューした。
VR6は174~190馬力を発揮し、現在でもターボやスーパーチャージャーを介した過給機として使用されている。
対極的なモデルとして、わずか60馬力の自然吸気ディーゼルもあった。
また、ボン ジョヴィ、ピンク フロイド、ローリング ストーンズなど、ゴルフ3の特別仕様車も数多く生産された。
1997年にゴルフ3が終了するまでに、約1700万台のゴルフが生産された。

さびと品質の欠陥: 第3世代では、ゴルフは初めてイメージの悪化という問題で悩み、その対応に苦労を強いられた。

第4世代で2000万台の大台を突破

1997年に発表されたゴルフ4は、前例のない飛躍を遂げた。
統合されたバンパーとクリアガラスのライトのおかげで、大きく成長し、はるかに近代的な外観となった。
操縦性は、シャシーと最新のエンジンサスペンションの強力な改良によって大きな恩恵を受けた。
完全な亜鉛メッキ処理を施したボディと、改良された職人技によって、長期にわたって優れた品質が保たれた。
初代R32には、4気筒、5気筒、6気筒のガソリンエンジンとディーゼルエンジンが用意され、68~241馬力を発揮した。
コンバーチブルの役割は3シリーズがそのまま残され(キャリーオーバー)、4ドアモデルのヴェント(Vento)はボーラ(Bora)と改名された。
2003年末までに2100万台以上のゴルフが製造された。
カナダと南米では、4シリーズは2010年までゴルフ シティとして生産され続けた。

テクノロジーと品質の面で、ゴルフ4はその先代モデルを超える飛躍的な進歩を遂げ、悪いイメージを払拭した。
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD

革命は起きた

ゴルフ5では、複雑な4リンクアクスルがリアアクスルに作用するようになり、レーザー溶接されたボディにより、ねじれ剛性が大幅に向上した。
弱いエンジンにもDSG(デュアルクラッチトランスミッション)が使えるようになった。
ターボチャージャーとスーパーチャージャーの組み合わせが初めて採用されたエンジンもあった。
75馬力から250馬力の間には、21種類ものエンジンが用意され、GTIはその原点に立ち返った。
非常識なワイドボディに、ミッドにマウントされたベントレーコンチネンタルGTの6リッターW12エンジンから650馬力を発生し、0-100km/h加速は3.7秒、最高時速は325km/hというゴルフ5のモンスターマシン、「ゴルフGTI W12-650」と命名されたワンオフコンセプトカーも強烈な印象として残っている。
コンバーチブルはまたしても姿を消した。
代わりに、バンのようなミニバンモデルであるゴルフ プラスと、そこから派生したクロス ゴルフがあり、ジェッタもまた、わが国(ドイツ)ではそう呼ばれるようになった。
2009年までに、ゴルフ5は327万台ほど販売された。

ベントレー製6リッター650馬力W12を搭載した「VWゴルフGTI W12-650」ワンオフコンセプトモデル。

2009年にゴルフ6として発売されたのは、基本的にはゴルフ5の大幅なマイナーチェンジモデルだった。
プラットフォームや寸法、多くの技術的なディテールはそのままに、外観も慎重に見直されただけだった。
品質と乗り心地はさらに向上した。
新機能として、アダプティブサスペンション、近接制御、自動駐車機能などが追加された。
ゴルフ6には、コンバーチブルと久しぶりにGTDが追加された。
天然ガスエンジンモデルが追加される一方で、VR6は廃止された。
その結果、270馬力のゴルフRは、後ろの「32」の文字が無くなった。
ちょうどディーゼル疑惑があった時期にゴルフ6が発売されたこともあり、ディーゼルエンジンモデルは大打撃を受けた。
ゴルフ6は2012年までに285万台が販売され、コンバーチブルは2016年まで製造されていた。

新開発MQBプラットフォームの投入

第7世代のゴルフは、2012年に投入されたが、それは「新たにデビューしたゴルフ」というにふさわしい、文字通り「新しいものづくし」のモデルだった。
初のeドライブ搭載の大型シリーズゴルフ、初のハイブリッドドライブ、初の3気筒、初のクラブスポーツ(同様にクラブスポーツSとTCR)、初の250km/h以上の最高速度、初のオールトラック(Alltrack)としてのヴァリアント。
パワーは86から310馬力、特別なスイスの「R360S」モデルでは、360馬力までアップされた。
アウディA3とともに、ゴルフ7は、今ではほぼVAGグループ全体で使用されている、新しく開発された万能のプラットフォーム、MQB(Modular Transverse Matrix=モジュラー トランスバース マトリックス)をベースに開発された最初のモデルだった。
一般的に、ゴルフ7は「特に高品質で成熟したモデル」という評価を受けている。
2016年の大規模なフェイスリフトでは、インフォテインメントのジェスチャーコントロール、デジタルコックピット、フルLEDヘッドライトが導入された。
2019年、歴代ゴルフの総販売台数が3500万台を超えた時点で、ゴルフ7シリーズは生産を終了した。
e-Golfのみが2020年の終わりまで生き続けることが許された。

ゴルフ7は特に成熟を遂げたモデルと考えられており、革新と新機能で溢れていた。
Photo: Toni Bader

ゴルフ8が最後の世代になる可能性

幾度かの遅延の後、ゴルフ8は2019年に導入された。
再び、MQBプラットフォームをベースにして開発されており、寸法とデザインはじゃっかん手が入れられたというレベルだ。
しかし、ボディの下では、第8世代はデジタル化とハイブリッド化のために大幅に強化され、トリミングされている。
コックピットからはスイッチ類が大幅に削減され、デジタルコックピットと最新のインフォテイメントシステム「MIB3」が標準装備されている。
DSGバージョンはシフトバイワイヤーを介してシフトチェンジする。
いくつかのエクストラは、いつでもオンラインで追加することができるようになっている。
5種類のエンジンはEサポートを備えており、現在115~320馬力のユニットが用意されている。
モデルレンジは大幅に合理化されており、3ドア、コンバーチブル、スポーツバンのハイルーフゴルフはラインナップからすべて削除された。
e-Golfも同様で、2019年、ID.3に取って代わられた。
このオール電動コンパクトは、第8世代後のゴルフに取って代わることを示唆している可能性もある。

世の中、だれでも一度はVWゴルフのお世話になっていると思う。
自分で所有した人はもちろん、友達が乗っていた、実家がゴルフだった、彼女が乗っていた、ドイツに行った時に乗ったなどなど、とにかくどんな形でも一度はゴルフに乗ったことがあるのではないだろうか。
フォルクスワーゲンのラインナップの中でゴルフはもう大黒柱の中の大黒柱、これぞフォルクスワーゲンを支える自動車、それがゴルフである。8世代の中で、チョット完成度の悪かった車もあれば、もう文句なしの一台もあるし、普通の2ボックスから、カブリオレ、ミニバン、セダン、ワゴン、スポーツモデル、クロスオーバーモデル…と、ありとあらゆるラインナップが今まで作られた。
そのゴルフがなくなってしまうなんて、と書かれてはいるものの、まだゴルフがなくなるという決定ではないし、IDシリーズがそっくりゴルフのラインナップを引き継ぐという策略なのかもしれない。
だがそれでも、ゴルフがなくなってしまうかもしれない、という記事を書く日が来るなんてなんとも寂しい。先日もクラウンがセダンを廃止してSUVになる、などというニュースが流れたが、衝撃はそれ以上だ。せめてIDなんとか、なんていう味気ない名前のクルマではなく、ゴルフという名前だけでも残してくれないものだろうか…、と思うのは私だけではないはずだ。

残念ながら8シリーズが最後のゴルフ世代になる可能性を否定することはできない。

【フォトギャラリー: ゴルフ1~ゴルフ8】

【初代ゴルフ】

Photo: Martin Meiners / AUTO BILD
Photo: Martin Meiners / AUTO BILD
Photo: Martin Meiners / AUTO BILD

【ゴルフ2】

Photo: Werk
Photo: Roman Raetzke / AUTO BILD
Photo: Christian Bittmann / AUTO BILD

【ゴルフ3】

Photo: Werk
Photo: Klaus Kuhnigk
Photo: Toni Bader

【ゴルフ4】

Photo: Werk
Photo: Mikel Prieto / AUTO BILD Spanien
Photo: Werk

【ゴルフ5】

Photo: Werk
Photo: Sven Krieger
Photo: Werk

【ゴルフ6】

Photo: Werk
Photo: Werk
Photo: Werk

【ゴルフ7】

Photo: Werk
Photo: Werk
Photo: Werk

【ゴルフ8】

Photo: Volkswagen AG
Photo: Toni Bader / AUTO BILD
Photo: Volkswagen AG

Text: Moritz Doka
加筆: 大林晃平
Photo: Volkswagen AG