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【どれにする?】4気筒か8気筒か?静かに流すのか、それとも怒涛のパワーを解き放つのか?5種類の「Mercedes-AMG GT」をサーキットで比較テスト

2026年1月7日

Mercedes-AMG GTのバイヤーズガイド:4気筒か、8気筒か。シャープさを選ぶか、圧倒的な厚みを選ぶか。静かに流すのか、それとも怒涛のパワーを解き放つのか。

こうした問いを、これほど真正面からユーザーに突きつけてくるGTクーペは、これまで存在しなかった。いや、正確に言えば―その答えを長年にわたって提示し続けてきたのは、ただ一台、「ポルシェ911」だけだった。ナローボディかワイドボディか。後輪駆動か四輪駆動か。カレラか、GTSか、ターボか。「存在しない仕様がない」と言われる911の世界観は、GTカーの価値基準そのものを築き上げてきた。

そして今、「メルセデスAMG GT」が、その土俵に本気で踏み込んできた。単なる高性能クーペではない。キャラクターそのものを選ばせるGTとして、である。

AMGは「GTクーペ」に、直4からV8、さらにはハイブリッドまで、明確に異なる個性を与えた。それは単なる出力差ではなく、走りの思想、見せ方、そして「どんなGTと生きるか」という問いそのものだ。今回我々は、ラウジッツリンクを舞台に、この“5人の兄弟”を徹底的に走らせ、その本質をあぶり出していく。

我々のホームグラウンドであるラウジッツリンクサーキットで、5台の「AMG GT」モデルが徹底的にテストされた。

クルマというものは、走るステートメントであり、男のバーキンであり、身につけるクロノグラフであり、オーダーメイドのスーツでもある。このクラスの車両は、単なる移動手段以上の存在だ。とはいえ、どれほど熱心なコレクターやエンスージアストであっても、日常ではヒッチ付きの「VWパサート」や「オペル アストラ」に乗っている、というのが現実でもある。

一方で、ドリームカーには一目で人の心を掴む視覚的な説得力が求められる。オーナーのスタイルや価値観を体現し、この仕様が「どんな人物のためのものか」を外に向けて、そして何よりもオーナー自身に対して明確に示さなければならない。その点、AMGのコンフィギュレーターは非常に充実しており、インテリアトリムやレザー、ホイールをあれこれ選びながら、気づけば数時間が過ぎてしまうほどだ。

では、5台のまったく異なる兄弟たちを詳しく見ていこう。街中、ワインディングロード、そしてサーキットでそれぞれの資質を検証した。

メルセデスAMG GT 43:421馬力の4気筒エンジン

「GT 43」は、このバイヤーズガイドにおける最大の未知数だ。このクラスの車に2.0リッター直列4気筒が搭載されていると、誰が想像するだろうか。しかし正直に言えば、「GT 43」は批評家たちが思う以上に高い実力を備えている。後輪駆動と力強い4気筒エンジンの組み合わせにより、フロントアクスルへの負担がV8モデルより明らかに少なく、極めて素直な走りを見せる。車重は約1.7トンと、このクラスとしては十分に許容範囲内だ。

もちろん、サウンド面では外観の迫力に完全には見合わない。しかしシャシーの予測性は見事で、ドライバーに常に安心感を与えてくれる。

「GT 43」の評価は、結局のところ期待値次第だ。AMG自身が謳う「911のライバル」としてこの2ドアを捉えるなら、0–100km/h加速4.6秒という数値にも、V8勢に囲まれるとやや頼りなく聞こえるしゃがれた排気音にも、物足りなさを覚えるだろう。

メルセデスAMG GT 43 – GTの中で最もピュアな存在:四輪駆動も、リヤアクスルステアリングも、可変機構も一切ない。

しかし、「GT 43」を「カントリーロードを楽しむためのハンドリングピュリスト」と捉えれば、そのコンセプトは一転して腑に落ちる。この用途であれば、4気筒エンジンは十分以上だ。控えめで落ち着いたデザインも相まって、コーナーでは軽快な印象を与える。フロントは素直にノーズを入れ、リアはゆったりとしたスイングでそれに追従する。

挙動は終始正直でコントロールしやすく、限界領域も広く明確だ。適度な重みを持つステアリングからは十分なフィードバックがあり、トルクステアを誤魔化す必要もない。そして、フェンダーがわずかに絞られた4気筒モデルのボディ。大きな差ではないが、ワインディングでは確かに効いてくる。後輪操舵、アダプティブサスペンション、アクティブディファレンシャル? いずれも追加料金が必要だ。

だが、これは正直お勧めしない。第一に、これらのダイナミック装備は、本来の素直なハンドリングを人工的に盛ってしまうだけだからだ。第二に、4気筒モデルはオプションを付けなくても、すでに非常に高価である。価格は119,589ユーロ(約2,152万円)。ドラマ性の少ないパワートレインとしては、あまりに高額と言わざるを得ない。

メルセデスAMG GT 55 4MATIC+:476馬力のV8エンジン

「GT 55」は、V8モデルのエントリーでありながら、このラインアップの中でも「純粋なドライビングの喜び」を最も体現している一台だ。クロームを多用したエレガントな外観、マヌファクトゥーア仕立ての「ルベリ レッド」のボディカラー、「シエナ ブラウン」のナッパレザーを用いた上質なインテリアも魅力だが、何よりも主役は8気筒エンジンである。

ここでは過剰なターボモンスターではなく、476馬力と700Nmを滑らかに、しかし力強く解き放つ、実に豊潤なフィーリングが味わえる。

メルセデスAMG GT 55 4MATIC+:船のデッキを思わせるオープンポア アッシュウッドトリム。自社工房で手作業により仕上げられた逸品。操作系も直感的で使いやすい。

このモデルは、「GT」をサーキット専用のスポーツカーとしてではなく、その名が示す通り「グランドツアラー」として捉える人に最適だ。余裕ある性能、必要なときにだけ牙を見せる抑制の効いた力強さ、優れた長距離適性、そしてスポーティさと品格を両立した洗練─「GT」という車格の本質がここにある。

四輪駆動、後輪操舵、アダプティブサスペンションはいずれも標準装備。0–100km/h加速は「GT 43」より0.7秒速く、サーキットでは約3秒速い。それでもドライバーを過度に圧倒するような演出はない。

むしろ、この控えめなダイナミズムこそが、476馬力を誇りながら「GT 55」が今ひとつ注目されにくい理由かもしれない。派手さや演劇性が不足しているのだ。もっとも、多くのパフォーマンス向上装備はオプションで選べる。だが我々の結論は明快だ。余計なことはせず、AMGが意図した“素のまま”を味わうべきである。