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過去に事故で全損したゾンダが17億円以上!今や真のコレクターズアイテムの「パガーニ ゾンダ リヴィエラ」がオークションに出品された!

2025年12月16日

パガーニ ゾンダ リヴィエラ(Pagani Zonda Riviera)がオークションに出品された!波乱に満ちた歴史を持つ1,000万ユーロ(約17億8千万円)のパガーニ。このパガーニ ゾンダはかつて激しい事故に巻き込まれ、その後ゾンダ リヴィエラとして生まれ変わったのだが事故は価値に影響を与えていないようだ!

率直に言って、激しい事故に巻き込まれた車に数千万ユーロ(約数十億円)も費やすだろうか?おそらく、99%の人は、経済力に関係なく、この質問に「ノー」と明確に答えるだろう。

しかし、その車がメーカーによって修復され、さらに、現代で最も人気のあるスポーツカーのひとつであるとしたらどうだろうか?その場合は、答えもきっと違うものになるはずだ。

パガーニの車はどれもコレクターズアイテム

しかし、仮説はこれくらいにしておこう。ここで話題にしているのは、イタリアの少量生産メーカー、パガーニの最初の作品である「パガーニ ゾンダ」だ。1999年、創業者オラチオ パガーニ氏(Horacio Pagani)は、フルカーボンボディとメルセデスV12エンジンを搭載したこのスーパースポーツカーを発表した。その後20年の間に「ゾンダ」は絶えず改良が重ねられ、現代で最も人気があり、同時に最も価値のある自動車のひとつへと変貌を遂げた。

140台が製造された「パガーニ ゾンダ」は、「ゾンダC12」、「ゾンダF」、あるいは数多くの特別モデルを問わず、そのすべてがすでにコレクターズアイテムとなっている。その価格は明らかに7桁(約数億円)、場合によっては8桁(数十億円)にも達するが、「パガーニ ゾンダ」が中古車市場に出回ることは決してない。

所有者がこのイタリアの宝石のような車を売却する場合、その取引は通常、裏でひそかに行われる。パガーニの顧客は、いわば小さな家族のような存在であり、サン チェザーリオ スル パナーロ製の車を複数台所有していることも珍しくない。

2015年に起きた事故はひどいもので、当時のオーナーはパガーニをその前日に購入したばかりだったと言われている。
Photo:GT Spirit

2025年12月5日にアブダビで開催されたオークションは、世界中のコレクターにとってさらに特別な機会となった。有名なオークションハウス、「RMサザビーズ(RM Sotheby’s)」が、ユニークな「パガーニ ゾンダ リヴィエラ」を出品したからだ。もちろん、厳密に言えば、すべてのパガーニは唯一無二の存在だが、この「ゾンダ」は、その波乱に満ちた歴史から、特に特別な存在となったと言える。

2006年、シャシーナンバー76069は、「ゾンダF」として、人目を引く構成(イエロー/イエロー)でドバイに出荷された。最初のオーナーは、ほぼすべてのカーボンパーツを車体色と同じ色に塗装することを決めた。これは非常に珍しい選択だ。さらに、「ゾンダF」の固定式ウィングは、特別な要望により、初期の「ゾンダS」だけが装備していた2分割のスポイラーに交換された。併せて、黄色の塗装に合わせて、インテリア全体も黄色のレザーで覆われた。

事故・・・

アラブ首長国連邦で数人の所有者を経て、2015年初めに「ゾンダF」は激しい事故に巻き込まれ、完全に破壊された。当時、この602馬力の「ゾンダ」はその前日に購入されたばかりだったと言われている。

このような事故の後、ほとんどの車は全損として廃車となるが、このクラスの車では事情が少し異なる。10年前のゾンダは、現在の価値にはほど遠いものではあったが、当時も新車価格を上回る価格で取引されていた。つまり、厳密に言えば、損傷が大きすぎるということはなく、140台のシャーシはどれも非常に価値が高いため、たとえ修復に多大な費用がかかったとしても、その価値は常に十分にあるということだ。

シャーシ76069は、ボディがほぼ完全に塗装されていたごく少数のパガーニ ゾンダのひとつだった。2分割のリアウィングも特徴的なものだった。
Photo: GT Spirit

こうして、完全に破壊された「ゾンダF」はイタリアの工場に送り返され、完全に修復された。このような複雑な注文には、「パガーニ ユニコ プログラム」という制度があり、オーナーはまるで自分がその車を新たに構成したかのように、自分だけの夢の車を製作することができる。

変貌を遂げた

ちなみに、事故車である必要はなく、まったく損傷のない「パガーニ」も、ユニコチームによって細部に至るまでカスタマイズすることができる。もちろん、必要な資金さえあれば、の話だが。このような変貌がどのようなものになるかは、この「ゾンダ リヴィエラ」を見ればわかる。

ルーフ上のエアインテークはフィンに流れ込み、フィンはリアウィングで終わっている。もちろん、すべて最高級のカーボン素材で作られている。
Bild: Neil Fraser / RM Sotheby’s

このために、破壊された「ゾンダF」はカーボンシャーシまで分解され、その後、段階的に再構築された。この際、オーナーはシャーシ「76069」を、いわゆる760構成(公道走行可能なゾンダの最も極端な仕様)にアップグレードすることを決定した。そのため、フロントのフェンダーエクステンション、追加のサイドフリック、フロントフードのLEDデイタイムランニングライト(専門家の間では「スマイリーライト」と呼ばれている)、大型の固定式リアウィング、XXLサイズのカーボンディフューザー、ルーフの特徴的なエアインテークとフィンの形状が完全に新しく作り直された。

中心にまとめられた4本のエキゾーストパイプは、パガーニのすべてのモデルに共通する特徴である。
Photo: Neil Fraser / RM Sotheby’s

ホワイトの塗装とカーボンパーツのカラーリングは、伝説的な「ゾンダ チンクエ」を彷彿とさせるが、「ゾンダ リヴィエラ」ではブルーのディテールがアクセントとなっている。完全に刷新されたインテリアでも、ブルーはバケットシートのコントラストカラーとして採用されている。当初のイエローのインテリアは、もはや見られない。

760馬力のV12エンジン

技術面でも、「ゾンダ」は最新スペックにアップグレードされた。AMGの伝説的な7.3リッターV12自然吸気エンジンは大幅に改良され、最高出力は「ゾンダF」の602馬力(ゾンダFクラブスポーツは650馬力)から760馬力にアップした。「ゾンダ リヴィエラ」では、標準装備のマニュアルトランスミッションがシーケンシャルトランスミッションに交換された。さらに、この改造では、その他にも多くの細部や大きな部分も調整された。

インテリアにはアルカンターラを多用し、さらにカーボンもふんだんに使用。ブルーのバケットシートは、エクステリアのデザインディテールを反映している。
Photo: Neil Fraser / RM Sotheby’s

納車後、このユニークな「ゾンダ リヴィエラ」は再び数人の所有者を経て、「RMサザビーズ」のオークションに出品された。走行距離がわずか908kmという驚くほど少ないことが、この車のコレクターズアイテムとしての価値をさらに高めている。ちなみに、パガーニは工場での完全な改造後に走行距離をゼロにリセットしている。

落札価格

かつて事故に遭ったものの、完全に再構築されたパガーニの価格についてだが、「RMサザビーズ」は、推定落札価格を950万から1,050万米ドル(約14億7,250~16億2,750万円)と発表していたが、最終的には1,013万米ドル(約15億7,000万円)で落札された。

ちなみに、「パガーニ ゾンダ リヴィエラ」は、アブダビで開催されたオークションでの最高落札額が予定されている車ではなかった。最高額は、High-Downforce Kitキットを搭載したマクラーレンF1で、推定価格2,100万米ドル(約32億5,500万円)のところ25,317,500米ドル(約39億2,400万円)で落札となった。

Text: Jan Götze