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【新ソーラーテクノロジー】画期的なメルセデスのスタディモデル、ビジョン アイコニックは将来のエネルギー補給の在り方を示す!

2025年12月28日

メルセデスのソーラーペイント技術。ビジョン アイコニックは、将来のエネルギー補給の在り方を示している。ビジョン アイコニックは、見た目の魅力だけではない。メルセデスはこのスタディモデルにより、ソーラー技術の新たな分野にも進出している。

メルセデス・ベンツは、「ビジョン アイコニック(Vision Iconic)」により、デザインだけでなく、新たな方向性を打ち出したコンセプトを発表した。このショーカーの光沢のあるブラックのボディは、電気自動車の充電を根本的に変え、決定的な前進となる可能性のある技術を隠している。

初めて、ボディのほぼ全体が発電装置として機能する。メルセデス・ベンツの将来の電気駆動システム担当シニアマネージャー、ヨッヘン シュミット氏は、「オートモーティブ ニュース ヨーロッパ」誌に対して、この新しい技術の仕組みについて次のように説明している。

塗装に施された太陽光発電層が電力を生産

このシステムの中心となるのは、非常に薄いソーラー塗装だ。車体とトップコート塗装の間に、わずか5ミクロンの厚さの太陽光発電層がある。ナノ粒子をベースにした塗料は、太陽光の約94%を透過するため、その下にある層が、車両が停車中やモーターがオフの状態でも電力を生産することができる。

極薄の太陽光発電コーティングが、車体全体に電力を発生させる。

メルセデスによれば、従来のソーラーパネルとは異なり、この技術はシリコンや希土類元素を使用していない。軽量で柔軟性があり、複雑な三次元局面にも適合することができる。シュミット氏によれば、この柔軟性によって初めて車体全体への使用が可能になったため、これは大きなブレークスルーであるとのことだ。また、このコーティングはリサイクルにも適しており、重量は1平方メートルあたりわずか50g程度だ。

日常生活ではどのようなメリットがあるのか?

この技術は、ボンネットからサイドパネルまで、ほぼすべての車体部品に適用できるとのことだ。メルセデスによれば、シュトゥットガルトでは、約11平方メートルの面積を持つ車両は、年間最大12,000kmの追加純電動航続距離を獲得でき、ロサンゼルスでは、より多くの太陽光のおかげで、理想的な場合、約20,000kmもの追加純電動航続距離を獲得できるとのことだ。これにより、将来の自動車は、その設置場所や毎日の日照量に応じて、必要なエネルギーの大部分を自ら賄うことができるようになるだろう。

理想的には、設置場所にもよるが、ソーラーペイントにより年間最大20,000kmの追加走行が可能となる。

シュミット氏によれば、さまざまな色のバリエーションも可能だが、明るい色ほど効率は低下するとのことだ。そのため、黒が最も効率の良い選択肢となる。シュミット氏によれば、黒から青に変更するだけで、性能は5%低下するそうだ。

将来の見通し

日産やトヨタなどの他のメーカーもソーラー技術を開発しているが、メルセデスのアプローチはさらに一歩進んでいる。ソーラーセルは目に見えないように組み込まれており、デザインを損なうことなく、ガラス屋根や追加モジュール上のスペースを必要としない。

この技術はまだ量産段階には至っていないが、メルセデスは、現在、低コストのアプリケーションプロセスに取り組んでいる。このソリューションによって量産車の価格が10,000ユーロ(約180万円)も上昇してはならないからだ。

結論:
ソーラーペイント技術の背後にある基本的な原理は明らかだ。電気自動車は、電力網からの依存度を減らし、より持続可能な移動手段となるべきであるということだ。そうすることで、多くの人々にとって、「eモビリティ」はより身近で魅力的なものとなるだろう。メルセデスは、「ビジョン アイコニック」でまさにそれを実現しようとしている。電気自動車は、効率的であるだけでなく、エネルギーの自給自足も実現する必要がある。「eモビリティ」の新たな時代の到来に期待したい。

Text: Nele Klein
Photo: Mercedes-Benz AG