1. ホーム
  2. セダン&ワゴン
  3. 初テスト 新型Sクラスのトップモデル V8搭載メルセデスS580 4MATICに初試乗&レポート!

初テスト 新型Sクラスのトップモデル V8搭載メルセデスS580 4MATICに初試乗&レポート!

2021年1月10日

高級セダンの原器とみなされるSクラス テストを通じてそのトップモデルの真価を問う!

Sクラスは高級セダンセグメントのベンチマークだ。ライバルモデルにとっては、いわば、お手本であり、目標だ。そしてそのトップモデルは、最新型のV8を搭載したことで、これまで以上の性能が期待される。V8を搭載したメルセデスSクラスのトップモデルとはどんなものなのか? S580をテストしてみた。その結果は?

トップモデルもダウンサイジング

新型メルセデスSクラスは現時点では、6気筒エンジンのみが用意されている。
V12のエンジンは通常のSクラスモデルからは完全に削除され、最高級のマイバッハバージョンのみに用意される。
そのため、実質的にも、イメージ的にも、8気筒を搭載したS580が、2021年半ばからは、Sクラスのフラッグシップモデルとなる。
我々は、デビュー6ヶ月以上も前に、その次期トップモデルSクラスの初試乗を敢行した!

ツインターボV8はトップパフォーマー

ドライビングダイナミクスの面では、「トップモデルSクラス」は非常に完成度の高い走りを提供する。
フロントに搭載された最新型V8ツインターボがS580 4MATICに、さらなる強力なドライビングパフォーマンスをもたらす。
特に全輪(四輪)ステアリングは、ロングホイールベースバージョンのターニングサークル(回転円)を最大2m短縮するなど、改めて感心させられる。
ステアリングフィール自体は、精巧なエアサスペンションによるシャシー全体のファインチューニングと同様に素晴らしいものだ。
より重いV8のマイナス面は特に目立たない。
アクセルを強く踏み込めば、V8愛好家たちが、6気筒に乗り換えようとしない理由がよく理解できる。
レブリミットレンジのわずかな回転域を除けば、パワーデリバリーも抜群に優れていて、4リッターエンジンは、期待通り、どこでもスムーズでパワフル稼働する。
走りの快適性という点では、強力なツインターボV8を搭載したSクラスは文字通りトップパフォーマーだ。

V8は6気筒エンジンより一歩も二歩もリードしている。

エンジンサウンドはもう少しワイルドであってもいいかもしれないが、音響的なことは、いずれ追加される予定のハイブリッド仕様で、700馬力以上を発揮する、AMGトップバージョンに任せたほうがいいだろう。
パワーといえば、ダイムラーはまだ正確な性能データの公表を控えている。
兄弟モデル、GLS 580は、「M-176」エンジンは、489馬力と最大トルク700Nmを兼ね備えるが、エンジン回転数を下げると、スターター発電機付きの48ボルト電動システムが、さらに22馬力と250Nmを発揮する。
したがって、メルセデスは、S580に500馬力以上を可能にし、0-100km/hスプリントタイムは約4.5秒になるはずだ。

2021年末からの自律走行ステージ3

インテリアの快適さは目を見張るものがある。
19個のモーターと10個のマッサージプログラムを備えた素晴らしいレザーチェアは、ラグジュアリーセグメントの中でも、フロントとリアの両方でスタンダード(標準)を打ち立てている。
31個のスピーカーを備えたブルメスターのサウンドシステムも同様だ。
まず、巨大な中央スクリーンに慣れる必要があるものの、それほど時間はかからない。
無数にあるMBUX(メルセデスベンツ ユーザー エクスペリエンス)の機能は、必ずしも完全作動するものではないが、ディスプレイ自体は素晴らしいもので、画面はこれまで以上に正確でシャープなものになっている。
しかし、先に改訂されたEクラス同様、メニュー機能を無意識のうちにスライドさせて操作してしまいがちなタッチ操作のステアリングホイールは、我々の好みには合わない。
自律運転支援システムに関しても、もう少し辛抱が必要だ。
なぜなら渋滞追従機能付きのレベル3は2021年末まで利用できないからだ。
しかもそれは、ドイツでのみ導入され、時速60kmまでしか機能しない。

S580 4MATICの市場導入は2021年7月。
トップモデルのロングホイールベースバージョンが13万ユーロ(約1,650万円)以下で購入できる可能性は低い。

S580の乗り心地は他の追随を許さない。中央の大画面にもすぐに慣れることができる。

いよいよ新型SクラスのV8モデルのインプレッションが届いた。
その内容は予想通りのもので、メルセデスベンツSクラスだから当たり前だとはいえ、細かい部分を除けば、おおよそ文句のない一台であろうということは想像がつく。
だがハードウェア完成度に加え、昨今では各種エレクトロニクスデバイスの完成度も評価しなくてはいけないし、その部分に関しては正直言って未知数の部分も多い。
特にアダプティブクルーズコントロールの進化や、4輪操舵などに関してはちょっと乗っただけでは優越をつけにくい部分が多いので、日本に導入された暁には、ぜひじっくりと乗ってみて試してみたいものではあるが、これだけ様々な機能を持っていると、それらのシステムをすべてインプレッションするのには、どれだけの手間と時間がかかるのか考えただけでも複雑な気持ちになる。
それでもメルセデスベンツSクラスの新型というのは、やはり一度乗ってその完成度や進化をぜひ味わってみたい。「世界最先端のエグゼクティブエクスプレス」、そんなSクラスにはやはりいつもフルモデルチェンジの際には期待してしまうのである。

Text: Stefan Grundhoff
加筆:大林晃平
Photo: Daimler AG