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BYDが日本導入した「BYD SEALION 6」はエンジン付きのハイブリッドSUV!

2025年12月2日

BYD Auto Japanは日本導入5台目となる「BYD SEALION 6」を12月1日販売開始した。BYDらしく“電気を主役にした”ハイブリッドSUVというのが特徴。駆動方式は前輪駆動(FWD)モデルと四輪駆動(AWD)モデルの2種類。価格はFWDが3,982,000円(税込)、AWDが4,488,000円(税込)。納車は2026年1月から。

・「SEALION 6」は、BYDが掲げる“スーパーハイブリッド”システム DM-i(Dual Mode Intelligence) を採用するプラグインハイブリッドSUV
・ボディサイズは全長4,775mm、全幅1,890mm、全高1,670mm、ホイールベース2,765mm
・駆動方式は前輪駆動(FWD)モデルと四輪駆動(AWD)モデルの2種類
・価格はFWDが3,982,000円(税込)、AWDが4,488,000円(税込)

「なぜ今PHEVなのか」:日本市場を取り巻く情勢と狙い

日本では、充電インフラの整備は進みつつあるものの、未だ「夜間充電できない」「出先で充電スポットが見付からない」といった不安を抱えるユーザーは少なくない。そうした中で、EVの静粛性と滑らかさを享受しつつ、給油インフラの安心感を残す“電気を主役にした”ハイブリッドSUVの「SEALION 6」は、多くのドライバーにとって妥協点となり得る、まさに「現実との折り合い」を見越した戦略と言える。

BYD Auto Japan代表取締役社長 東福寺 厚樹氏(左)とBYD自動車新技術研究院 DMシステム開発責任者 魯 超氏(左)からはBYDハイブリッドシステムの説明があった。

BYDのNEV拡大戦略と国際的な競争環境

世界的にEV・NEV(新エネルギー車)へのシフトが進む中、BYDは「Ocean」シリーズなどを含めたラインナップ拡充を図っており、「SEALION 6」はその日本国内展開のキーモデル。今回の “DM-i 導入” は、単なるEVの置き換え以上に、「生活実用車としての電動車」の可能性を広げる試みともいえそうだ。

BEV用と比べて2〜3倍という極めて高い最大9Cという極めて高い放電能力を持つというDM-i専用に開発された「PHEV専用ブレードバッテリー」は「瞬発力(高出力)」を重視して設計されている。
Photo:BYD

また、日本ではガソリン車に対して税制や補助制度の変更が議論されるなか、インフラ整備の過渡期にPHEVを選ぶユーザー層は、一定のボリュームを持つ可能性がある。

デザインの特徴

外観は、BYDの「Ocean」シリーズに通じる “OCEAN X DESIGN” を採用。シャープなヘッドライトやホリゾンタルなフロントグリル、流れるようなキャラクターラインなどにより、スポーティかつ都会的な印象となっている。車内は5人乗りを基本とし、ミドル~ラージSUVらしい広さを確保。EVモード走行による静粛性と、PHEVならではの実用性を両立する設計。また、給電機能(V2L / V2H)対応で、車外への電力供給も可能──家庭の電源代替やアウトドア利用など、用途の幅が広い。

商品概要説明がBYD Auto Japan商品企画部長 新道 学氏によって説明された。

ボディカラーはコスモブラック、ストーングレー、ハーバーグレー、アークティックホワイトの4色、内装色はブラウン&ブラックの1色。両グレード共通となっている。

モデル駆動方式出力(エンジン+モーター)0-100km/h 加速EV航続距離*
FWDFWDエンジン 72kW + モーター 145kW8.5秒約100 km(WLTC申請値)
AWDAWDエンジン 96kW + モーター 270kW(豪州仕様)5.9秒EVモード数値は未発表
*EVモードによる航続距離は、発表されているのはFWDモデルのみ。

バッテリーは、PHEV専用の「ブレードバッテリー」を採用。普通充電(6 kW)、急速充電(18 kW)に対応。給電機能として、V2L/V2Hにも対応可能。

燃料タンク容量は60 L、燃料はレギュラーガソリン。日常ではEV主体、必要に応じてエンジンで走る“ハイブリッド的安心感”も確保。

インテリアはブラウン&ブラックでシンプルにまとめられている。
Photo:BYD

市場導入と価格・販売状況

・日本では 2025年12月1日から正式販売を開始。FWDが約398.2万円、AWDが約448.8万円
・納車は FWDモデルが 2026年1月末、AWD モデルは 2026年3月を予定
・発売前の先行予約キャンペーンでは、Wall-boxやETC、ドラレコ、フロアマットなど、総額約30万円相当のアクセサリーがプレゼントされる

コストパフォーマンスと実用性の両立

BYD Auto Japanの東福寺社長は「トヨタ ハリアー」「三菱 アウトランダー」をベンチマークにしていると語ったが、400万円前後という価格帯に加えて、満充電からの100kmという純電動航続距離(FWDモデル)は他のPHEVに比べて長いことからも、ミドル〜ラージSUVとしてはかなり競争力は高いと言える。かつEV走行 + 給電機能付きという多用途性も備えることから、ファミリー用途、通勤・買い物、週末の遠出やアウトドアなど、シーンを問わず汎用性が高そうだ。

評価のポイントと今後の注目点

良い点
・EVモードによる静粛で滑らかな走行 + ハイブリッドの安心感というバランスの良さ
・サイズ感、価格、装備内容から見て、「普段使いの電動SUV」として妥当な選択肢
・給電(V2L / V2H)対応で、災害時やアウトドア用途などへの利便性
注意点
・AWDモデルのスペックは現在「豪州仕様参考値」。日本仕様でどこまでその性能が保証されるか要確認
・既存のハイブリッド市場との競合。どこまで「PHEVの良さ」を理解したユーザー層を取り込めるか。

特別講演を行った国際自動車ジャーナリスト 清水 和夫氏(左)とBYDの魯 超氏(中)とBYD Auto Japan代表取締役社長 東福寺 厚樹氏(右)3名によるパネルディスカッションが行われ、当日は行った質問に答えながら「SEALION 6」の可能性などについて知ることができた。

日本市場における“勝機”とリアルな需要

「SEALION 6」は、現時点での日本におけるEVシフトの過渡期を狙った“実用的な折衷案”としてかなり理にかなったモデルと言える。EVの理想と、ガソリン車の安心感、その両面を求める、多くの人にとって、魅力的な選択肢になり得るだろう。

特に、都市部在住で「充電インフラにまだ不安がある」「でも静かな走行が欲しい」「家族で使いたい」というニーズにマッチするはず。

Text&Photo:アウトビルトジャパン